
今日は「魚の性の多様性」について解説していきます。魚の性別って、実は生まれたときからずっと同じとは限らないんですよ。

えっ、魚って性別が途中で変わることがあるんですか?人間では考えられないですよね!

そうなんです。魚の中には、成長するうちにオスからメス、またはその逆に変わる種類もいれば、そもそもメスしかいない種類もいます。不思議ですよね。今日は、そんな魚たちの性決定や性比、さらにはクローンのように増える魚についても紹介します。

魚の世界って思ったよりずっと奥が深いんですね。楽しみです!
性決定と性比

魚類の性は「雌雄異体」と「雌雄同体」に大別されます。
前者の場合は遺伝的に決定される場合だけでなく、仔稚魚時代に過ごした環境によって決定される場合もあります。後者の場合は、すなわち性別が変わる性転換を行うことを指して、次の4つのタイプが知られています。
- 雌性先熟
(主に縄張りを張る魚で大きなメスが繁殖に有利なオスへと転換する) - 雄性先熟
(体が大きなメスほど多く卵を持てる利点があるため、オスに成熟する) - 同時雌雄同体
(メスとオスの機能を同時に果たせる) - 双方向性転換
(雌雄の比率に応じて、メスからオスおよびオスからメスのどちらの方向にも性転換が可能)

魚類は、人のように遺伝子だけで性が決定しないことも普通なのです。
雌性先熟と雄性先熟の例


雌性先熟の例としては、ベラの仲間で多く見られます。
生まれながらにしてオスである「一次オス」と、性転換してオスになる「二次オス」の2タイプの存在が知られています。
雄性先熟の例としては、クマノミの仲間が有名です。
クマノミは1つのイソギンチャクに複数の個体で過ごしているのが普通ですが、その中で最も大きい個体がメス、その次に大きい個体がオスです。その他の個体は性別が決定されておらず、性的には未成熟な繁殖予備軍となっています。
仮に最も大きい個体(メス)が何らかの理由でいなくなると、元のオスがメスに性転換し、性的に未成熟であった中で最も大きい個体がオスとなります。
その場合、最も大きい未成熟の個体がオスを経由せずにメスになることもあるようです。
フナ属魚類やドジョウ属魚類の例外的な性決定



例外的に、フナ属魚類やドジョウ属魚類では、メスしかいない個体群の存在も知られています。
通常、動物は両親の遺伝子を半分ずつ受け継ぎ、2nという単位の遺伝子情報を持ちます。
しかし、フナ属やドジョウ属では、発生途中のエラーで生じた3nという単位の遺伝子情報を持つ個体でも生存することができます。
また、メスは自身と同一の遺伝子情報を持つクローンの卵を産み、それが他の魚類の精子と接触するなどの刺激を受けて発生が進み、増殖が可能です。

この現象は「雌性発生」と呼ばれ、クローン生殖の一種です。
クローン生殖の特異性と進化的意義

クローン生殖は、植物などでは広く見られていますが、動物の場合は極めて珍しい現象です。
進化学的な一般論では、クローン生殖による個体群は単一の遺伝子情報しか持たないため、病原菌や環境の変化の影響を受けて全滅しやすく、子孫を長く残せない特徴があります。
しかし、フナ属やドジョウ属では、植物と同様にさらに4nの遺伝子情報を有する個体の存在も知られています。2n、3n、4nの遺伝情報を有する個体同士で遺伝子の交流・交換ができているらしいということが最近わかってきました。
このように、多様な遺伝子構造を持つことでクローン生殖による個体群の絶滅を防ぎ、繁殖を安定して行っていると考えられています。
しかし、その進化的意義や発生機構はまだ謎に包まれており、魚類学や進化生物学において非常に興味深い研究対象とされています。
まとめ

ということで今回は「魚の性の多様性」について解説していきました。魚の性は、遺伝だけでなく、環境や体の大きさ、群れの中での役割などにも影響されるんです。

なるほど…クローンみたいに増えるフナやドジョウもすごくおもしろかったです!
普通の動物とは違うルールで生きている感じがしますね。

そうですね。魚の性の仕組みは今でも研究が続けられていて、進化生物学や魚類学の中でも注目されている分野なんですよ。

ますます魚に興味がわいてきました!
もっといろいろ知りたくなっちゃいました!
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