今回はギベリオブナに関する生態の中でも特に異質な性質である性比と単為生殖について解説していきます。
ギベリオブナは中国大陸に生息しているフナで、日本には生息していない個体です。
とはいっても、日本で流通している金魚はこのギベリオブナの改良品種でもあるので、一般家庭で飼育している金魚というのはこのギベリオブナに当たります。
ギベリオブナの性比
生態的に特異な現象として、日本産のギンブナには、地域による性比の違いおよび単為生殖の現象が見られるというのはよく知られていますね。
一方、ギンブナに近い形態をしているギベリオブナでも、地域による性比の違い、および単為生殖の現象が見られることが知られている。
しかも、ギンブナ同様に生息地によって性比が異なっているのである、
ギベリオブナの性比は極東では雄が雌よりいくらか少ない程度ですが、
一方、モスクワ、ウラル、北コーカサスでは、雄がほとんど見つからないといいます。
ヨーロピアンブナも単為生殖?
単為生殖については多くの人が研究し、論文に記載されていますが、ヨーロピアンブナの記載の中でも次のような例をあげています。
「ドン川上流で獲れた雌個体とコイ科の魚類を交雑したところ、産まれてきたF1個体がC .carassiusだった」
ベルグ氏
という。尚これについてはベルグ氏の論文にしか記載していないことから、親魚査定の誤りにも思えるが、
仮に真実であったとしても、単為生殖がギベリオブナに極めて特殊な事象だというのはよく言われますね。
ギベリオブナと野生化金魚の関係
ギベリオブナの中で一番問題になるのは、先にも述べた、中国本土乃至は北ベトナム、海南島、台湾、日本、朝鮮半島に生息するギベリオブナに類似するフナ(野生化金魚)の実態である。
中国の伍献文によると、実態はギンブナによるものようであるが、その中に中国でいう金鯽、日本でいうキンブナ型も含まれていることが記載している。
しかしながら、主体となるフナの性比は4:1で、腸長は中国淡水魚養殖学によると体長の5倍ということからもギンブナ型であることを推察されているが、単為生殖の記載が見られないのである。
これまた多数の変異がみられる点では、変わりがないようである。
最後に中国でいう東北銀鯽、すなわちギベリオブナについて、余志堂らが行った黒龍江中流の調査結果についていうと、性比は雌雄で7:3、鰓耙数は46〜51、腸長は体長の3.3〜5.0倍で、食性は水生植物が主であり、他にも貝、ユスリカ、水生昆虫を食する。
そして、多数の生態品種が各地域で見られることが言われている。したがって、ギベリオブナの内容もまたフナ(野生化金魚)同様に完全に明確なものとは言い難いですね。
ギンブナの性比
一応、比較のためにギンブナの性比についても解説していきます。
日本産のギンブナの性比は、太平洋側の水域では一般にオスが極めて少なく、特に関東平野では雄がほとんど見当たらないと言われています。
しかし、性比は地域によって異なり、雄が普通にみられる岡山県のような場合も、富山県のように雄雌の割合がほぼ同率のところもあることが知られている。
また、ギンブナの雌と他のコイ科魚類と交配してもギンブナが生まれる、いわゆる単為生殖の現象が知られている。
まとめ
いかがでしたでしょうか、ギンブナに似た生殖の特性を持つギベリオブナ。その特性について少しでも理解していただけたら嬉しいです。
ではまた・
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