ギンブナが乾燥環境における体色変化する現象に関する研究
ギンブナ(Carassius auratus langsdorfii)は日本全域で生息しているフナ属魚類の1亜種である。
ギンブナの体色はオリーブ色を基調として背側は褐色、腹側は銀白色をしている。フナ類のもつ色素胞は黒色素胞、赤色素胞、黄色素胞、白色素胞、虹色素胞の5種類が確認されており、体色が茶色や褐色に見える皮膚は黒色素胞と黄色素胞の共存効果による。黄色い点状の構造として見られる。
しかし、以前、用水路で死亡していた個体を観察した所、体色が青く変色していた。また、自宅の水槽から飛び出した個体も体色が青く変色する事例がある。
そして、驚くことに青く変色後も水槽に戻したところ、長期間生存した個体も存在している。
この現象について詳しい研究はされていないのが現状である。そこで本研究では青色になる現象に乾燥環境が影響していると着目し、乾燥による影響から体色に差が生じるかを調べることを目的とした。
そのままでは生物倫理の背く可能性が生じる為、供試魚を麻酔処理した後、時間経過ごとに写真を撮影しそのデータを画像解析ソフトにより分析する。
また、実験前と後で鱗の細胞にどのような変化が起きるかを調べるため、顕微鏡観察を行う。
材料と方法
供試魚
品種 :ギンブナ(Carassius auratus langsdorfi)
年齢 :当歳及び2歳
体長 :5〜10cm
以上の個体を10尾飼育する予定である。
飼育
水槽㈰ :60×30×36cm(水量約60L)のガラス水槽1台
水槽㈪ :30×20×20cm(水量約12L)のガラス水槽1台
研究室の飼育室にて場所を借り、実験個体の飼育を行なっていました。
飼育室内は常時空調を保っており、水温 は21℃前後に保っていました。
試薬 :食塩(財団法人塩事業センター)
:グリーンF リキッド(日本動物薬品株式会社)
水槽㈰にギンブナ10尾収容していました。
実験期間中は1日に1回、それ以外は週4日、1日2回の頻度で給仕を行う。
エアレーションも飼育期間を通して行う。週に一度、全水量の約1/3を換水を行う。
導入及び治療
ギンブナの導入時は水槽㈪にて0.9%の生理食塩水による食塩浴を3日間行う。
実験終了魚及び病魚は0.9%食塩浴及びグリーンF(日本動物薬品株式会社)による薬浴を行う。
薬浴中は絶食とし、薬浴後は全換水を行う。
麻酔
実験開始時及び写真撮影時は麻酔を実施する。
麻酔薬はメタアミノ安息香酸エチル・スルホン酸塩。これを200mg/Lの濃度で用いる。
5分前後浸漬し、鰓の静止が確認できた時点で取り出す。
鱗の摘出
実験個体の鱗を摘出して同じく時間経過によって変化を観察する。
摘出する鱗は背側と腹側を4枚ずつヘラを用いて剥ぎ取る。
摘出した鱗は2枚は水を張ったシャーレに、残る2枚は空のシャーレに入れる。
時間経過ごとに写真を取り、そのうち1枚は顕微鏡観察を行う。
体色及び鱗の写真撮影
使用機材:デジタルミラーレス一丸カメラ OlYMPUS E-M1 レンズ :OLIMPUS:M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 (焦点距離34mm相当)
20w蛍光灯下で撮影を行う。ギンブナを水槽から取り出し麻酔をかけた後、キムワイプで体表の水分を軽くふき取った後、1時間毎にデジタルカメラ(OlYMPUS E-PM1)で撮影を行う。
デジタルカメラの設定はF値を5.6、iso感度を200、ホワイトバランスを蛍光灯、オートフォーカス有効で被写体から34cm以上離して撮影する。
体色の数値化
ギンブナを麻酔をかけてから1時間毎に6時間後まで撮影する。
撮影によって得られた画像データをコンピュータに取り込み、ImageJにより解説した。
すなわちImageJにより、測定範囲を指定しAnalyzeからMeasureを選択し、範囲内のシングル強度を平均値を算出して記録する。
顕微鏡で観察
実験開始時と終了時に顕微鏡を用いて色素法の観察する。
乾燥により赤色素胞と黄色素胞が変化するか観察を行う。実験の前後で鱗全体の虹色素胞がどのように変化するかも観察を行う。
仮説
今回の結果により体色が青く変化した場合、表皮上の色素胞の赤色素胞と黄色素胞が自然死したのであると仮説が立てられる。そのため、実際に鱗を顕微鏡で2種の色素胞の有無を観察する。
また、麻酔をかけることによりに体色が変化しない可能性がある。
これは供試魚にストレスが掛からないためではないかと考えられる。
詳しいストレスの内容がわからないため、結果を待つことにする。
コメント