海流と魚の回遊・生態を知る総まとめ|ウナギ・熱帯魚・フナまで!

魚類学
先生
先生

こんにちは、今日は『海流と魚の移動』について解説していきます。
黒潮や親潮って聞いたことあるかな?
実はこの海の流れ、魚たちの移動や暮らし方にすごく関係しているんですよ。

男の子
男の子

えっ、海の流れが魚の動きに影響してるんですか?
黒潮ってテレビで聞いたことあるけど、そんなに大事なんですね!

海流と回遊魚

日本列島は寒流と暖流に恵まれています。寒流の親潮と暖流の黒潮が、日本の食文化に影響を与えると同時に、日本で多様な魚が見られる要因の1つとなっています。

黒潮は最大で秒速2から2.5メートルという速さで流れますが、これが近年の海水温上昇と相まって、南方から熱帯魚を輸送するベルトコンベアのような役割を果たしているのではないかという仮説が提示されています。

実際に、日本の黒潮やその分流である対馬暖流の海域では、本来は分布しないはずの熱帯性の魚類が記録されることは珍しくありません。

初夏から冬にかけては、スズメダイの仲間やチョウチョウウオの仲間などの熱帯性魚類の幼魚が本州に出現したり、温帯性の魚が東北や北海道に出現したりします。
多くは冬の低水温に耐えられずに死亡すると考えられ、また越冬したとしても、成熟して再生産することは難しいと指摘されています。

先生
先生

このように、熱帯性の魚類が黒潮や対馬暖流に乗って流されてくるものの、
定着できずに死滅してしまう現象を「死滅回遊」と呼びます。

海流と種の進化

黒潮は流れが速いため、魚が横切ることが難しく、種によっては分散する上での障害となっているのではないかという仮説も提示されています。
すなわち、温帯性魚類が亜熱帯・熱帯域への分散を妨げられているというものです。

実際に、日本の九州、四国、本州に分布する魚のうち、中国大陸や台湾にも分布しているものは数多いですが、南西諸島には分布せず、逆に南西諸島に固有の種が分布するパターンが見られることがあります。

例えば、黒潮が障壁として働き、南西諸島で独自の進化を遂げることになったミナミクロダイとクロダイなどのような種の出現理由として考えられています。
黒潮は分散の障害であると同時に、新たな種の誕生を促す隔離要因にもなっているのです。

ウナギの産卵場所と海流

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黒潮の源流は熱帯域にあります。ニホンウナギの産卵場所は、グアムの西方沖であることが21世紀になってようやく明かされました。
受精卵から孵化した仔魚は、海流に乗って日本を含む東アジアの沿岸にやってきます。

特徴的なのは、海流に乗ることが前提の「レプトケファルス(葉形仔魚)」と呼ばれる平たい形態をしていることです。
系統的に近いアナゴやウツボ、カライワシやイセゴイなども同様に、仔魚期はレプトケファルスを経由します。

稚魚期に移行する際に、体が収縮して短くなり、成魚と同じような形態に変態するのです。
この変態過程を経ることで、沿岸域での生活に適応した体形へと変化します。

フナの移動

フナ(ゲンゴロウブナ、キンブナ、ギンブナなど)は、日本の淡水域に広く生息し、季節ごとに環境に応じた「小さな旅(ミニ回遊)」をしています。

春には「巣離れ」「乗っ込み」と呼ばれる移動を行い、水草の茂る浅瀬や水田で産卵します。
夏は涼しい日陰や湧き水のある場所で過ごし、秋になると深場へ移動して「落ちブナ」として越冬準備をします。大雨時には冠水した田んぼへ入り込み、産卵することもあります。

移動距離は数百メートルから数キロ程度とされ、一部は同じ産卵場に戻る「ホーミング」行動も見られます。

サケやウナギの大回遊とは対照的に、フナは淡水内で完結する「身近な旅」を続けています。
近年では人の手による魚道整備などで、フナの旅を支える試みも進められています。自然と人との関わりの中で、フナの健気な旅路は今も続いています。

まとめ

先生
先生

ということで今回は『海流と魚の移動』について解説していきました。
海の流れは、魚がどこに住むか、どう移動するか、さらには新しい種類が生まれるかどうかにまで関わっているんです。

男の子
男の子

たしかに、ただ泳いでるだけじゃなくて、流れに乗ったり逆らったりして、
生き方そのものが変わるんですね!魚ってすごいですね!

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魚類学生態学

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