魚の卵にはどんな種類がある?浮性卵・沈性卵・胎生の違いとフナの産卵

魚類学
先生
先生

今回は『魚の卵の種類とフナの産卵』について解説していきます。
魚にもいろいろな卵のタイプがあり、お腹の中で赤ちゃんを育てる魚もいます。

女の子
女の子

えっ、魚にも赤ちゃんを産む種類があるんですか?全部が卵を水に産むんだと思ってました!

先生
先生

そう思いますよね。でも実は、魚の世界は意外と多様なんです。
今日はそういう“命のつなぎ方の工夫”について、フナの例も交えながら見ていきましょう。

卵の種類と卵胎生

魚の卵には、水中に沈む沈性卵と水中に浮く浮性卵の2種類に大別されます。

浮性卵の特徴

浮性卵を産む魚類の戦略は、水の流れを利用して、より広範囲に自分たちの子孫を分散させることにあると考えられています。
したがって、その産卵は水中の表層から中層にかけて行う「バラまき型」を取る事例が代表的です。
実際に日本列島では、夏から冬にかけて、熱帯・亜熱帯の海から黒潮や対馬暖流に乗って流され、沿岸域や河川で一時的に彩りを与える魚の種類は、このような卵を産むグループになります。

沈性卵の特徴

水中に沈む沈性卵はさらに4つの種類に細分化されます。

  • 粘着卵
    卵の表面に粘着物質を有する(例:ニシンやコイ)
  • 付着卵
    卵の表面に付着する膜を有する(例:アユやシシャモ)
  • 纏絡卵
    卵から纏絡糸が生えており、水草や海藻などに絡み付く(例:メダカやトビウオの仲間)
  • 不付着卵
    粘着しない卵(サケ)

水中に沈む沈性卵の多くは、水中の礫や水草、海藻などの産卵基質に付着します。

卵の大きさの関係

一般的に淡水魚で沈性卵を持つ魚では、浮性卵を産む種と比べて卵の径が大きく、産卵する卵の数は少ないです。
また、卵のサイズと産む卵の数には相関関係があり、大型の卵の場合は数が少なく、小型の卵の場合は数が多い傾向にあります。

卵のサイズが大きいということは、卵黄が多く、餌を取らなくてもじっくりと成長できることにつながります。
一方で、卵サイズが小さいものは卵黄が少なく、生まれてすぐに餌を取る必要があります。

前者の代表例として挙げられるのはサケであり、イクラの栄養を十分に冬の間に使って、礫底の間の流れの緩い場所にとどまりながら、ゆっくりと稚魚へと成長します。
後者の代表例としては、外洋で卵を産むサバの仲間であり、もともと卵黄が小さく、稚魚の口が大きく、共食いをすることが前提としてしか考えられないような生活戦略を持っています。

体内受精する魚

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一部の魚の仲間では、お腹の中で卵を受精(体内受精)させて、受精卵を産むのではなく、人と同じように稚魚を出産する胎生種も存在しています。

魚類の胎生は、卵黄の栄養で成長していく「卵黄依存」と母体から栄養が供給される「母体依存」に大きく二分されますが、最も体外受精に近いのは「卵胎生」と呼ばれることもある卵黄依存タイプです

発生から稚魚にかけて成長を卵黄のみに依存し、胎仔を出産するジンベエザメ、カサゴやメバル等の仲間がこれに該当します。
このような魚類の胎生は、体外受精では受精卵が天敵に食べられやすいという欠点が改善された適応進化であると考えられています。

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コイ科魚類のタナゴの仲間では、卵をカラスガイなどの大型の二枚貝に産卵管を通して産みつけ、貝の中で稚魚になるまで成長していくことで生存率の向上を図っています。

一方で、産卵には二枚貝に依存するため、生態系が崩れ二枚貝が水域からいなくなることで、産卵の成功率が落ちてしまいますので、一概に優れているとは言い難いですね。

フナの場合

フナの産卵と卵の特徴についてご説明いたします。

卵の特徴

フナの卵は粘着性を持ち、直径は約1.5mm程度です。色は透明から淡黄色で、球形をしています。この粘着性により、水草や落ち葉、流木などの水中の基質にしっかりと付着します。

産卵から孵化までの流れ

産卵場所の選定
フナは春、水温が約14〜20℃に達すると産卵を開始します。彼らは水面に浮いた植物や流木、沈水植物などの産卵に適した場所を探します。

産卵行動
適切な場所を見つけると、メスは粘着性の卵を産み付け、オスはその上から精子を放出して受精させます。この行動は主に早朝から午前中にかけて行われることが多いです。

孵化までの期間
受精卵は水温に応じて発生が進みます。一般的に、水温が高いほど孵化までの時間は短縮されます。例えば、水温が20℃の場合、約5日で孵化します。

孵化した仔魚の特徴

孵化直後の仔魚は全長約4〜5mmで、体は透明に近く、まだ泳ぐ力は弱いです。しばらくの間は卵黄嚢(ヨークサック)から栄養を摂取し、数日後には外部からの摂餌を開始します。
成長とともに体色が濃くなり、泳ぎも活発になります。

このように、フナの産卵と孵化の過程は、水温や環境条件に大きく影響されます。適切な環境が整うことで、次世代のフナが健全に育つことが期待されます。

まとめ

先生
先生

ということで、今回は『魚の卵とフナの産卵』について解説していきました。
魚たちはそれぞれの環境に合わせて、卵の形や産み方を工夫しているんですよ。

女の子
女の子

フナの卵がくっつくっていうのもびっくりでした!魚によってこんなに違うなんて、おもしろいですね。」

先生
先生

そうですね。卵の特徴を知ると、その魚がどんな場所で、どうやって生きているかも見えてきます。自然のしくみって、ほんとうに奥が深いですね。

男の子
男の子

もっといろんな魚の卵も知ってみたくなりました!

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