チョウセンブナとは?外来魚としての影響とフナ類との違い

環境学

チョウセンブナってどんな魚?

チョウセンブナは、もともと朝鮮半島や中国南部などのアジア地域に生息していた魚です。
しかし、観賞魚としての人気から日本にも持ち込まれ、近年では日本の自然環境でも確認されるようになりました。

これは、人間が飼育目的で日本に輸入し、管理不足で逃げ出したり、放流された個体が自然界で繁殖したためです。

現在、日本では「外来魚」として扱われており、その存在が在来の生態系に影響を与えることが懸念されています。

特に、チョウセンブナは強い環境適応力を持ち、
在来種のフナ類と競合するため、野外での放流や管理に注意が必要とされています。

分類

チョウセンブナはスズキ目ベタ科に属し、もともとは韓国や中国に住んでいた魚です。
この魚は、特別な呼吸器官を持ち、さまざまな環境に適応できるため、観賞魚として人があり、世界中に輸出されてきました。

日本でも観賞魚として飼われていたものの、逃げ出したり捨てられたりした個体が増え、自然環境に定着するケースが増えています。
日本では「外来種」として扱われており、その生態や他の生き物への影響が研究されています。

形態

チョウセンブナの体長は5〜10cmほどで、平たく細長い体をしています。
地味な色合いですが、光沢のある体表が観賞魚として人気を集めています。

強い環境適応力を持ち、水質が変わりやすい環境にも順応できる頑丈な体つきをしています。
そのため自然環境に放たれた場合、新しい環境にも適応し、日本の川や池などで生息が確認されることがあります。

生態

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チョウセンブナは、ラビリンス器官と呼ばれる特別な呼吸器官を持ち、酸素が少ない水域でも空気中から酸素を取り入れることができます。
この特徴により、低酸素環境でも生存できるので、日本のいろいろな水域で見られるようになりました。

チョウセンブナは雑食性で、小さな生物や植物も食べるため、他の魚と餌を巡って競争することもあります。

外来種が定着すると、在来種とのエサや住む場所の争いが起こることがあり、日本の生態系バランスが崩れるリスクが指摘されています。

外来種としての影響

チョウセンブナが日本にやってきた経緯

日本で確認されるチョウセンブナは、実は1914年に朝鮮半島から持ち込まれたのが始まりです。この魚は観賞魚として東京都の金魚養殖場に導入されました。

しかし、その後の洪水や冠水により養殖場から逃げ出し、利根川水系などへと分布を広げたと考えられています。1937年頃には分布が最大に達し、なんと日本の11の都道府県にまで広がっていたようです。

この広がりの背景には、日本の湿潤なモンスーン気候がチョウセンブナの生息に適していたことが関係しています。しかし、近年ではチョウセンブナの個体数が激減し、今ではその姿を見かけることがほとんどなくなりました。

2000年代以降に記録があるのは岡山県、長野県、愛知県、千葉県、茨城県の5つの県のみで、これらの地域でも確認数はごくわずかです。特に岐阜県で確認されたチョウセンブナについては、自然分布ではなく人間によって持ち込まれた可能性が指摘されています。

外来種なのに天然記念物?

天然記念物に指定される生物は、一般的に在来種が中心であり、全国的または地域的に貴重なものが選ばれます。
しかし、チョウセンブナは外来種でありながら、珍しい例として天然記念物に指定されています。

特に長野県飯綱町では、チョウセンブナとその生息地が町の天然記念物に指定され、地域の学校でビオトープ作りも行われるなど、保護活動が進められています。

チョウセンブナがかつては広く生息していたものの、現在は個体数が減少し希少な魚として見られるようになっています。

また、観賞魚としての需要もあり、在来生態系に与える影響が少ないとされることから、容易に飼育や放流が行われる可能性も考えられます。

在来生態系への影響を考えた注意が必要

チョウセンブナは、オオクチバスやチャネルキャットフィッシュのように強い侵略性がないとされていますが、外来種が在来生態系に与える影響はまだ不明な点が多いです。

特に在来種との生存競争や、エサの奪い合いが生じる可能性もあり、慎重な対応が求められています。生態系のバランスを守るためにも、安易に自然環境に放流したり、拡散を助けたりすることは避けるべきです。

チョウセンブナとフナ類の違い

フナという名前がある魚ですが、フナではなくベタの仲間になります。

チョウセンブナと日本の在来種であるフナ類には外見や生態に多くの違いがあります。

見た目の違い

チョウセンブナは細長く平たい体型で、体長は約5〜10cmと小ぶりです。
地味な色合いながら光沢があり、観賞魚としての魅力があります。

一方、フナ類は丸みを帯びた体型で、種類によっては口の近くに小さなひげが見られるものもいます。フナ類は10〜30cmほどのサイズになることが多く、どっしりとした印象です。

生息地の違い

チョウセンブナはもともと朝鮮半島や中国南部に生息していましたが、日本では外来魚として扱われ、自然環境に影響を与えることが懸念されています。

これに対してフナ類は、日本各地の川や池、湖に自然に分布している在来種で、日本の環境に古くから適応してきた魚です。

呼吸の違い

チョウセンブナは「ラビリンス器官」を持ち、水中の酸素が少ない環境でも空気中から直接酸素を取り込むことができます。

これにより、酸素が少ない水域でも生存可能です。
一方、フナ類にはこの器官がなく、水中の酸素をエラで取り入れることで生きています。

そのため、フナ類は酸素が豊富な水域を好む傾向があります。

繁殖方法の違い

チョウセンブナは、オスがメスの産んだ卵を守る習性がありますが、フナ類にはこのような子育て行動は見られません。

フナ類は通常、水草や砂地などに卵を産み付け、親魚は卵を守ることなく放置します。
ギンブナのように、単為生殖という特別な繁殖方法でオスがいなくても増える種類もいます。

まとめ

チョウセンブナは、観賞魚としての人気から日本に持ち込まれた外来魚ですが、その適応力の高さから自然環境に定着するケースが増えています。

これにより、在来種であるフナ類との競争が懸念されており、地域の生態系に影響を与える可能性があります。

外来魚の扱いについては、責任を持って管理することが大切であり、
私たち一人ひとりが生態系保護の意識を持って行動することが求められています。

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