高知県の川にすむ魚たち|フナの種類と特徴をわかりやすく解説

陸水学
男の子
男の子

先生、高知県ってアユやウナギがよくとれるって聞いたことあります!

先生
先生

そのとおり。高知県の川はアユやウナギがとても有名なんですよ。でも実は、それだけじゃなくて、他にもたくさんの淡水魚がすんでいるんです。

女の子
女の子

へえ、じゃあフナもいるんですか?

先生
先生

もちろんです。フナにもいろんな種類がいて、川によって特徴や生息場所が違うんですよ。
今回は、『高知県における淡水魚の生息と分布の概況』という研究をもとに、高知県に生息している魚やフナの特徴について、わかりやすく紹介していきますね、

高知県に生息している魚とフナの特徴

高知県には湖が少ない一方で、四万十川・吉野川・仁淀川・物部川などの一級河川のほか、奈半利川や松田川といった二級河川が94水系もあり、1978年8月時点で県内の川の数は648本にのぼっています。これらの川の合計の長さ(両岸の平均)を合わせると、約3,128kmになります。

夏に雨が多く降り、都市部などの一部を除けば水質は良好で、川の中にはコケや底生動物も豊富に見られます。

先生
先生

そのため淡水魚も多く、高知県は魚にとって住みやすい環境です。

河川の漁業

とくにアユは1976年に1,804トンの漁獲があり、全国の13.6%を占めて日本一の漁獲量となりました。ウナギも168トンで全国3位、アマゴも66トンで全国2位と、多くの魚が取れる地域です。

これらの魚のほかにも多くの淡水魚が高知県にすんでいますが、その全体像が分かってきたのは比較的最近のことです。
1960年ごろ、蒲原稔治という研究者が初めて本格的な調査を行い、当時は純淡水魚が20種(フナを3種に数えると21種)、移植された魚が7種、海と川を行き来する回遊魚が12種いることを報告しました。

その後、谷口順彦助教授と高知大学の学生たちが1970年ごろから本格的な調査を行い、四万十川・吉野川・仁淀川などで魚の生息状況を詳しく調べ、県内の魚の分布が少しずつ明らかになってきました。

高知県の淡水魚とフナの種類

淡水域で一生を過ごす「純淡水魚」は、高知県では全部で36種が確認されています。
そのうち、ハクレンやニジマスのように人の手で放されたものの、自然の中で繁殖できない魚を除き、33種が自然に定着しているとされています。

フナの種類と特徴

高知県で見られる主なフナは次の3種類です。

ギンブナ(Carassius auratus langsdorfii)

ギンブナは県内のほとんどの河川に広く分布しており、とくに下流域や中流域でよく見られます。高知県内のギンブナは、ほとんどがメスであり、オスがいなくても卵を産む「単為生殖(雌性発生)」によってふえます。

オオキンブナ(Carassius auratus 亜種)

ギンブナによく似ていますが、体が大きく、以下の点で見分けることができます。
• 背びれの軟条(とげ)の数が16本以下(ギンブナは16本以上)
• 第3背びれ条がやや太くかたい
• 鱗の数が44枚以下(ギンブナは44枚以上)
• オスがいる点
• ギンブナは体色が淡く銀白色だが、オオキンブナはやや黒っぽい

関東のキンブナや、諏訪湖産のナガブナとも体の形や鱗の数などで違いがあります。

オオキンブナの分布はギンブナと似ていて、たとえば伊尾木川では河口から17km地点(標高100m)、鏡川では22km地点(標高100m)、四万十川では100km地点(標高180m)あたりでも見つかっています。

ゲンゴロウブナ(Carassius cuvieri)

ゲンゴロウブナはもともと琵琶湖にしかいなかった魚ですが、物部川・鏡川・四万十川などでも生息が確認されています。

先生
先生

人が放流したことによって分布が広がったと考えられています。

高知県の淡水魚の特徴

先生
先生

高知県の淡水魚には、在来の純淡水魚が少なく、海と川を行き来する「通し回遊魚」が多いという特徴があります。

たとえば、京都府では純淡水魚33種、通し回遊魚15種、香川県では純淡水魚31種、通し回遊魚9種ですが、
高知県では純淡水魚33種、通し回遊魚16種が確認されています。

高知県の在来の純淡水魚

ギンブナ・オオキンブナ・スナヤツメ・アマゴ・イワナ・ウグイ・カワムツ・モツゴ・ヤリタナゴ・ニゴイ・カマツカ・ドジョウ・シマドジョウ・イシドジョウ・ナマズ・ギギ・アカザ・メダカ・ドンコ・カワヨシノボリ

移入種

ゲンゴロウブナを、オイカワ・イトモロコ・タイリクバラタナゴ・カムルチー・ゼゼラ・スゴモロコ・アブラボテ・イチモンジタナゴ・ハス・ブルーギル

通し回遊魚では、タネハゼ・ヒナハゼ・オオウナギなど、高知県ならではの特徴的な魚も見られます。

また、ボラ・スズキ・コトヒキ・ナガエバ・マルエバなどの魚も、短い間だけ川で生活する「周縁性淡水魚」として多く生息しています。

地域ごとのちがい

高知県の川の魚は、大きく「北部(吉野川水系)」と「南部(四万十川など太平洋に流れる川)」に分けられます。

北部では、スナヤツメ・イワナ・ニゴイ・カマツカ・ギギなど、本州の淡水魚に近い種類が多く見られます。

先生
先生

積雪がある上流域や、四国山地を横断して流れる川の形が、本州と似た環境を作り出しているためだと考えられます。

一方、南部の川では、純淡水魚は10数種と少なく、代わりに通し回遊魚が多くなっています。

先生
先生

これは湖が少ないことや、
川が急で広い中流域があまり発達していないこと、
水温の差が小さいことなどが影響していると考えられます。

現在のようすと課題

現在、高知県で特にたくさん見られる魚は、ウグイ・オイカワ・ヨシノボリの仲間・カワヨシノボリなどで、調査では10平方メートルあたり30尾以上が記録されることもあります。

一方で、カジカは多くの川でほとんど見られなくなっており、スナヤツメやオオウナギも河川環境の変化により数が減少しています。

先生
先生

今後も魚たちを守るために、調査と保全活動が大切です。

高知県に生息する魚が見れる水族館

高知県四万十市にある「四万十川学遊館 あきついお」は、四万十川の豊かな生態系を学べる施設です。
館内は「とんぼ館」と「さかな館」の2つに分かれています。「とんぼ館」では、世界約1,000種のトンボ標本を展示し、「さかな館」では、四万十川に生息するアカメをはじめ、日本や世界の淡水・汽水魚約300種を飼育展示しています。

先生
先生

四万十川の自然や生物に興味のある方にとって、貴重な学びと体験が得られるスポットです。

まとめ

男の子
男の子

先生、フナってどこにでもいる魚だと思ってたけど、高知県ではいろんな種類がいるんですね!

先生
先生

そうですね。ギンブナやオオキンブナ、ゲンゴロウブナなど、それぞれ特徴があって、見分けるポイントも違うんですよ。

女の子
女の子

川によってすんでる魚も違うって、ちょっとびっくりしました。もっと川のことを知りたくなりました!

先生
先生

その気持ち、とても大切です。これからも川や魚に目を向けて、自然の大切さを感じてくださいね。

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