
今日は「フナの筋漿タンパク質」について解説していきます。
ちょっと難しそうなテーマですが、しっかり理解すれば、魚の種類や違いが見えてきます。

はい!フナってどれも似て見えるけど、体の中で違いがわかるんですね。楽しみです!
フナの体の中を見てみると…

私たちの体や魚の体は、「タンパク質」という物質でできています。筋肉にもたくさんのタンパク質があって、その中でも筋原線維と筋漿という部分に分かれます。
「筋漿タンパク質」は、筋肉の間を満たす液体に溶けているタンパク質のことで、種類によってちょっとずつ形や性質が違っています。
じゃあ、その違いはどうやって調べるの?というと、「電気泳動」という方法を使うんです。
電気泳動ってなに?

電気泳動は、タンパク質をでんぷんゲルというゼリーみたいなものの中に入れて、電気を流す実験です。タンパク質はそれぞれ「形」「大きさ」「電気の性質」が違うので、流れるスピードが違ってきます。
その結果として、でんぷんゲルの中にいくつかの「バンド(線)」が見えるようになります。バンドの数や位置、濃さによって、どんなタンパク質があるかがわかるんです。
このバンドの出方は遺伝子によって決まっているので、魚の種類によってちがうし、他の要因ではほとんど変わりません。
フナのタンパク質バンドを調べてみたら?
研究者たちは、フナの筋漿タンパク質の電気泳動実験を行いました。すると、いくつかのバンドがはっきりと出てくることがわかりました。
このバンドの出方によって、フナは次の4つのグループに分けられました。
I型(キンブナ・オオキンブナ型)
第1のバンドがとても濃い
第5・第6バンドはうすい
第2バンドは出ない
このグループには、キンブナ、オオキンブナ、ナガブナ、ニゴロブナなどがふくまれます。
II型(ギンブナ型)
第5バンドが特に濃いのが特徴
ギンブナの中でもさらに4タイプに分けられるよ
たとえば、東日本のギンブナには第1・2・4バンドが出ないタイプ、西日本のギンブナには第2バンドがはっきり出るタイプが多いです。
III型(ゲンゴロウブナ型)
第5バンドがとても濃い
第1~3バンドが出ない
カワチブナ(養殖用に品種改良されたゲンゴロウブナ)もこの型に入ります。
IV型(ヨーロッパブナ型)
第1バンドが濃く、第5バンドがうすい(キンブナに似てる)
第2バンドがある(西日本ギンブナに似てる)
コイのパターンとも似ています
オオキンブナとギンブナは違う種類なの?

ここで気になるのが、「オオキンブナとギンブナって似てるけど、同じ仲間なの?」ということです。じつは、体の見た目が似ているだけで、遺伝子はちがうかもしれないんです。
このように、魚の種類が「同じグループかどうか」を調べるためには、遺伝子の情報を使って分析する方法があります。
メンデル集団ってなに?
「メンデル集団」という言葉はちょっと難しいけど、
簡単にいうと、「同じ遺伝子プールを持っていて、自由に子どもをつくれるグループ」のことです。
このメンデル集団では、世代が変わっても遺伝子の割合が変わらないという「ハーディ・ワインベルグの法則」が成り立つと考えられています。
式で書くとこうなります:
(pA + qB)² = p²AA + 2pqAB + q²BB
これは、「Aという遺伝子とBという遺伝子がどれくらいの割合で子どもに伝わるか」を示しているものです。
バンドの出方と遺伝子型の関係
さっき紹介したバンド(第3バンドと第4バンド)は、対立遺伝子AとBの存在によって決まります。
- Aだけ → 第3バンド(AA型)
- Bだけ → 第4バンド(BB型)
- 両方 → 第3・第4バンド(AB型)
この出方をたくさんのフナで調べて、上の式の通りになっていれば「同じグループ(メンデル集団)だな」と考えられます。
逆に、バンドの出方に大きな違いがあれば、「この2つは別のグループ(種)だ」と言えるかもしれません。
まとめ
- フナの筋肉にはいくつかのタンパク質があり、それぞれ違うバンド(線)で表される
- 電気泳動を使えば、それぞれのフナの種類を見分けることができる
- キンブナ、ギンブナ、ゲンゴロウブナ、ヨーロッパブナにはバンドの違いがある
- バンドの出方は遺伝子によって決まり、その情報から種類の違いを調べられる
- オオキンブナとギンブナはよく似ているけど、遺伝子レベルで違っている可能性がある
電気泳動や遺伝子という言葉はちょっと難しいけど、魚の種類や進化のことを調べるのに、とても役立つ方法です。これからもフナの不思議をどんどん見つけていきましょう!

今回学んだことで、フナの種類の見分け方が外見だけでなく、体の中のタンパク質にも違いがあることがわかりましたね。

はい!電気泳動ってすごいですね。これでフナの研究がもっと面白くなりそうです!
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