【分類学】フナの分類学まとめ 

生物学
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フナの分類と世界のフナ類

フナ類は、頭部が大きくやや側偏した独特の体型をしており、稚魚の尾柄部に現れる帯状の暗色斑紋を除けば、目立った模様や色彩は出ない魚である。

世界に生息するフナはゲンゴロウブナ、ヨーロッパブナと、その他の極東地域のフナ類すべて、となっているのだ。極東地域のフナ類は、系統関係がある程度調べられているが、亜種、種のどのレベルまで分化が進んでいるかは不明である。また、同定が困難なものが多く、採集されるため、整理が遅れている。

国内の分類学の進展

 日本では比較的、集団についての解析が進んでいる。いくつかの独立した集団が確認され、学名が与えられ、多くは便宜的に亜種レベルで扱われている。しかし、形態だけではどの集団に属すか不明瞭なフナ類も各地から採集されるため、分類学的整理は日本においても完了していない。

中国には日本産のギンブナやオオキンブナに遺伝的に近いと考えられるフナが主に分布しているほか、黒竜江・アムール川水系には、かつてギンブナと関係が深いと考えられてきたギベリオブナが分布している。また、日本産を含むこれらのフナとは別にヨーロッパブナが中国の北部からヨーロッパにかけて分布している。

「日本産淡水魚類検索」から「日本産淡水魚の中で分類するのが最も分類するのが困難なグループ」とされています。一般にはゲンゴロウブナとその他の同定は可能ではあるものの、フナ類を生態形質のみからの同定は困難である。

フナの形態チャート

名前体高比背鰭軟条数鰓耙数
ゲンゴロウブナ2.1-3.015-1892-128
ギンブナ2.6-3.614-1851-73
ニゴロブナ2.6-3.614-1851-73
ナガブナ2.6-3.614-1845-57
キンブナ2.6-3.611-1426-42
オオキンブナ2.6-3.613-1934-56

その他の情報

・ゲンゴロウブナ及びヘラブナは全国各地に放流され、ナガブナ、キンブナ、オオキンブナの生息地は判然としていないため、ニゴロブナ以外は分布だけで同定は行えない。

・体高比はゲンゴロウブナとギンブナ以外は判断が不可能。肉つきの違いや抱卵中の個体により体高が変化するので確実ではない。

・背鰭分岐軟条数から20~21条の場合はギンブナ、11~12条の場合はキンブナと同定が可能である。

・鰓耙数は幼魚の場合、成長途中であり、上記よりも少ないことが多い。

・鰓耙数からニゴロブナの同定も可能である。

・環境に左右されていないものの、中間に存在するオオキンブナ、ナガブナ、ニゴロブナの同定はきわめて困難であり、その他の情報が必要といっても良い。

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