フナをはじめとする日本産淡水魚の地理的特徴
日本の淡水魚は2つの起源があります。それは中国大陸とシベリア大陸です。
日本は島国であり、国土は狭く大きな湖や河川がないので、ユーラシア大陸と比べて魚相は貧弱で種類数が少なく、一般に小型の傾向があります。
日本には60種類あまりの一次性淡水魚が生息していますが、その70%以上がフナをはじめとするコイ科魚類になります。
一方で二次性または周縁性淡水魚は変化に富んでいます。それは起源が複数ありますからね。
- シベリアまたは北洋起源
ヤツメウナギ類やサケ類とマス類・イトヨ類・カジカ類 - 中国起源
シラウオ類・オヤニラミ類 - インド-太平洋の熱帯系
ナマズ類・メダカ類・ハゼ類の
北海道の淡水魚
北海道は本土と著しく違って一次性淡水魚が非常に少なくて10種にも達せず、
その半分がウグイ類で占められ、ヤチウグイ、フクドジョウなどのシベリア大陸系種がいる。
二次性または周縁性淡水魚としてはユウフツヤツメ・シベリアヤツメ・エゾトミヨ・カンキョウカジカなどは大陸系で、ここが分布の南限にあたる。
北海道に生息しているフナとしてはギンブナがいます。
低水温環境でも棲息できています。
関東と東北地方の淡水魚
本州のその他の地域では一次性淡水魚は20種類前後で独自性が少ないが、二次性または周縁性淡水魚相は相当に違っている。
九州と四国の南部、紀伊半島ではハゼ類をはじめカライワシ・アカメ・ナガエバ・マルエバなどインド-太平洋の熱帯種が多い。
東北・関東・中部・中国地方にの日本海側にはサケ・マス類・イトヨ類など北方系の魚類が進出している。
関東地方にはギンブナの方がキンブナが、
東北地方の湖沼の一部ではナガブナが棲息していますね。
西日本の淡水魚
本土と北海道は旧北区に属するが、黒潮の影響が強く、うける本土南部域は熱帯系の二次性または周縁性淡水魚がかなり多いです。
本土のうち九州北西部、近畿中部および東海地方は一次性淡水魚が多くて30種以上に達しています。
特に琵琶湖と淀川水系では一次性淡水魚がもっとも多く、40種類以上に達し、フナ類のニゴロブナ・ゲンゴロウブナをはじめ、ホンモロコ・ワタカ・ハス・イワトコナマズ・ビワコオオナマズなど固有種が多いです。
琵琶湖の歴史は300万年といわれているが、この間安定した環境を提供したためこのような種類が分化し温存されたとみてよく、大きな湖が淡水魚の種分化に果たす役割がどれほど大きいかよく示している。
西日本に生息しているフナは琵琶湖固有種以外にオオキンブナ、ナガブナが見られますね。
九州地方の淡水魚
九州北西部には、中国大陸や朝鮮半島の淡水魚で日本にはここだけに依存しているものがあり、有明海に中国大陸系の沿岸魚が生息することと相まって生物地理学上大いに注目されます。
ヒナモロコ・タイリクシマドジョウ・エツ・チョウセンエツ・アリアケシラウオなどがそれである。これらは、有明海を中心としてその周りの環境条件が現在もなお大陸河川の特徴を維持しているため、依存し続けたと見なされている。
東海地方にはモロコ類が多く、ウシモツゴ・ホソモツゴ・アジメドジョウ・ネコギギなどの固有種もいる。
沖縄、小笠原諸島の淡水魚
地形が南北に細長く、多くの山脈が縦走または斜走して気温が変化に富むので、魚相に地域的な特性が認められる。
沖縄や小笠原諸島は位置からいうと東洋区に属するが、小島でみるべき河川がないため、一次性淡水魚はほとんど全くなく、インド-太平洋熱帯系の周縁性淡水魚が主体となっている。ハゼ類が豊富である。
沖縄にはギンブナが生息していますが、系統としては本土に生息している個体とは異なるとされていますね。
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