実験期間
平成26年5月22日から6月9日
実験目的
ギンブナは乾燥環境において体色が青色に変色する事が分かったが、皮下組織にはどのような影響を及ぼしているのか変色後の皮膚を摘出して組織標本にして観察した。
今回使用した個体

ギンブナ Crassius auratus langsdorfii
今回の実験では2匹のギンブナを用いて組織標本を作成しました。
30分間氷冷麻酔を行った後に水から出し10分間ドライヤーで体表を乾燥させた後、
体色が青味がかった色に変色した個体の皮膚を使用しました。
実験経過
5月22日
ギンブナに2尾に麻酔をかけて水から取り出して3時間放置して体色変化を確認する。変色を確認後に1尾を解剖して両側の皮膚(側線付近2cm四方)を摘出してブアン液にて固定。
5月24日
フナの皮膚をブアン液から70%エタノールに移し変え、脱水にかける。
5月26日
フナの皮膚を高融点と低融点パラフィンに移し変えてフナの皮膚片を包埋する。
5月27日
包埋した皮膚に台木付けし、皮膚の表面が出るように面だしする。
5月29日
薄切。プレパラートを4枚作成。
5月30日
HE染色を行う。封入して乾燥させる。コントロールをもう一度包埋する。
5月31日
AZAN染色を行う。脱パラフィンから封入まで行う。
6月9日
コントロール個体のHE染色とAZAN染色を行い、封入、乾燥のち観察まで行う。
組織票本及び染色についてはこちらに記載しています。
顕微鏡観察
今回も光学顕微鏡(OLYMPUS BX-41)を用いて40倍~1000倍の倍率を行いました。
撮影装置にOLYMPUS DP-20を用い、ホワイトバランスはオートで撮影しました。
設定はREC AUTOモードで、iso感度は100、画質はSHQ(1600×1200)、JPEGファイルで保存しました。
実験結果
AZAN染色


HE染色


HE染色を用いて染色した結果、乾燥処理後の皮膚から変化が見られました。
特に鱗よりも外側の大気に接していたの組織の一部が鱗よりも内側に陥入していた同一の組織と比べて薄く見えなくなっていました。
薄く見えなくなった組織を同定するため、乾燥前には存在した部位をAZAN染色した結果、対応する組織が青色に染色されており、
更に高倍率で観察した結果、見た目は細い糸状の細胞で束状に連なっていました。
また対応する組織内には色素胞と思われる黒点も観察された。
一方、乾燥処理前には観察できなかった表皮組織が乾燥処理後には観察されました。
考察
組織観察を行った結果、乾燥処理を行う前後で鱗よりも表面に存在する組織が薄く見えなくなった。
その組織は繊維性の結合組織を含んでおり、組織内から色素胞が存在していた為、薄くなったのは鱗よりも表面に存在する真皮組織であると考えられました。
乾燥により鱗よりも表面上の色素胞が凝集し、色素胞の共存効果を乱して虹色素胞を露出させたではないかと考えられる。
本来、乾燥処理前の皮膚組織には真皮組織の上に表皮組織も存在するはずだが確認できなかった。
これは皮膚の染色作業の段階で染色しきれなかったではないかと考えられる
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