【養殖学】鼻上げ対策について

水産学

どうも、あおいふなです。

今回はフナを飼育する上で起こる現象「鼻上げ」について、発生しやすい条件と対策について解説していきます。

鼻上げとは?

フナの場合、餌を求めていることもあるので少々わかりづらい。アクアトトぎふにて。

 フナは水中の酸素が少なくなると、酸素が少しでも多い水面の水で呼吸しようと、水面近くで口を開閉します。この行動を「鼻上げ」と言う。

鼻上げが起こるのは水中の酸素がごく少なくなっている証拠である。極端な場合、フナは死んでしまう。死ななくても大きなストレスとなって魚病の発生と蔓延につながる。

鼻上げが起きやすい条件

過密飼育下では酸素不足になり鼻上げしやすい。適度なエアレーションを。箱根園水族館にて

 鼻上げ(=酸素不足)は、以下の条件で起こりやすくなる。

高水温

 一般的に30℃以上で低酸素になると、それだけでフナは死亡する。日中の水温が30℃近くまで上昇した夜は要注意である。

高い飼育密度

 これはフナの飼育量が多いほど、多量の酸素を消費する。

フナが満腹状態

 これは消化のためにフナの必要とする酸素量が増加する。

夜間から明け方

 水中の植物プランクトンは、光合成により昼間は酸素を補給するが、夜間は逆に消費する。このため、水中の酸素量は日没直後から激減する。

曇天の日の夜の無風状態

 曇天の日は昼間の光合成が進まず、酸素の蓄積が少ないまま、夜を迎える。風が吹くと水面が攪拌され表面積が増えますので、より空中からの酸素が溶け込みやすくなる。無風状態はその逆ある。ちなみに、雨は水中に酸素を溶け込ませる。

対策

 以上のような危険な条件がそろうのは、7月中旬以降で、条件を事前に察知するために、水田に温度計を置いておくとよい。また、昼間の観察だけでは酸欠状態の有無はわからないので、暑い日が続くようになったら日の出前の状態を観察する必要がある。7月中旬になったら昼間は止水でもよいですが、夜間は注水する。また、注排水から逃げそうな小さい魚がいる場合は、スダレなどの前に細かい金網を張る。天候に注意し、夜間に30℃近い水温が維持されそうな日は、餌を与えない。

その他の管理

四尾連湖

アオミドロとアミミドロ

 アオミドロは糸状の藻類で水温が低い時に、アミミドロは網状の藻類で水面を覆い水温が高い時に繁殖する。

 飼育初期に注水が多すぎて水温が低くなりすぎる(25℃未満)と、アオミドロが繁茂する。多い場合は、稚魚が逃げられる大きさになった時、耕運機で攪拌して水を濁すことで光合成を妨げるようにする。アミミドロは、柄の付いた金網ですくい出す。駆除するための特効薬はない。

カブトエビとホウネンエビ

 前年、発生した所は、また発生する可能性がある。可能な場合は、他の水田に切り替えるようにする。なお、7月以降、水温が高くなると耐久卵をつくっていなくなる。

取揚げ

 通常、落水法で取り揚げる。水田内に溝を掘るとともに、注水部の魚溜りにはあらかじめ四手網等を敷設しておく。

 水が減少してくると注水口の所に集まるフナと、水と一緒に下るフナとに分かれる。注水部の魚溜りに集まったフナは四手網等を揚げて採捕し、下る魚は溝に集まりながら下ってきますので、排水路にかごなどを設置し、ここに溜まった魚を小ダモ等で採捕する。

この作業は、水温が高くなると魚が痛みやすいので、早朝に行う。また、バケツや桶の水は、きれいな水を使い、採捕したフナは速やかに蓄養池に運ぶ。泥水の中にいると魚はスレて、あとから死ぬ魚が出てくる。

最後に

いかがでしたでしょうか。鼻上げは魚のSOSサインなので、決して見逃さないようにしましょう。

フナの場合、エサを探して水面で口をパクパクしていることも多いので、判断するのはややこしいですよね。

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