「マブナ」とは何者か?マブナの本当の意味と人との関わり

魚名学
男の子
男の子

先生、川で釣れる「マブナ」って、どんな魚なんですか?フナの仲間ですか?

先生
先生

そうですね、マブナはフナの仲間の一種で、特に関東地方では「キンブナ」のことをマブナと呼ぶことが多いんですよ。昔から釣り人に親しまれてきた魚なんです。

男の子
男の子

へえ!「マブナ」ってなんだか特別な名前みたいですね。どういう意味なんですか?

先生
先生

いい質問ですね。「マブナ」という名前には、“本物のフナ”という意味や、“自然のままのフナ”という意味がこめられているとも考えられているんですよ。今日は、そのあたりもくわしく紹介していきますね。

キンブナとはどんな魚?

キンブナは、日本の関東地方や東北地方を中心に生息しているフナの仲間です。正式にはフナ属(Carassius)に属する魚で、淡水にすむ魚の中でもとても身近な存在です。

大きさは15~20cmほどで、体はやや黄色みがかっており、スマートな体型をしています。川の流れが穏やかな場所や、水田に近い用水路などにもよくすんでおり、昔から子どもたちの釣りの相手としても親しまれてきました。

「マブナ」と呼ばれてきた魚

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キンブナには、「マブナ」という別名があります。特に関東地方ではこの呼び名の方が一般的で、釣り人の間では「マブナ釣り」という言葉もよく使われています。

江戸時代から、庶民のあいだで親しまれてきた魚で、「マブナ釣り」を楽しむ人のことを「マブ師(し)」と呼ぶ文化もあったそうです。川の本流や、田んぼ脇の細い水路(ホソ)などで一年中釣ることができ、子どもから大人まで楽しめる釣りの対象魚として人気がありました。

「マブナ」の名前の意味とは?

先生
先生

「マブナ」は漢字で書くと「真鮒」となります。
この「真」には、“まこと”“ありのまま”“偽りのない”といった意味があります。

女の子
女の子

「本当のフナ」、「元祖フナ」ってこと?

先生
先生

そう感じるかもしれませんが、
実は少し面白い事情があるのです。

というのも、「マブナ」という言葉は、もともと改良品種である「ヘラブナ」と区別するために使われていた、という説があるからです。ヘラブナはゲンゴロウブナという別のフナをもとに、人が釣りやすいように改良してできた品種です。

そのため、「マブナ=改良されていない自然のままのフナ」という意味合いがあったのではないかと考えられます。

先生
先生

つまり、人工的な手が入ったヘラブナに対して、
「自然な」「野生の」「もとの姿のフナ」という意味で「マブナ」と呼ばれていたのかもしれません。

マブナ=キンブナ、ではない?

女の子
女の子

つまり、マブナってキンブナのことなの?

先生
先生

実は、地域によってはキンブナだけではありませんね。

確かに現在では「マブナ=キンブナ」と紹介されることが多いのですが、かつては分類学があまり発達しておらず、キンブナとギンブナを区別することは、一般の人はもちろん、研究者でさえ難しかった時代もありました。

実際、関東地方ではキンブナとギンブナが両方生息しています。釣り人がどちらを釣っても、

釣り人
釣り人

なんか黄色っぽい、細身のフナが釣れたな

というくらいの感覚だったのではないでしょうか。
つまり、「マブナ」という名前は、特定の種(キンブナ)を指していたというよりは、「ヘラブナ以外のフナ」すべてをまとめて呼んでいた、そんなニュアンスだったとも考えられます。

先生
先生

また、琵琶湖ではゲンゴロウブナのことを地方名で「マブナ」と呼んでいたり、
関東地方でもギンブナを「マブナ」と呼ぶこともあります。

「真のフナ」とは何か

マブナという言葉に「真のフナ」という意味が含まれているとすれば、
それは“本物”という意味というより、「自然のままの姿をしたフナ」という意味だったのではないかと思われます。

先ほども触れたように、ヘラブナは改良された魚で、体が平たく、釣りやすいように進化してきたものです。実際、「ヘラ(箆)」という言葉は“平たい”という意味があります。

対して、マブナと呼ばれてきたキンブナは、体高が低く、スリムな体つき。まさに「自然のままのフナ」だったのでしょう。

先生
先生

江戸の人たちにとっては、「ヘラブナと違って、まるで昔の姿をそのまま残しているフナだなあ」と思い、
「マブナ=真鮒」と呼ぶようになったのではないでしょうか。

マブナ釣りの魅力と今

こうして見ると、「マブナ」という言葉には、歴史や人々の暮らし、そして魚との関わりがたくさん詰まっています。

現在でも、マブナ釣りは続けられていて、ヘラブナ釣りと比べて特別な道具や高い技術がいらないため、初心者でも気軽に楽しめる釣りとして人気があります。

子どもでも年配の方でも楽しめて、どこか懐かしさを感じるのがマブナ釣りの魅力です。

先生
先生

マブナとして分類されないにしても、釣れたフナがキンブナなのかギンブナなのかを考える楽しみもあります。

まとめ

男の子
男の子

マブナって、ただのフナじゃなくて、いろんな意味や歴史がこめられているんですね!

先生
先生

そうなんです。キンブナという種類の魚に「マブナ」という愛称がつけられたのも、人と魚の長い関わりがあったからこそなんですよ。

女の子
女の子

たしかに、釣りやすくて親しまれてきたっていうのが伝わってきました。もっと魚の名前の意味、知りたくなりました!

先生
先生

それはとても良いことですね。名前の意味を知ると、その魚のことがもっと好きになりますし、自然とのつながりも感じられますよ。

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魚名学生物学

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