【品種改良学】金魚の色彩まとめ

水産学
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鱗の種類と特徴

 金魚の鱗を鱗一枚のレベルでみると、色素がのって鱗の形が認識できる「普通鱗」、色素がのらない「透明鱗」、鱗のエッジ部分のみに色素がのり、それ以外には色素がのらない「網透明鱗」、鱗の先が半球状に盛り上がる「パール鱗」の4種に分けられる。

 普通鱗には鱗の裏面に虹色素胞が存在し、光を反射する役割を果たしており、透明鱗には虹色細胞がないため、いわゆる鱗に銀色の輝きがない。網透明鱗では、鱗のエッジのみに虹色素胞があり、金魚の体表では編み目のように見える。それらの鱗が金魚の体を覆い品種や個体の特徴となる色や柄を形成しているわけだが、普通鱗のみからなる「普通鱗性」の個体、網透明鱗のみからなる「網目透明鱗性」など、一種類の鱗だけで構成される個体だけでなく、普通鱗と透明鱗がモザイクのように混在している「モザイク透明鱗性」というタイプもある。

色と柄をつくる鱗の仕組み

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 金魚の体色は赤や白、黒のみならず、茶色や青色もすべて5種類の色素で表現されている。その鱗の発色の仕組みはとても複雑である。黒色、赤色、黄色、白色、虹色の5種類の色素細胞(色素胞)が上下に重なることで様々な色が表現される。異なる色みや濃淡も、その複雑な組み合わせによるものである。また、美しい文様は5種類の色素細胞がどのように分布しているかによって決められている。
 
黒色素胞は薄い茶色・黒褐色を示し、色素物質はメラニンである。
 赤色素胞は橙・赤色を示し、黄色素胞は黄色を示すが、色素物質はどちらもプテリジン、カロチノイドである。
 白色素胞は白色で、色素物質は不明である。
 虹色素胞は虹色、反射光を示し、色素物質はグアニンを主体としたプリン類である。輝きを保つ色合いは虹色細胞にあるプリン類が多層の薄い構造物の形をとるために見えてくる構造色であり、特別な色素物質は存在していない。

 それぞれの色素細胞はそれぞれの細胞に対応した色素芽細胞と呼ばれる細胞から生まれるので、黒色素胞の色素芽細胞が存在しないところには黒色は発現しない。色素細胞の分布は動植物や品種、親などによっておおむね決められているので、似たような体色や紋様になるのはずだが、この色素芽細胞の分裂・増殖は何らかの増殖刺激を必要としているので、色素芽細胞の分裂・増殖は何らかの増殖刺激を必要としているので、色素細胞の分裂によって生まれる色素細胞の数的増減は外的要因によっても支配される。

 分裂・増殖した色素細胞であっても、色の強弱を決める色素顆粒は神経やホルモンの影響を受ける。例えば、黒色素胞や赤色素胞、黄色素胞ではノルエピネフリンのような神経物質やメラニン凝集ホルモンなどの影響により細胞全体に広がっていた色素顆粒が細胞中心に集まり(凝集状態)、メラノサイト刺激ホルモンやカフェインの仲間であるテオフィリン影響では、再び細胞全体に広がる(拡散状態)。白色素胞はその逆の影響を受ける。虹色細胞も白細胞と同じだが、その影響は小さいとされている。
 すなわち、金魚の体色や紋様は生まれながらにして決められている部分、その後の飼育状態によって変化する部分があるといえる。

鱗の色素で決まる金魚の色

 色素細胞は皮膚全体に存在しており、鱗を覆っている皮膚だけに色素細胞があるわけではありません。また、色素細胞の内、虹色細胞は鱗の裏側のみにある色素で、その有無が普通鱗と透明鱗を区別している。
 多くの金魚は、普通鱗で覆われています。虹色細胞が光を反射するため、赤や白などの色が際だって見えます。

金魚の青色

 ここでの青文魚の青ではなく、朱文金の持っている青い体色のことを指す。一般的に業界ではこの色のことを「浅黄色」という。
 モザイク鱗を持つ金魚では、このブルーがでている金魚をよしとする傾向があるようである。このブルーは、日本の普通鱗の金魚には決して見られない。それでキャリコ系統の金魚の特徴として好まれるのである。このブルーは黒色色素法が鱗の下にある時、光の反射加減でブルーに見えるのである。この鱗の下に黒色色素法が沈着するという形質は、明らかに遺伝的なもので、モザイク鱗を持ったものでも、紅白だけの東錦が作出されたり、紅白だけの朱文金になったりしてしまう。

 このブルーを出すためには、黒色色素法が残っている形質だけでなく、黒色色素法が鱗の下に沈着するという形質を持っていなければならない。なぜ、モザイク系統の金魚にだけ、このブルーが出て、普通鱗の金魚にはでないのだろうか。筆者が前から疑問に思い、ブルーで普通鱗の琉金、ランチュウを作り出してみたいと思っているが、今のところ、ちょっとできそうにない。その解決の糸口が、中国金魚の青文魚系統の金魚の中で、背部にそって空色のブルーになる金魚をかつて見たことがあるからである。錦鯉の浅黄は、普通鱗でありながら、はっきりとブルーに見える。普通鱗でも鱗の下に黒色色素法が沈着するということは決して不可能なことではない。 

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