【環境学】フナと放射能の関係

水産学

フナと放射能汚染

ども、あおいふなです。今回はフナの環境学の一環としてフナの放射能汚染について解説と私なりの考察を残していきたいと思います。

環境中のセシウムの流れと溜り

 2011年3月11日にあった東日本大震災。それが原因で3月から4月にかけて東京電力福島第一原発から吹き出したセシウム137やヨウ素131の人工放射能は気流と雲により流れ、降雨として地表や水面に沈着したものが多い。

淡水域に流入した者は、水や懸濁物、底質の間に循環するものもあれば、淡水域にとどまらずに海洋に流出してしまう放射性物質の流れもある。

 今回の原発の事故で環境中に放出された放射性物質の4/5近くが海に流れ込んだという指摘があるが、2~30年の間に淡水系を経てゆっくりと海へ流れ出していくという流れもあり、その量的把握は難しい。特に淡水域の底質は、そのような放射性物質の流れにおける溜りとなっている。

底質とセシウム

 湖底の沈殿物中では粒経3~4ミクロン以下の粒子がもっともセシウム137と結びつきやすく、セシウム濃度が高くなる。しかも、底質のセシウム濃度は土壌と比べてなかなか下がらないのが特徴がある。

そのため、ギンブナのような底質に依存する魚はセシウムに蓄積しやすい。底泥というセシウムの溜まりやすいものを食べているということもあり、非常に数値が高い。

ちなみに、当時は霞ヶ浦ではギンブナの捕食者であるアメリカオオナマズやウナギがもっとも高い数値を示していた。

霞ケ浦のナマズとフナから基準値超えセシウム 出荷自粛を要請

 2012年4月14日、茨城県の霞ケ浦と北浦で9~10の間に取れたアメリカナマズとギンブナから、
食品の新基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える175~112ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。県は流入河川も含め、周辺の漁協に出荷自粛を要請した。

 フナが放射線汚染にあったと報道されたのはこれが初めてである。原発の放射線漏れがフナにも影響を与えてしまったという事実は非常に衝撃的である。

採取日品目漁場放射性ヨウ素  131放射性セシウム134放射性セシウム137分析結果
3月1日フナ手賀沼検出せず(8.2未満) 160ベクレル/kg240ベクレル/kg暫定規制値以下
単位:ベクレル/kg
※暫定規制値(魚)
放射性ヨウ素:2,000ベクレル/kg
放射性セシウム:500ベクレル/kg

フナの多様性を保全することの重要性

 日本の各地にそれぞれの文化があるように、それぞれの地域にはそれぞれのフナが住んでいる。地域文化がかけがえのない大切なものであるのと同じように、フナの地域集団もかけがえのない大切なものである。

 フナといえば、どこにでもいる普通の魚と思われがちだが、河川改修や外来魚の移殖により、個体数が減っている。また、他の地域から人為的に持ち込まれたフナの影響で、遺伝子の固有性が撹乱された地域もある。フナの多様性を保全するために、遺伝子レベルでの集団識別を考慮した,固有フナの保全が必要である。

 フナの生息場所である水辺の環境を守り、フナを本来の生息地の外にむやみに持ち出さないことがフナの多様性を保全するためにとても重要である。

まとめ

いかがでしたでしょうか。もう10年にはなりますね。今、福島の周辺は逆に人が立ち寄らないために自然が増えたと言う記事がありました。

確かにフナに対しても放射能汚染はありましたが、フナも代を重ねて世代交代することで影響が少しずつ小さくなっています。

そして人が手を入れないことで自然環境が良くなってしまったと言うのは、
フナにとってこの出来事は皮肉ながらいいことだったのかもしれませんね。

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