ふなぬた
季節:冬 場所:群馬県娯楽郡板倉町 材料:ふな/大根/甘酢
利根川中流域の周辺は、昔から「水場」と呼ばれている。ふなやこいなどの川魚、えび類などの淡水貝がふんだんに取れる。
ふなはうろこを取り除いてから三枚におろし、横骨を取り除く。皮付きのみを包丁で細切りにしたものを大根おろしと甘酢でからませる。
風邪を引いたときや疲れたときには精がつくといわれ、好んで食べる。一年中作れるが、秋から冬にかけてがおいしい。
ふなのなんば味噌焼き
季節:冬 場所:石川県河北郡津幡町 材料:ふな/味噌/黒砂糖/とうがらし
川北潟周辺でよくつくられる料理の一つである。小鮒は生きているうちに竹串にさして焼き、焼けたところへなんば(とうがらし)味噌を塗る。何回も繰り返し味噌を付けて焼く。
なんば味噌は、すり鉢で味噌をよくすり、黒砂糖を割と多く加えて練るようにしたところへ、種を除いて細かくきざんたなんばをすりこむ。
味噌をつけながら囲炉裏や大火鉢で焼くので、焼けてくるとなんば味噌が炭火の上に落ちて、じゅーっといい匂いが漂う。家族がいつの間にか囲炉裏の周りに集まってくる。
そろばんなます
季節:冬 場所:石川県川北郡津幡町 材料:ふな/大根/酢/醤油、味噌/塩
寒ぶなは腹の中に何も入っていないので、匂いがなくおいしいと言われる。こぶなのうろこを引いて頭と内臓を取り除き、骨ごとそろばんだまのように刻む。はじめは塩水であらい、次に酢につける。大根おろしに醤油を入れて味付け、ふなのそろばんを加えて酢で味を調える。
醤油の代わりに味噌を入れることもある。
生きているふなをそのまま使い、骨ごと食べられるので、歯ごたえがある。
ふな味噌
フナ味噌は愛知県や岐阜県に広まる郷土料理の一つである。
知名度でこそふなずしには敵わないが、比較的有名な料理の一つである。
季節は冬に食べられることが多い。
岐阜県の場合
季節:冬 場所:岐阜県海図郡海津町 材料:ふな/大豆/味噌/砂糖/酢
これがでてくると誰もが冬を実感する。ふなは生でもよいが、いったん焼いた方が臭みがとれる。これにたっぷりの水でことこと煮続ける。途中で酢をたらしてもよいが、塩気を加えるとなかなか火が通らない。骨まで柔らかくなったら味噌と砂糖を入れ、とろりとなるまで再び煮詰める。豆を入れる場合は、初めからふなといっしょに炊き込む。豆の入った鮒味噌はやや高級なものである。
なおこの地域では燃料のほとんどが藁であるため、弱火で炊きつづけるのは、非常に困難である。こんなときは畑の桑の木や溝端の柳の木を切ってきたり、知り合いに通じて割り木や木の葉を貰ったりするが、手に入らなければ、籾殻やまき柄で日を長く持たせる。火を守る手間は大変なもので、この種の煮物は大量に作っておく。
愛知県稲沢市の場合
季節:冬 場所:愛知県稲沢市 材料:ふな/もち米/大豆/味噌/砂糖
冬にふながたくさん取れるとふな味噌を作っておく。
分量はふな10匹に対して大豆2合、もち米3号、味噌茶碗1杯、砂糖茶碗1杯。
ふなはうろこと腹を取り除く。三升鍋にふなと大豆を入れ、水をたっぷり加えて、二日煮る。骨まで柔らかくなったところで味噌と砂糖を加え、そこへ、もち米を洗わないで上からぱらぱらと加えて似る。米の芯がなくなると、かき回して味を見る。ご飯によく会う常備菜である。
愛知県海辺郡の場合
季節:冬 場所:愛知県海辺郡立田村 材料:ふな/大豆/味噌/砂糖/酒/生姜
ふなが取れるとたまり(買った醤油に味噌の上澄みを加えて煮立てた調味料)に煮付けることがあるが、ふな味噌にすることが多い。
ふなはうろこ、内臓を取り除き、一晩付けた大豆を鍋に入れ、素の上にふなを乗せて水煮をし、吹き上がったら一度水を捨てる。。水を入れなおし、沸騰したら、味噌、砂糖、酒を入れて、味噌が溶け出したら生姜の千切りを入れる。焦げ付かないように弱火で時間をかけて煮込む。ふなが煮崩れしないように気をつける。ふなを焼いてから似ると煮崩れしない。
糸づくり子つけ
季節:冬 場所:島根県松江市西浜佐陀町 材料:ふな/ふなの卵巣/醤油/酒/砂糖、塩
ふなはうろこを取って三枚におろす。まな板をきれいに洗い、乾いた雑巾でよくふき取る。 うろこが一枚でもまな板についていると生臭くなるから特に気をつける。三枚におろした身の皮の方をまな板に貼り付け上のほうから薄く身をそいでいく。そぎ取った身を立てに細く糸のように切る。
ふなの卵巣を揉み解し、、多目の湯の中に入れ、そっとしゃもじで混ぜると卵がぱらぱらに離れ、きれいな黄色になる。
これをざるにあげ、水の入った器に移し、何回も水を替えて卵の袋を洗い流す。きれいになったら布巾に上げて絞り、ほぐしておく。鍋に和紙を敷いて卵を入れ、広げながらとろ火で乾かす。
ぱらぱらになったら冷やし、糸づくりにまぶす。ふなの皮は湯引きするとくるくるっと巻くから、小口に切って盛り合わせる。
醤油、酒、砂糖を合わせた漬け汁を煮立てて冷ましておく。この漬け汁を多めにかけてそうめんのように食べる。
ふなのてっぱい
季節:冬 場所:香川県綾歌郡綾南町 材料:ふな/大根/人参/とうがらし/ねぎ/塩/酢味噌
ふなのてっぱいは、一年中ふなさえ手に入れば晩の酒の肴やおかずとしてすぐ作る。てっぱいが好きな人はふながないときはさばでも作る。花見や祭りの酒の肴にも最高である。
まずふなを三枚におろし、て骨をとり、二分くらいの幅に切る。塩を振り、五時間ぐらい置き、酢につける。
彩りに大根と人参を薄く短冊に切り、塩を振ってよく混ぜ、しばらく置く。しんなりしたら、布巾でよく絞る。別にとんがらしの入った酢味噌を作る。酢漬けにしたふなが白くなり始めたら、軽く絞り、大根、人参とともに酢味噌で合える。刻みネギを振って出来上がり。
ふなは年中食べるが、寒ぶなが泥臭さがなくておいしい。四月の産卵前のふなは特においしい。
秋の彼岸が過ぎ、水の心配がなくなると、共同の池の水を抜き、干しあがったところでふなやウナギを取る。
ふなの昆布巻き
季節:冬 場所:長崎県北高来郡森山町 材料:ふな/こんぶ/かんぴょう/竹の皮/大根/生姜/味噌/砂糖/酒
秋から冬にかけてフナは脂がのっている。昆布巻きにはこのようなふながおいしい。冬は掘割の泥の中にもぐっているので、とったフナは2,3日きれいな水に放して泥を吐かせる。あるいは、秋の水落としのときにとったふなを尾鰭を切り、フナ川や共同の溜め池に放して置いたものをとってくる。
フナの昆布巻きは、10匹のフナに野菜昆布(煮物用昆布)5尺ぐらい。昆布はさっと水洗いして、布巾で水気を拭きしばらく軒につるして半乾きにする。フナは頭の付け根のところを包丁の先で突いて殺しを入れる。うろこを付けたまま、頭のほうから、包帯を巻く要領で昆布をふなの体に合わせて巻いていく。
その上を、解けないようにかんぴょうや竹の皮を裂いたものでまいて結ぶ。
大きな鉄鍋のそこに竹の皮を敷き、大根の大きいのを2本、厚さ1寸ぐらいの輪切りにしておき、ふなに乗せる。その上に生姜の千切りを散らす。茶碗一杯から一杯半の味噌を一升ぐらいの水で研いで一度濾し、砂糖を大さじ一杯、酒があれば一合ぐらい入れて煮汁を用意する。
この煮汁は、初め半量ほどいれ、途中で継ぎ足していく。日は簿に経つまでは強火にし、あとは弱火にして半日から丸1日似る。醤油、水あめを食らえてもよい。
ふなは長く煮るので、よく味がしみこみ、うろこも骨も柔らかくなっている。
また、下の大根は、昆布、ふな、味噌の味がなじみあい、口に入れると、すぐとろけるようにやわrかくておいしい。
昆布巻きは適当に切って盛り付ける。これがさめたものもおいしい。
*手のかかる昆布巻きにしないで同じように炊いたものを「子繰り大根」と言う。
まとめ
いかがでしたでしょうか、
もし、このほかに地元で作っているフナの料理などがあれば教えてください。
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