
外国産のフナには、日本国内でおなじみのフナ類とは異なる特徴を持つフナが2種類存在しています

「ヨーロッパブナ」と「ギベリオブナ」ですね。

その通りですね。
今回はその中でも「ギベリオブナ」に焦点を当て、その形態的特徴や生態、利用価値について詳しく解説していきます。
外国に生息しているフナについて

外国産フナは「種」として確立しているのは2種類存在しており、
それぞれ「ヨーロピアンブナ(Carassius carassius)」と「ギベリオブナ(Carassius auratus gibelio)」になります。

彼らは日本には全く生息していない種類になりますので、
海外の文献を参考に日本国内に広く知られているフナ類との違いを意識しながら、
ギベリオブナの特徴を中心にお伝えしていきます。
ギベリオブナの特徴

ギベリオブナは東アジア方面に広く生息しているフナになります。
ヨーロッパ方面に生息しているヨーロピアンブナと比較していくつか明確な形態的特徴があります。
形態的な特徴
鰓耙(さいは)の数が多い
ギベリオブナの鰓耙数は、ヨーロピアンブナよりも多く、これは餌の摂取方法や生息環境への適応を示す特徴とされています。
体色は銀褐色
銀色がかった茶色を基調とした体色がギベリオブナの特徴です。この色彩は、生息する環境により多少異なる場合がありますが、一般的にこの銀褐色が基準とされています。
腸が長い
腸の長さが原種であるヨーロピアンブナよりも長い点も顕著です。これは植物性の餌を効率よく消化するための適応と考えられています。
腹膜が黒い
腹膜(腹腔の内側を覆う膜)の色が黒いことも、ギベリオブナを識別する際の一つのポイントです。
体長は最大45cm
ギベリオブナの成魚は最大で45cmに達し、原種と比べて成長速度も速いことが報告されています。
分布

ギベリオブナは、主に以下の地域に分布しています。
中国水域、アムール川、シベリア沿岸
中国北部からロシアのアムール川に至る広範囲の水系で見られます。
また、シベリア沿岸の太平洋に注ぐ河川にも分布しています。
アラン海(アラル海)
アラル海に流入する河川の下流域でも生息が確認されています。
ヨーロッパ水域
ヨーロッパでも広く分布しており、特に大きな湖や川の水路に多く見られます。
ただし、スウェーデンやフィンランドには生息していません。
一方、ヨーロピアンブナと同じ地域に生息しているケースもあります。

生息地が広いなぁ
生態と繁殖

ギベリオブナの繁殖や成長についても、ヨーロピアンブナとの違いが際立っています。
成熟
ギベリオブナは3~4年で成熟します。飼育環境では成長が早まり、3年目で繁殖可能になることもあります。
抱卵数
地域によって抱卵数に大きな差があり、例えば以下のような特徴があります。
アムール川水域
抱卵数は16万~38万3000粒にも達します。この地域では産卵量が特に多いことが特徴です。
ソ連邦、ヨーロッパ、ウラル
抱卵数がアムール川の個体に比べて圧倒的に少ない傾向があります。
産卵
産卵は断続的に行われます。
ヨーロピアンブナに比べて産卵期が遅く始まり、その期間も長く続く傾向があります。
漁業における利用

ギベリオブナは、歴史的に重要な漁獲対象となってきました。例えば、以下のような記録があります。
アムール川水域
戦前の記録によれば、この地域だけでも年間3000トンの漁獲量があったとされています。これはギベリオブナが食用や商業的価値の高い魚であることを示しています。
まとめ

今回は外国のフナとして「ギベリオブナ」について解説していきました。
ヨーロピアンブナと形態や生態において明確な違いを持ちながらも、広い分布域と高い繁殖能力を持つため、生態系において重要な役割を果たしています。
また、漁業の面でも経済的価値が認められており、多くの地域で食料資源として活用されてきました。

こうしてみると、面白い魚ですね。

このように、ギベリオブナはその特徴的な性質と広範な分布により、研究者や漁業関係者にとっても注目される魚類です。
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