
今回は「魚を見せる展示と環境を見せる展示」について解説していきます。
シンマリホ水族館の展示方法に魅力を感じたので紹介します。

水族館って魚を見る場所だと思っていましたが、
魚だけではなく、その魚が暮らしている環境を見せる展示もあるんですね。

そうですね。魚そのものを目立たせるだけでなく、
水流や岩、照明などを使って生息環境まで表現した水槽が印象的でした。

魚が見えやすい水槽と、自然に近い環境を再現した水槽では、
楽しみ方や伝えたいことも変わってきそうですね。

その通りです。この記事を読めば
「魚を見せる展示と環境を見せる展示の違い」がわかるようになるでしょう、
それでは授業を始めます。
大型水槽がなくても成立する都市型水族館


シンマリホ水族館は、
ショッピングモール内に設けられた比較的小規模な水族館です。
巨大な水塊を眺める大水槽や、広い通路を使った大規模な展示はありません。
それでも、規模の小ささを物足りなく感じさせない工夫がありました。
館内は青色を基調とした暗く落ち着いた空間で、水槽ごとに必要な部分だけが照らされています。



館内全体を一様に明るくするのではなく、
生きものやレイアウトに合わせて光を使い分ける「適材適照」の展示です。
その雰囲気は、アートアクアリウムの演出性を、
より水族館側へ落とし込んだものにも感じられました。
ただし、装飾や照明だけを見せる空間ではありません。
演出の中心には、あくまで生きものと生息環境があります。

余計なものを見せず、
水槽そのものを一つの作品として完成させることで、
より洗練された水族館らしい展示になっているんですね。
魚を見せる展示とは


水族館の水槽には、さまざまな役割があります。
なかでも分かりやすいのが、来館者へ魚の姿を見せる展示です。
魚の体色や模様、泳ぎ方、大きさなどを観察しやすくするために、
視界を遮る装飾を減らし、明るい照明を当てます。
魚が水槽の前面へ出やすいようにレイアウトを調整することもあります。

このような展示では、
「どのような魚がいるのか」が一目で分かります。


特定の種類を紹介する分類展示や、
魚そのものの美しさを伝える水槽では、とても重要な見せ方です。

魚を見やすくするために環境を整えることも、
魚の魅力を伝えるための大切な展示方法なんですね。
環境を見せる展示とは



一方で、シンマリホ水族館から強く感じたのは、
魚だけでなく「魚が暮らす場所」を見せようとする姿勢でした。
水槽には岩、底砂、流木、水草、水流、明暗などが取り入れられています。
ただのベアタンクに魚を入れるのではなく、それぞれの水槽にテーマを持たせ、
自然界の一場面を切り取るように展示していました。

環境を見せる展示では、魚が常に見やすい場所へ出てくるとは限りません。
岩陰へ隠れたり、暗い場所で休んだり、水流の弱い場所へ移動したりします。
しかし、その行動も含めて魚の暮らしです。

このような水槽では、「魚がどこにいるのか」だけでなく、
「なぜそこにいるのか」を考えられます。
- どのような流れを好むのか
- どこを隠れ場所として使うのか
- 明るい場所と暗い場所をどのように使い分けているのか

魚そのものだけでなく、どんな環境で暮らし、
そこをどう利用しているのかまで考えながら観察できる展示なんですね。
上流の速い流れを表現した水槽



特に印象に残ったのが、
オオサンショウウオや河川上流域の環境を表現した水槽です。
岩を組んだレイアウトだけでなく、水中に生まれる泡によって、
上流の速い流れを視覚的に表していました。
白い光と青い光を使い分け、水中の明暗や奥行きを演出している点も水族館らしい表現です。

一方で、水流が強いためか、魚は岩陰などへ隠れており、
簡単には姿を確認できませんでした。
魚が見えない展示はダメなのか


魚が見えない水槽は、展示として失敗なのでしょうか。

そんなことありませんよ。
魚そのものを必ず見せることが目的なら、見つけにくさは欠点になります。
しかし、環境で魚がどこに身を寄せるのかを見せることが目的なら、
隠れている姿にも意味があります。
自然の川でも、魚は人間の都合に合わせて目の前へ出てきません。
岩の下、水草の間、流れが弱くなった場所、岸辺の影などを探し、ようやく姿を見つけられます。

魚を探す行為まで含めて楽しめるなら、
見えにくさも環境展示の一部になるんですかね。
広島もとまち水族館との違い


今回の広島訪問では、広島もとまち水族館でも上流域を表現した水槽を見ました。
擬岩や植栽、ミストなどを組み合わせた展示は完成度が高く、魚を含めた風景を美しく見せています。

どちらも環境を意識した水槽ですが、
受けた印象には違いがありました。
- 広島もとまち水族館
環境を美しく構成しながら、
来館者へその中にいる「魚を魅力的に見せる展示」 - シンマリホ水族館
魚が見えにくくなる可能性も受け入れながら、
魚が暮らす「環境そのものを見せる展示」

言い換えるなら、
広島もとまち水族館は「環境を使って魚を見せる展示」
シンマリホ水族館は「魚を通して環境を見せる展示」です。

どっちがいいんですか?

どちらが優れているという話ではありません。
展示の目的が違えば、選ばれる表現も変わりますからね。
子どもには少し読み解きにくい展示

水槽に込められたテーマを意識し、じっくり観察することで魅力が伝わる構成です。
その一方で、
小さな子どもが楽しむには、展示の意図を少し読み解く必要がありますね。
ここの水族館では魚がすぐに見つからず、次の水槽へ移動する子どもも見られました。
また、水槽によっては展示位置が高く、背の低い子どもには見づらそうな場所もあります。
上部が開放された水槽では、中へ手を伸ばす子どもの姿もありました。

なかにはゴンズイがいる水槽へ手を入れようとする、
最高にロックな子どもまでいました。

無知は罪ですね・・・。
展示の美しさだけでなく、子どもの視線の高さや安全性についても工夫が必要なのかもしれません。
一方、館内中央にある大型スクリーンの映像展示は、子どもたちにも人気でした。
クラゲやダイバーが泳ぐ大水槽を模した映像は、解説を読まなくても直感的に楽しめます。

じっくり観察したい人も、映像を直感的に楽しみたい人も、
それぞれの楽しみ方ができる工夫がされているんですね。
まとめ

ということで、
今回は「魚を見せる展示と環境を見せる展示」について解説していきました。

魚がすぐに見えなくても、隠れている場所や行動を探すことで、
その魚がどのような環境で暮らしているのかまで考えられるんですね。

そうですね。
魚そのものを見せるだけでなく、水流や岩、照明などを通して生息環境を伝えることも、水族館展示の大切な役割です。

シンマリホ水族館は、
水槽の大きさではなく、一つひとつの水槽から魚と環境の関係を読み解く
そんな楽しさがある水族館だったんですね。

その通りです。
それでは今日の授業はこれで終わりです。また次の記事でお会いしましょう。
施設情報(シン・マリホ水族館)
- 住所
〒733-8624 広島県広島市西区草津新町2-26-1 アルパーク東棟3階 - 電話番号
082-278-1616 - 公式サイト
シン・マリホ水族館公式サイト - 営業時間
平日10:00~18:00、土日祝10:00~19:00を基本とし、特定日などは変更あり。最終入館は閉館30分前。営業日によって変動するため、公式サイトの営業日カレンダーを要確認 - 休館日
基本的に第3木曜日。繁忙期などは休館日がない月もあり - 入館料
平日:大人(16歳以上)1,200円、小人(7~15歳)700円、幼児(3~6歳)400円。
土日祝・特定日:大人1,400円、小人800円、幼児500円。2歳以下無料
アクセス
- 公共交通機関
JR山陽本線「新井口駅」から徒歩約3分。広島電鉄宮島線「商工センター入口駅」から徒歩約3分、ペデストリアンデッキでアルパークへ直結。広島バス「アルパーク東棟1Fバスターミナル」下車 - 自家用車
アルパーク東棟を目的地として来館可能。東棟駐車場へは南棟駐車場入口から入庫。混雑時は周辺道路の案内に従って利用 - 駐車場
アルパーク駐車場を利用。東棟・南棟・西棟は最初の4時間無料、北棟は最初の2時間無料。以降30分ごとに200円。東棟・南棟駐車場の入庫時間は8:00~23:00


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