【高校時代】フナが青くなる実験記録

研究室

今回は高校時代に研究していた研究について解説していきます。

今思えば、これが私の人生を変える研究だったんだとしみじみ感じます。

文章としては高校時代の学術発表会で使用した文章を校正したものを載せています。

目的

当時見かけた体色が青く変色したフナ

フナは多くの色素変化を起こす魚であり、体色が赤いフナや黄色いフナは存在している。

その中でも、青い色の体色をしたフナに非常に関心を持ち、意図的に作り出す研究していたが、結果的に突然変異による稀な発生だと判明した。

ところが、用水路で死亡している多くのフナ類が青色に変色したり、自宅の水槽から飛び出したフナ類の体色が青く変色したりする現象が現れました。

この現象により、フナの体色がなぜ変化したのか研究してみたいと思い、フナの体色の変化の仕方が遺伝のみではないことを証明する研究を行った。

使用個体

  • フナ類a個体(背鰭条数13条の為、キンブナと同定。死亡個体。体色が青く変色していた。)
  • フナ類b個体(背鰭17条の為、ギンブナと同定。生体。通常の体色の個体。)

使用道具

  • 倍率が最大400倍くらいの顕微鏡
  • 乾いた雑巾
  • ピンセット
  • 水槽(60cm、水温26度、暗所に設置)

実験内容

実験①

まず、実際に青くなったフナの鱗内の色素胞の状態を観察する為、体色は青く変色したフナ類a個体と通常の体色のフナ類b個体の鱗を最大倍率が400倍くらいの顕微鏡を使い、観察を行った。

この場合、主に集合した黒色素胞を確認するため、あらかじめフナ類b個体は暗所に設置された水槽に入れた。

実験②

フナ類がどのような環境によって体色変化するのかをするための実験を行った。

フナ類b個体を乾いた雑巾で包んで動かないように固定し、その状態で放置し30分毎に体色変化を測り、2時間経過した後にその個体を用いた水槽に戻し、フナの体色の変化を確認した。

実験結果

実験①

鱗の色素胞の観察

観察結果、どちらも鱗内に色素胞である黒色素胞(Melanophore)が存在しており、わずかにフナ類b個体の鱗内からは赤色素胞と黄色素胞が検出されたが、フナ類a個体からは確認ができなかった。

実験②

30分が経過した時点ではあまり変化がないように見えるが[図4]、1時間経過した時点で表側の側線に近い鱗の色が少しずつ青色に変異していたことが確認され[図5]、さらに1時間30分経過すると表側の大部分の鱗が青く変色していた[図6]。

その後、実験に使用した瀕死状態だったフナを水槽に戻すと、フナの体色は青いままだった。しかし、変化されたフナの鱗を観察した時にには変化が見られなかった。数日後に水生菌に感染してしまい、フナの鱗の裏側から水カビが発生してしまい、一週間も経たずに死亡してしまった[図7]。

考察

フナの体が変化する現象を見つけた時、まず考えたのは、淡水魚で体色が青く変化した「ニジマス(コバルトマス)Oncorhynchus mykiss」を思い浮かべた。

しかし、この個体は体が青色よりも一層に濃い色をしており、それは脳下垂体の中葉の異常により、体内に青い色素が発生するものであるが、劣勢遺伝からの発生であり、途中からの体色変化ではなく、先天性の体色変化であり、今回の現象とはあてはまらないということが分かった。

次に「シイラCoryphaena hioourus」や「メジナGirella punctata」の様に、死亡した際に体色変化する魚を思い浮かべたのだが、これらは水に上げられてすぐに体色が変化するのに比べ、今回はフナが水に上げられてから最低30分以上時間がかからないと体色が変化しない上、変色後に水を戻しても上記の魚は再び蘇生することができないという違いが生じるため、今回の現象に当てはまらないということが判明した。

また、実験①の結果より、青いフナには通常の体色のフナの鱗内に存在している2つの色素胞、赤色素胞と黄色素胞が存在していないことが判明した。

そこで魚の体にある色素体を調べると、魚に鱗内には黒色素胞(Meranophore)、赤色素胞(Erythrophore)、黄色素胞(Xanthophore)、白色素胞(Leucophore)が存在しているのだが、フナの体自体には青色の色素胞は存在していない。そもそも一般的に脊椎動物は「青い色素」を持つ種類は非常に少ないと言われている。

実際に青色素胞(Cyanophore)は存在しているが、魚類のなかでも「ニシキテグリSynchiropus splendidus」及び「ハナヌメリの一種Ynchiropus.sp」と上記の「コバルトマス」のみにしか確認されていない。

一般的に体色が青いと感じる魚の鱗には、上記の4つの色素胞の代わりに「グアニン」と呼ばれる薄い結晶が何層にも並んでいる虹色素胞(Iridophore)があり、この何十もの板状結晶の間隔が微妙に変化することで、「重層薄膜干渉」という作用が発生して青色に見えるのだという。

フナの体には白色素胞の代わりに虹色素胞が存在しており、体色を成すのだが、その他にも黒色素胞、赤色素胞、黄色素胞がある為に、虹色素胞に影響を与えていると推論した。

しかし、実験1の結果、フナの青色変異には黒色素胞が関連していないと分かった(明るさによって体色変化は関係ないことが判明した)。こうして、黒色素胞は虹色素胞には影響を与えないことが判明した為、虹色素胞に影響を与えているのは赤色素胞、黄色素胞となる。

赤色黄色青色=茶色

一般的な混色から考えると、この様な色へと変化があると考えられる。ということは、茶色(フナの体色)から赤色素胞と黄色素胞を除くことができれば、フナの体色が青くなることができるとも言えるのではないだろうか。

実験2の結果から、フナの鱗の裏側から水カビ病が発生していたが、文献から水カビ病の原因となる水生菌は魚の体表の傷から感染することをつかんだ、またそれは、実験後のフナ類b個体の鱗の裏側の細胞が破壊されている事が推測できるのではないだろうか。

フナの鱗との裏側には赤色素胞と黄色素胞が存在している。だが、フナを水から上げることによって、フナの鱗の裏側の2つの色素胞である赤色素胞と黄色素胞がさらに破壊されたのではないかと考えられる。

水からあげる行為には、フナの色素の虹色細胞に影響を与える赤色素胞と黄色素胞を除き、それによりフナの体色を青く変色させる作用があるという考察に達した。

今後の研究について

フナの体が青く変化することにおいて、他の色素胞と比べて虹色素胞自体が鱗だけにあるということに限らない為、今後は鱗だけでなく、体表からも青く変化するのか調べていきたい。また、電子顕微鏡で顆粒が確認できるときであれば、フナの鱗について調べていきたいと思う

参考文献

  • 水生生物学報「コイとフナの鱗色素体と体色遺伝子の観察」
  • 田中深喜男「楽しい金魚の飼い方・育て方」

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