肺魚の種類と特徴|オーストラリア・アフリカ・南アメリカ肺魚の生態を徹底解説!

魚類学
先生
先生

今回は「肺魚」の種類と特徴について解説していきます。
肺魚は、魚なのに『肺』を持っていて、水中だけでなく空気中からも酸素を取り込めるんですよ。

男の子
男の子

えっ!?魚なのに肺で呼吸できるんですか?

先生
先生

そうなんです。
そんな肺魚の種類を生息している大陸ごとに紹介していきますよ。

肺魚ってどんな魚?

肺魚は、硬骨魚類の一種で進化の過程で水中生活と陸上生活の両方に対応できるようになった魚です。通常の魚のようにえらで呼吸するだけでなく、肺を使って空気中の酸素を取り入れることができます。

この特徴は、乾季などで水が少なくなる環境でも生き延びるための重要な進化でした。

先生
先生

肺魚は3つの地域に分布しています。

  1. オーストラリア(オーストラリア肺魚)
  2. アフリカ(アフリカ肺魚)
  3. 南アメリカ(南アメリカ肺魚)

それぞれの肺魚には、異なる特徴と生態があります。
次に、オーストラリア肺魚について詳しく見ていきましょう。

2、オーストラリア肺魚

オーストラリアに生息している肺魚は、「ネオケラトゥス・フォステリ」といいます。
オーストラリア東部の川や湖に生息している彼らは、現在も生きている肺魚の中で最も古いグループの一つと考えられています。

外見

オーストラリア肺魚の身体は長い体を持ち、肉鰭類の象徴とも言える厚みのある胸鰭や腹鰭を持っています。また、他の肺魚と比べると目で見えるほど一枚一枚が大きいな鱗が体を覆っています。
全長は1〜1.8mほどで、体は厚い鱗で覆われています。色は背側が茶褐色から赤褐色で腹部はクリーム色をしており、泥質の川底に紛れるような見た目へと進化しています。

呼吸方法

オーストラリア肺魚は、肺とえらの両方を使って呼吸しますが、主にえらを使います。
他の肺魚と比べると、肺呼吸の頻度は圧倒的に少なく、水中での生活に特化していますね。

行動と食性

彼らは夜行性で、昼間は川底の岩陰や水草の間に隠れています。
食性は雑食性で主に小さな甲殻類や昆虫、水草などで、口を大きく開けてエサを一気に吸い込むようにして捕食します。

生息地の特徴

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オーストラリア肺魚は、ゆっくりと流れる川や静かな湖を好みます。
特に、水草が多い場所では隠れ家として活用します。

非常に長生きするのが特徴で寿命は80年近くもあります。
その反面、成熟するのにも18年近くかかることからもライフサイクルが非常に遅く、繁殖が難しいです。
また、水質の変化や環境破壊による影響を受けやすいため、保護が必要な生物として注目されています。

3、アフリカ肺魚

アフリカ肺魚は、乾季に池や川が干上がるような厳しい環境に適応している種類になります。
水中の酸素が満足に取れない環境も少なくないため、オーストラリア肺魚と比べて肺呼吸を頻繁に行います。さらに、乾季になると泥の中に体を埋めて乾燥を乗り越える「夏眠(かみん)」と呼ばれる特殊な行動が知られています。

特徴

アフリカ肺魚は細長い体でひも状の胸びれや腹びれを持っています。
オーストラリア肺魚と比べると非常に細いヒレですが、この胸びれを扱って泥の中を動き回ることができます。

生息地と適応

アフリカの湿地帯や一時的な池など、乾燥が激しい環境に生息します。水がなくなると、泥の中で休眠し、体をスリムに保ちながら空気中の酸素で生き延びます。 

アフリカ肺魚の種類

プロトプテルス・エチオピクス(Protopterus aethiopicus)

分布:アフリカ東部から中央部(ナイル川やビクトリア湖など)
特徴:アフリカ肺魚で最も大きく、全長2.2メートルに達する記録があります。模様や体型のバリエーションが豊かで、地域ごとに異なる姿が見られます。
亜種:基亜種(P. a. aethiopicus)とコング亜種(P. a. congicus)などがいますが、外見での区別は難しい場合があります。

プロトプテルス・アネクテンス(Protopterus annectens)

分布:西アフリカから東アフリカ
特徴:最も一般的なアフリカ肺魚で、全長は基亜種で80cm以上、亜種ブリエニー(P. a. brieni)は60cm以上に成長します。色や模様が多様で、オレンジやラベンダー色の個体も見られることがあります。
人気度:飼育しやすく、多くのアクアリウムで親しまれています。

プロトプテルス・アンフィビウス(Protopterus amphibius)

分布:アフリカ東部の沿岸地域(ソマリアからモザンビーク)
特徴:アフリカ肺魚の中で最も原始的な種とされ、最大でも約50~60cmほどと小型です。活発に動き回り、水質の変化に敏感なため、飼育には注意が必要です。そのユニークな姿から愛好家の間で人気があります。

プロトプテルス・ドロイ(Protopterus dolloi)

分布:中央アフリカ(コンゴ川流域)
特徴:通常は全長60~70cmほどですが、飼育環境によっては1メートル以上に成長することもあります。他の肺魚に比べると比較的小柄に見えますが、その成長には驚かされることも。飼育初心者には、やや大きめの個体を選ぶのが無難です。 

4、南アメリカ肺魚

最後に紹介するのは南アメリカ大陸に棲息している肺魚です。
こちらもオーストラリア同様に1種のみで「レピドシレン・パラドクサ」という名前になります。

南アメリカ肺魚もアフリカ肺魚に似た特徴を持ち、乾季に休眠することができます。
しかし、彼らは生息地であるアマゾン川の豊かな水域で、乾燥期の期間が比較的短いため、オーストラリア肺魚とアフリカ肺魚の中間的な特徴を持っています。

特徴

体は長く、比較的大型になります。
色は黒褐色であり、種類によって水玉模様が出るものもあり、泥や水草に溶け込むような擬態を行うのに適しているとされています。

生息地と適応

アマゾン川流域の洪水地帯に生息しています。洪水の増減に合わせて移動し、食べ物を探します。

まとめ

先生
先生

ということで、今回は肺魚の種類について解説していきました。
特にアフリカ肺魚や南アメリカ肺魚の『夏眠』のような特殊な適応は、魚の進化を知る上でも重要なポイントなんです。

男の子
男の子

本当に不思議な魚ですね!
環境に合わせて、肺で呼吸したり、休眠したりするなんて驚きです。

先生
先生

そうなんです。
肺魚は、過酷な環境を生き抜くためにそれぞれ違った進化を遂げてきました。
こうした生物の進化を知ることで、自然界の仕組みや生物多様性の大切さも学べますね。

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