コイとカメだけが目立つ水辺——木田の川沿いを歩いて考えたこと

環境学

先日、木田駅の周辺を歩く機会がありました。
明確な目的地があったわけではありません。
駅を降りて、街中を少し散策しながら地図を見ていると、近くに川があることに気づきました。

先生
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私は水辺が好きです。
川や用水路があると、つい「どんな魚がいるのか」「岸辺はどんな環境なのか」「水草は生えているのか」と気になってしまいます。

そこで今回は、地図に表示されていた川を目指して歩いてみることにしました。

自然の川というより大きな用水路

木田駅周辺の用水路

しばらく歩くと、目的の川に着きました。川幅も水量もありましたが、自然の川というより、大きな用水路に近い雰囲気でした。

岸辺はコンクリートで固められ、水草や抽水植物もあまり見られません。底には泥がたまっているように見えました。

もちろん、これは散歩中に見た範囲での印象です。季節や時間帯によって、見える生き物は変わるでしょう。

先生
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それでも、その時の水辺には、少し寂しさを感じました。

目立っていたのはコイとミシシッピアカミミガメ

その川で目立っていた生き物は、コイとミシシッピアカミミガメでした。

水底の泥を吸い込むようにして泳ぐ大きなコイ。水面近くをふらふらと泳いでいるミシシッピアカミミガメ。どちらも体が大きく、遠くからでもよく目立ちます。人が近づいてもすぐに逃げるわけではなく、堂々と水中にいるように見えました。

一方で、フナ、オイカワ、メダカ、ヨシノボリ類のような底生魚、水生昆虫などは、少なくともその時は見つけることができませんでした。もしかしたら、橋の下や護岸の隙間、流れの影などを丁寧に探せば、他の魚もいたのかもしれません。

先生
先生

しかし、散歩中の私の目に入ってきたのは、
ほとんどコイとミシシッピアカミミガメだけでした。

小さな魚が見えにくい理由

なぜ、この川では小さな魚が目立たなかったのでしょうか。考えられる理由のひとつは、水辺の構造が単調になっていることです。

魚が生きていくためには、ただ水があればよいわけではありません。特に小さな魚や稚魚にとっては、隠れ家や産卵場所が必要です。
フナやメダカのような魚にとって、水草や抽水植物は卵を産みつける場所になり、稚魚が外敵から身を隠す場所にもなります。
また、水草の周辺には微生物や水生昆虫も集まり、魚たちのエサ場にもなります。

近所の三面コンクリート

しかし、岸辺がコンクリートで固められ、水際に植物が少ない環境では、そうした小さな命の居場所が少なくなります。大きな魚は泳ぎ続けることができても、卵や稚魚はそうはいきません。

卵を産みつける場所がなければ、次の世代につながりにくくなります。孵化した稚魚が隠れる場所がなければ、すぐに食べられてしまうかもしれません。

先生
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つまり、成魚が見えているからといって、
その水辺で魚たちが世代をつないでいるとは限らないのです。

コイは水辺を変える魚なのか

水面に集まるコイ|愛知県の用水路にて

この水辺を見ていて、私はコイの存在についても考えました。コイは水底の泥を吸い込みながらエサを探すため、泥が巻き上がると水が濁り、水草が育ちにくくなる可能性があります。

水草が減れば、小さな魚や水生昆虫のすみかも少なくなり、大きくて丈夫な生き物ばかりが目立つ水辺になるかもしれません。

ただし、この環境をコイだけのせいにはできません。護岸工事や水路の管理、水質、流速、外来生物など、さまざまな要因が重なっているはずです。

先生
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コイが環境を変えたのか、
生き物がすみにくい環境になった結果としてコイだけが目立つようになったのか。
その答えは、散歩中の観察だけではわかりません。

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大きな成魚だけが残る水辺

さらに気になったのは、コイもまた、若い個体がたくさん見えたわけではないことです。

目立っていたのは、大きな成魚でした。小さなコイや稚魚が群れているような様子は、少なくとも私には見えませんでした。

コイは長生きする魚です。そのため、仮に繁殖がうまくいかない環境でも、成魚だけは長く残り続けることがあります。メダカやオイカワのような小型魚は、世代交代がうまくいかなければ姿を消しやすいでしょう。しかし、大型のコイはすぐにいなくなるわけではありません。

先生
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そう考えると、
その川は「魚がたくさんいる川」というよりも、長生きな大型個体が残っている水辺に近いのかもしれません。

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生き物が見える水辺と暮らせる水辺

と言いつつ、川に魚が見えるだけで少し嬉しく感じている私もいます。

難しいのは、地域の人にとって、その水辺が必ずしも悪い場所には見えないことです。大きなコイが泳ぎ、カメが浮かび、水も流れている。そう見れば「生き物のいる水路」と感じるかもしれません。

また、コンクリート護岸にも洪水を防ぎ、人の暮らしを守る役割があります。そのため、単純に悪者にすることはできません。

それでも私は、生き物が見える水辺と、生き物が暮らせる水辺は同じではないのだと感じました。

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岸辺の余白が生き物を支える

側面がコンクリートでも水草があるだけで生態系が生きる環境ができる(四国水族館にて)

川や池の面白さは、水の中だけにあるわけではありません。水と陸が接する場所、岸辺の草むら、浅瀬、泥、石の隙間、水草の茂み。そうした場所には、さまざまな生き物が関わっています。

魚が卵を産む。稚魚が隠れる。水生昆虫が育つ。鳥がエサを探す。カエルやトンボが水辺を利用する。このように、水と陸の境目にある豊かな環境は、多くの命を支える大切な場所です。

しかし、コンクリートでまっすぐに固められた水辺では、この境目がとても単調になります。水はある。魚もいる。でも、岸辺の余白が少ない。小さな命が育つ場所が少ない。
その結果、大きくて丈夫な生き物だけが目立つ水辺になっていくのかもしれません。

まとめ:身近な水辺を見る目を持つ

今回歩いた川で、私はフナを見つけることができませんでした。季節や場所を変えれば他の魚が見つかるかもしれませんが、少し残念な気持ちになりました。

大きなコイやカメがいるからといって、豊かな水辺とは限りません。水草や稚魚の隠れ家、次の世代につながる環境があるのかを見ることも大切です。

今回の散歩は、「魚がいる水辺」と「魚が暮らし続けられる水辺」は違うのだと考えるきっかけになりました。

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