黄金展を見て、私が思い出したのはキンブナだった

魚名学
先生
先生

今回は「黄金展を見て、私が思い出したのはキンブナだった」というテーマでお話しします。

女の子
女の子

黄金展なのに、フナの話になるんですか?

先生
先生

はい。金という金属の美しさを見ていたら、川で見たキンブナの鱗の輝きを思い出したのです。

男の子
男の子

美術館の展示と身近な魚がつながるなんて面白いですね。

先日、滋賀県にある「MIHO MUSEUM」にて企画展『黄金展〜古代の黄金の物語』を観てきました。

展示されていたのは、古代から人々を惹きつけてきた金の装飾品や工芸品の数々。
金という金属は、錆びにくく、美しい輝きを長く保つことから、古くから神聖さ、富、権力、永遠性の象徴として扱われてきました。
王や貴族の装飾品、宗教的な祭具、死者への供物、仏教美術、金箔を用いた工芸品。

金は単なる金属ではなく、人間が「価値あるもの」「美しいもの」「特別なもの」として見つめてきた存在なのだと感じました。

先生
先生

しかし、その展示を観ながら、私の頭にふと浮かんだものがあります。
それは、「キンブナ(金鮒)」でした。

男の子
男の子

ここでも魚かよ

金と聞いて、なぜフナを思い出したのか

本来ならば、黄金展を観た感想としては、美術史や工芸技術、宗教性、金属文化について考えるべきだったのかもしれません。

先生
先生

けれど、私にとって「金」という言葉は、どうしても身近な「フナ」と結びつきます。

フナの仲間には、キンブナとギンブナという名前の魚がいます。名前に「金」と「銀」が使われているのです。
もちろん、フナの体に本物の金や銀が含まれているわけではありません。
けれど、川や池でフナを釣り上げたとき、光を受けた鱗が金属のように輝く瞬間があります。

私も初めて川でフナを釣り上げたとき、網の中で光る鱗を見て、思わず見入ってしまったことがあります。

先生
先生

普段は地味な魚だと思っていたフナが、水から上がった瞬間、
まるで別の魚のように美しく見えたのです。
その記憶が、黄金展の中でよみがえりました。

キンブナとギンブナの名前

キンブナは、黄褐色や赤褐色を帯びた体色を持ち、鱗の縁や体表が金色がかって見えることがあります。
一方、ギンブナは銀白色の光沢を感じさせる体色を持ちます。

この「金」や「銀」という名前は、厳密な色の分類というよりも、
人間が魚を見たときの印象から生まれた言葉なのではないかと思います。

魚を釣り上げたとき、網の中で跳ねる魚体に光が当たる。

ギンブナを捕獲

水滴をまとった鱗が、一瞬だけ強く輝く。
その光沢を見た昔の人が、「これは金のようだ」「こちらは銀のようだ」と感じた。

先生
先生

キンブナやギンブナという名前には、そうした観察者の感動が残っているように思えます。

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魚に金色や銀色の色素はあるのか

先生
先生

魚の体色を考えるうえで重要なのが、色素胞です。

魚の体には、黒色素胞、黄色素胞、赤色素胞、虹色素胞などがあり、
それらの組み合わせによって体色が生まれます。

先生
先生

ここで大切なのは、
魚に「金色の色素」や「銀色の色素」があるわけではないということです。

黄色っぽさには黄色素胞が関係します。そして、金属のような光沢には虹色素胞が関係します。
虹色素胞は光を反射する構造を持ち、銀色や金属光沢のような見た目を作り出します。

つまり、キンブナやギンブナの美しさは、単なる色ではありません。
色素による色味と、光の反射による輝きが重なって生まれるものなのです。

先生
先生

金や銀という名前は、魚そのものの色だけでなく、
「光を受けたときの見え方」を表した言葉だといえるでしょう。

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金魚・銀魚・鉄魚という名前

女の子
女の子

そういえば、金魚も「金」がつきますね、
これはどうしてですか?

魚の世界には、フナ以外にも金属の名前を持つ魚がいます。
代表的なのが金魚です。金魚は赤い魚という印象が強いですが、名前には「金」が使われています。
これは見た目の色だけでなく、金という言葉が持つ縁起の良さや価値の高さとも関係しているのでしょう。

また、金魚の品種の中には銀魚と呼ばれるものもあります。白銀色に輝く体を持ち、金魚とはまた違った静かな美しさを感じさせる存在です。

さらに、鉄魚という魚もいます。宮城県の魚取沼で知られる魚で、黒っぽい体色から鉄のような印象を受けるため、その名がついたとされます。

金魚、銀魚、鉄魚。これらの名前を並べると、人間が魚の体表に映る光や色を、金属にたとえてきたことがわかります。

先生
先生

魚の名前に使われる金属名は、実際の成分を表しているのではありません。
そこには、見た目の質感、光沢、価値、印象が込められているのです。

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黄金展で気づいた、自分にとっての金

黄金展を観ながら、私は自分にとっての「金」とは何かを考えました。

多くの人にとって、金は宝飾品や小判、仏像、王冠、富や権力の象徴かもしれません。実際、展示されていた金の工芸品には、人間が金に託してきた強い憧れや信仰が感じられました。

しかし、私にとって強く思い出された金は、川で釣り上げたフナの鱗の輝きでした。

これは少し安直な連想かもしれません。美術館で金の展示を観て、キンブナを思い出す人は多くないでしょう。
けれど、それは私が長くフナを見つめてきたからこそ生まれた感想でもあります。

人は、自分が大切にしてきたものを通して世界を見ます。建築に関心がある人は建物を見る。写真が好きな人は光を見る。地質に関心がある人は石を見る。

先生
先生

そして私は、金の展示を見て、フナを思い出しました。

金属の輝きと魚の鱗

金という金属は、人類にとって特別な存在でした。
錆びにくく、変色しにくく、美しい輝きを保ち続ける。だからこそ、神や王、死者、祈り、富と結びついてきました。

先生
先生

一方で、フナの鱗の輝きは一瞬です。

水中で泳いでいるときは目立たず、泥や水草の色に紛れている。けれど、釣り上げられた瞬間、光を反射して金や銀のように輝く。

永遠の輝きを持つ金属の金と、一瞬だけ光るフナの鱗。
両者はまったく違うものです。けれど、人間がそこに美しさを見出したという点では、どこか通じるものがあります。

まとめ

先生
先生

ということで、今回は「黄金展を見て、私が思い出したのはキンブナだった」というテーマでお話ししました。

男の子
男の子

金という金属の価値と、フナの鱗の輝きが結びつくなんて驚きました。

先生
先生

魚の名前には、人間が感じた美しさや感動が込められているのかもしれません。

女の子
女の子

これからフナを見るとき、その名前の意味まで考えたくなりました。

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