ども、あおいふなです。今回はフナの育成において重要な飼料の栄養素について解説していきます。
今では多くの魚類に適合するようにブレンドされた餌が出回っていますが、成分表示をみてどのような影響を与えるのか見ていきましょう。
タンパク質とアミノ酸
タンパク質は主に炭素、酸素、水素、窒素および硫黄などが化合してできたアミノ酸がさらに結合しできたものである。体内では筋肉、臓器、血液などの重要な成分であり、また、酵素やホルモンとして重要な働きをしている。
タンパク質を分解すると20種類のアミノ酸に分解される。これらアミノ酸のうち、約8~10種類は自分の体内では作ることができないので、食物からとらなければいけない。これらアミノ酸は人間とおなじで
必須アミノ酸
- アルギニン
- ヒスチジン
- イソロイシン
- ロイシン
- リジン
- メチオニン
- フェニルアラニン
- スレオニン
- バリン
- トリプトファン
の10種であり、これらを必須アミノ酸と呼ぶ。
フナとタンパク質
コイやフナは部分的な研究をなされたのみなので、全般的なことはわかっていないが、前記の10種の必須アミノ酸を必要として考えを進めるべきである。
タンパク質を硫酸で分解するとアミノ酸を経てアンモニアとなる。このアンモニアの窒素を測定すると、天然のタンパク質の場合にはほとんどのが15~18%の範囲にあることから、タンパク質を測定する方法として、その窒素の標準含有量を16と仮定して、窒素の測定値に6.25を乗じてタンパク質として表示することが一般的に行われている。
タンパク質には動物性のものと植物性のものがあり、一般には動物性がよく、植物性がよくないとされているが、この理由には前記した必須アミノ酸が多く、しかもバランスよく含まれている場合が多いということであって、すべての動物性タンパク質がよいというわけではない。
タンパク質の良否はその消化性とそれに含まれるアミノ酸のバランスによって決められるべきである。したがって、種々のタンパク質を混合使用すると、それぞれの長所、短所が相殺されて結果としては欠点の少ない飼料を作ることができる。
フナにおける適正なタンパク質含有量
フナや金魚はコイと同様に草食性であるといわれるが、このことは誤解を招いているようである。鳥類の場合にはタンパク質の含有量は20%でもっともよく生育するが、養殖魚の場合には、一般に高タンパクの飼料ほど成長が早く、その含量は40%以上である。
このような点から分類すると、魚は肉食性が多く、金魚もその範囲に入ることになる。
脂肪
脂肪は炭素、酸素、水素からなる脂肪酸とグリセリンとが結合したもので、生体中に広く分布し、カロリー源としてはもっとも熱量が多い。
脂肪は脂質の一部であり、ほかの脂質には脂溶性ビタミンやコレステロールなどがあり、これらはカロリー源としてはあまり効果はない。脂肪は前記したように、種々の脂肪酸とグリセリンとが結合したものであるので、その種類は非常に多い。
一般に脂肪中の炭素の数が多く、しかも二重結合の少ないものほど融点が高く、その反対のものは常温で油状のものが多い。現在までのところ、これら各々の脂肪のどのうちのものが栄養素としてよいかを調べた報告はないが、魚のような変温動物には比較的融点の低い脂肪を加えるのが、無難と考えられている。しかし、多くの場合、体内に蓄積された脂肪は固型化した状態のものが多い。食養魚の場合には脂肪が飼料とともに給与される。
脂肪の注意点
脂肪は、空気中で自動的に酸化され、酸化物や過酸化物を生じる。これらは生物に対して毒性を示すことが多く、コイのセコケ病、ニジマスの貧血病の一部は、これら酸敗した脂肪酸によることが知られている。脂肪含量の高い原料の購入、保管には充分な配慮が必要である。
フナにおける脂質
また、必須アミノ酸のような必須脂肪酸がニジマスなどの魚類で知られており、フナでも必須と思われるが、原料中のほとんどに含まれているので、とくに注意する必要はないだろう。これらの脂肪酸にはリノール酸、リノレン酸およびアラキドン酸であり、これらを総称してビタミンFと呼ぶことがある。
炭水化物
炭水化物は、炭素、水素、酸素が化合したもので、炭素の数によって三炭糖、五炭糖、六炭糖などと分けて呼ばれる。普通の動物は六炭糖を主な栄養源として利用するので、六炭糖についての説明をする。
六炭糖には、ブドウ糖、果糖のような単糖類、麦芽糖のように、単糖が2個結合した二糖類、それ以上多く結合した多糖類などがある。
でんぷんはブドウ糖が無数に結合したもので体内に消化されるとすべて一度はブドウ糖になり、その後、燃焼分解するか、体内でグリコーゲンあるいは脂肪に合成されて蓄積される。
でんぷんには生でんぷんと加熱糊化したでんぷんとがあり、天然のものはすべて生でんぷんである、
フナにおける炭水化物
コイ、フナは比較するとでんぷんの消化、利用は比較的上手で、かなり高い含量でも飼育が可能である。
これらは腸管の長いことがマス、ハマチなどに比較して草食性といわれるゆえんであろう。
ミネラル
ミネラルとは、無機物の総称であり、比較的簡単な組成のものが多く、からだの中では骨格の成分としてカルシウム、リン、炭素などがあり、血液を含む液体にはナトリウム、カリウム、クロールが多く、赤血球中には鉄が含まれている。
魚は鰓からミネラルを吸収するので、飼育水と飼料の両面から検討すべきであるが、実用的には飼料の成分のみを検討すれば足りる。骨格の形成の基盤となるカルシウム、リンは、化骨の進む孵化後1ヶ月以内くらいの間が大切な時期である。
変形魚は、漏電、サルファ剤の過剰投与、骨端障害剤、その他各々の物理、化学的な要因により起こる可能性がある。これら変形魚は、ある時期に病因があり、それに気づかずに過ごし、その後、魚が成長大型化し、初めて発見される場合が多くあるので、日頃充分な注意が必要であろう。
ビタミン
ビタミンとは、動物が生きるのに必要な物質で、ごく微量で有効な、しかも体では作ることができない物質である。
現在、魚では約15種類のものが必要と考えられているが、種によって要求性も欠乏症も異なる。現在までのところ、サケ、マス類、コイ、ウナギについての欠乏症と要求量が比較的よく研究されているので、コイの欠乏症と要求量について説明する。
コイの欠乏症と要求量
ビタミンは大別して、脂質にとける脂溶性ビタミンと、水に溶ける水溶性ビタミンがあり、その性質の概要をしめした。
脂溶性ビタミンのうち、ビタミンEを除いて、恒温動物では過剰症があるので、ビタミンだからと多く与えればよいというわけではない。一般には欠乏症が現れない最小要求量の10~20倍程度を加えるのが無難だろう。
さいごに
いかがでしたでしょうか、魚も人と同じように必要な栄養素は同じなんですね。
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