ここではフナ類の同定作業に用いられている、分類点をについて解説します。
外側から見た見た目だけで判断できる場合もあれば、
解剖などを行なって内部から確認する方法と様々です。
フナを正確に見分ける手段の一助となりますので、ぜひご覧ください。
フナの分類が難しい理由
まず、フナの見分けが難しい理由についての原因ですが、
これは種として同じ仲間だからとよく言われています。
学名の項目にて説明してきましたが、日本のフナはゲンゴロウブナ以外は同じ種類であり、
日本に生息しているフナの種名はゲンゴロウブナ以外は「Carassius auratus」となります。
つまり、ギンブナやキンブナの見分け方と言ってきたのは「種」としての見分け方ではなく、
「種」よりも細かい「亜種」としての見分け方となっていたんですね。
種間の違いは大体見た目や模様などで簡単に見分けられるものですが、
特に明確な見た目の違いがなく、環境でも差が生じやすいというのも難しい理由かと思います。
分類点
その際に学者が分類点としてよく挙げられてるものは10個あります。
解剖が不要な分類方法
体系
丸形か偏平型か
一目で判断できるものの、生息水域の環境や個体の栄養状態によっても変化し異なる為、過信は禁物である。
フナの場合は体高比として体の長さと高さの比率を用いて調べることができるため、
飼育個体でも確認ができるのは嬉しい点である。
体高比
体長÷体高=体高比。
体長は上顎前端から下尾骨の後端までの距離で、下尾骨の後端とは鱗が途切れて尾鰭になる位置ではなく、その手前の尾鰭を左右に折り曲げたときにできるしわの位置になります。
体高は鰭を除く体の最も高いところの垂直距離で、
フナ類の場合は背鰭の少し手前から腹鰭の少し手前までの距離を調べます。
体高は肉付きの違いによる個体差や卵を持っていたりして変化します。
これだけでの判断は難しいので、鰓耙数や背鰭分岐軟条数を加えて参考にすると良いですね。
尾部における黒点の有無
フナ類の場合、幼魚の尾鰭の付け根の尾部に黒点が出る種類もある為、
形態での同定作業に活用出来るので、貴重な分類点です。
人間で言う蒙古斑のようなものであり、成長するにつれ黒点が薄れていき消えてしまうので、
あくまで幼魚個体限定にはなります。
側線鱗数
フナも側線が一対存在しているので計数することは可能ですが、
あまり分類点としては使用されていません。
解剖が必要な分類方法
鰓耙数
これはフナの分類にとって非常に重要な分類点であり、
食性が異なるフナの種類において鰓耙の長さや数がかなり偏っています。
植物プランクトン食性であるゲンゴロウブナは鰓耙数が非常に多くて長く、
逆に水生昆虫を好んで属するヨーロピアンブナは鰓耙数が短くて少ないなど
フナの種類によっては鰓耙をみるだけで種を特定することも可能です。
しかし、鰓耙は鰓蓋の内側に隠れているので、外観からは確認ができません。
行う場合は解剖して摘出する必要がありますので、実際に飼育している個体に対して調べることができないのはデメリットですね。
背鰭分岐軟条数
背鰭分岐軟条数は背鰭の枝分かれした軟条のことです。
フナの分類点としてもしばしば使用されている分類点であります。
しかし、普段はあまり背鰭を見せることは少ない上に、これを正確に調べるには解剖をして背鰭を切開する必要があるため、
飼育個体の分類にはあまり適切ではないですね。
注意すべきは最後の軟条が基底部で分岐して2本に見えることがあり、この場合は1本として数えます。
脊椎骨数
硬骨魚類では頭蓋骨の後端に関節する脊椎骨から尾部棒状骨までの数である。
脊椎骨は腹椎骨と尾椎骨に分かれ、腹椎骨と尾椎骨の区別は血管棘の有無によって決まる。尾椎骨には血管棘がある。
これは解剖し、脊椎骨を摘出する必要がある。フナはこちらを使用する機会は少ない。
臀鰭分岐軟条数
鰭の条数になります。
条とは鰭の支持物として担鰭骨から鰭の外縁に向かって放射状もしくは平行に走る細線状の構造です。
鰭膜とともに鰭を形成しています。
臀鰭の場合は棘がないので、軟条の部分を数えていくことが多いようですね。
腹膜の色味
腹膜は、胃や肝臓といった腹部の臓器の全体ないし一部をおおっている薄い半透明の膜です。
フナ属魚類の場合、色味が種類によって異なる為、分類点になる。
開胸する必要があるため、生体での判断はできないのは注意が必要です。
鋸歯状棘の突起数
背鰭および臀鰭の一番前にある鋸歯状棘の突起数を数える分類法です
棘状軟条という。フナ類をはじめとしたコイ目の背鰭、臀鰭前部には分節的な棘条があり、突起が根本から始まるかどうかも分類のポイントになりますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか、
フナの分類としての候補となるものが多いですね。
今後、フナの見分けについて考えている場合にご参考になったら嬉しいです。
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