【研究室】撮影観察と数値化

研究室

今回は研究を行う上での撮影や解析方法についてのやり方を解説してきます。

一応、その実験結果も一緒に載せておきますので、参考にしてくださいね。

体表の写真撮影

乾燥前、あるいは乾燥後の供試個体の体表の水分をキムワイプで軽くふき取り、デジタルカメラ(OLYMPUS OM-D E-M1)で撮影を行った。

カメラの設定はF値を5.6、iso感度を200、ホワイトバランスをオートとした。

使用したレンズ(OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8)の都合上、オートフォーカス有効範囲内で被写体から20cm以上離して撮影した。

撮影台を用いてデジタルカメラを固定しLEDライト2灯の下で撮影を行った。乾燥前と乾燥後の2回行った。

体色の数値化

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 撮影によって得られた画像データをコンピュータに取り込み、ImageJ(アメリカ国立衛生研究所開発の画像処理ソフトウェア)により解析した。

すなわちImageJにより、imageの中のtypeからRGB StrackでBLUEに変換した後、測定範囲(側線鱗より上で背鰭基底直下の鱗、約35,0000pixel)を指定しAnalyzeからMeasureを選択し、範囲内のシグナル強度の平均値を算出して記録した。

鱗の顕微鏡観察

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 乾燥前と乾燥後で鱗を摘出して観察した。

摘出する鱗は背鰭直下且つ側線鱗より上側の鱗を3枚ずつピンセットで剥ぎ取り、リンガー液に浸して光学顕微鏡(OLYMPUS BX-41)を用いて40倍~1000倍の倍率、明視野と暗視野の2つで観察を行い撮影装置にOLYMPUS DP-20を用い、ホワイトバランスはオートで撮影した。

すなわちREC AUTOモードで、iso感度の設定は明視野時に100、暗視野時は処理速度を上げるために400、画質はSHQ(1600×1200)、JPEGファイルで保存した。

観察後スライドガラスとカバーグラスに封入剤(大道産業 マウントクイック)用いて封入した。

実験結果

乾燥環境が供試魚の色彩に与える影響

 乾燥させた結果、灰褐色の体色が青みを帯びた色に変化した。

シグナル強度は撮影データより、平均値の変化を図に示した。シグナル強度は実験前(107.08±5.37 n=5)と実験後(110.88±5.37 n=5)で上昇した。

しかし、両者間に有意差は認められなかった。

コイの体表を同様に10分間乾燥させた場合も、ギンブナと同様に体色が青みがかった。

また、キンギョにおいてもわずかに体色が青みがかった。

乾燥が供試魚の色素胞に及ぼす影響

乾燥処理したギンブナ体表の色素胞を顕微鏡観察した結果、黒色素胞の顆粒は実験後に凝集していたが黄色素胞には変化が見られなかった。

鱗の重なっていない部分の虹色素胞の色調は青味を増した。暗視野で鱗を観察した結果、より明瞭に虹色素胞が銀青色を帯びて見えた。

 コイの鱗上の色素胞を観察した結果、ギンブナと類似しており、黒色素胞、黄色素胞、虹色素胞が分布していた。

乾燥後は黒色素胞の色素顆粒は凝集し、黄色素胞の顆粒は変化しなかった。一方、虹色素胞は青味を帯びていた。暗視野で観察した虹色素胞は乾燥後により明瞭に銀青色を示した。

キンギョの色素胞を観察した結果、鱗上には赤色素胞と黄色素胞が観察され、虹色素胞は鱗が重なっていない側のみから観察された。

乾燥後の観察したところ、赤色素胞に変化は認められなかったが鱗の重なっていない側に隙間ができ、虹色素胞が露出していた。

暗視野で観察を行った結果、乾燥前と比較して鱗が重なっていない側から虹色素胞の光沢が顕著に表れていた。

考察

乾燥環境が供試魚の体色に及ぼす影響

有意差は見られなかったが、供試魚の体表で青色のシグナル強度が上昇傾向を示したのは、乾燥により鱗上の反射光の波長が褐色域から青色域にある程度シフトした為であると考えられる。

また、体色が青色に変化した際に、露出した虹色素胞による反射光が通常体色時と比べて増加し、数値化した際の輝度が上昇した可能性がある。

乾燥環境が供試魚の色素胞に及ぼす影響

乾燥によって黒色素胞と黄色素胞の共存効果が乱れ、虹色素胞が見えることによって体色が青みがかったと推測できる。

ギンブナおよびコイ鱗観察の結果から乾燥により鱗の黒色素胞の中の色素顆粒が凝集していたが、黄色素胞の顆粒には変化が見られなかった。

一般的に魚類における褐色の体色は黒色素胞と黄色素胞の共存効果によるものであると言われるが、黒色素胞の凝集により共存効果のバランスが崩れて隙間ができ、その下に存在する虹色素胞が現れたのではないかと考えられる。

一方、キンギョの鱗観察においても乾燥後に虹色素胞が露出していることから、キンギョの鱗内の赤色素胞が凝集したことで、下に存在する虹色素胞が見えるようになったため、反射光が青みがかったのではないかと考えられる。

そして、虹色素胞は乾燥により細胞内のグアニン結晶の反射小板の間隔が狭くなり反射光の波長が短波長側にシフトし、反射光が青味がかったのではないかと考えられる。

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