埼玉県自然学習センター｜フナのいる小さな水族館

埼玉県自然学習センター

埼玉県自然学習センターは、県内における自然学習・環境教育の拠点として、子どもから大人まで幅広く自然に親しめる施設です。館内には野生動物の標本や自然に関する資料が展示され、ネイチャーシアターなど体験型の学習設備も整っています。

その一角にあるのが、魚類展示コーナー「公園のおさかなウォっちんぐ」です。

小さな展示ながらも見どころのある水槽

展示スペースには2基の水槽が設置されており、いずれも地域の自然環境を反映した内容となっています。

小型魚を中心とした水槽

1つ目の水槽では、メダカとホトケドジョウが展示されています。

いずれも体長数センチほどの小型種で、特にホトケドジョウは埼玉県内でも希少な存在です。

ゆったりと泳ぐ姿からは、里山の用水路や小川の風景が思い出されます。

フナの姿を確認できた大型水槽

もう1つの水槽は、180cm以上ある大型水槽です。

こちらで確認できたのが、ギンブナ（体長10cm未満）の個体でした。

やや痩せ気味の体型で、全体的に存在感は控えめですが、注意深く観察するとその繊細な泳ぎや体色の違いがわかります。

混泳魚との比較

この水槽には、モツゴとタモロコも一緒に泳いでいます。

いずれもフナと体長が近く、やや大きめな個体も見られました。

特にタモロコとは体型も似ており、パッと見ただけでは区別がつきにくいかもしれません。観察力が試される展示です。

水槽設備と管理状態

この水槽には上部フィルターが設置されており、水中には比較的大きめのポンプが置かれていました。

ただし、底面フィルターとの接続はなく、ポンプの存在感がやや目立ちます。

気になる点として、水槽の水位が低く、全体の半分ほどしか水が入っていませんでした。これは吸い上げる高さが高すぎることによる水量不足かもしれません。
排水する量が一定ではなかったので安定して稼働しているようには見えませんね。

照明から水面までの距離があるので、照明の光が水面に反射し、水中の雰囲気は美しくなりますが、魚の生活環境としてはやや不安が残ります。

あとは水質も気になりますね。

水質もやや黄色みがかっており、濾過能力やメンテナンスに課題があるように感じられました。

壁面には茶ゴケも目立ち、光量不足や掃除の頻度が関係している可能性があります。

環境構成と観察の工夫

水槽内の底には砂利が敷かれ、流木や岩といったアクセサリーも設置されていました。自然環境を模したレイアウトで、魚たちの隠れ家にもなっています。

ただし、カメラを向けると魚がすぐに逃げてしまうため、撮影はやや難易度高めです。照明の光量も控えめで、きれいに撮影するには根気と工夫が必要かもしれません。

施設概要（埼玉県自然学習センター）

• 住所
  〒364-0026 埼玉県北本市荒井5‑200（または荒井5‑201）
• 電話番号
  048‑593‑2891
• 公式ウェブサイト
  https://www.saitama-shizen.info/
• 開館時間
  通常 9:00～17:00
  ※夏季やホタル観察時期は延長開館の場合あり（～19:30）
• 休館日
  月曜日（祝日の場合は開館）
  祝日の翌平日（ただし土・日・祝日の場合は開館）
  春休み・夏休みなどの繁忙期は臨時開館あり
• 入館料
  無料（通常展示の見学は無料）
  ※イベント等によっては参加費が必要となる場合あり

アクセス方法

• 公共交通機関
  JR高崎線「北本駅」西口よりバスで約15分
  行先：「北里大学メディカルセンター」または「石戸蒲ザクラ入口」行き
  「自然観察公園前」バス停で下車し、徒歩約3分
• 自動車
  圏央道・桶川北本ICから北へ約2〜4km
  駐車場：無料、約100台分あり

まとめ

埼玉県自然学習センターの水槽展示は、大型施設のような派手さはないものの、地域に根ざした魚たちの暮らしを身近に感じられる貴重な場です。特に、ギンブナやホトケドジョウといった在来種の観察は、地域の自然を学ぶうえでも価値があります。

展示の質を高めるには、水質管理や水位の調整、照明の強化などの改善も期待されますが、それを差し引いても、フナとその仲間たちをじっくり観察したい人にとっては一見の価値ありといえるでしょう。