【全種】フナを全種飼育したときの記録

飼育室
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今回は日本に生息しているフナを全種類、同じ水槽で飼育した時の記録をここに残していきます。

緒言

日本には6種類のフナが生息しています。日本各地の水族館を回ってみたところ、多くのフナを展示している水族館はあるが、一つの水槽に全てのフナを飼育している水族館は存在しませんでした。

水族館ではその地域の水域の環境を展示する手段としてフナが使われているからこれは仕方ありませんね。

フナの生息地は全国に広がっていますし、全てのフナが同じ水域にいる場所がないのも現実です。また、分類が困難なフナを同じ水槽にまとめても、一般の人には見分けがつかないことも原因でもあります。

フナをおなじ水槽で飼育している方は少ないので、今回は全てのフナを一つの水槽に集めて飼育研究を行い、種別の同定能力の向上や種別の生態的な違いを見つけていきましょう。

飼育する種類と生息地

・・・タナゴ混じってね?
  • ギンブナ   日本全土
  • キンブナ   関東地方
  • オオキンブナ   西日本の河川
  • ナガブナ   日本各地の湖沼
  • 二ゴロブナ   琵琶湖
  • ゲンゴロウブナ  淀川水系原産

上記のように、ギンブナ以外は生息域が限られている種類が多く、ゲンゴロウブナはヘラブナ釣りによって改良品種のヘラブナが全国の水域に放流されていたり、西日本に生息しているオオキンブナは生息域が徐々に東へ移動していたりという話も聞きます。

いずれにせよ、一カ所で全ての個体を採集することが不可能であり、更には二ゴロブナやゲンゴロウブナにおいては漁業規制により採集さえ行えないのが現実です。

幸いにも、どのフナも観賞魚店で幼魚個体を取り扱っていることが多く、淡水魚に強いお店を巡れば入手は比較的容易にはなっています。

大抵のお店では産地を載せていることが多く(載っていない場合は養殖個体が多い)コレクター欲をかき立てられますね。

飼育にあたっての注意

飼育スペースには余裕を持っていきましょう。

この飼育方法を行うにあたり、もっとも注意すべきことは飼育密度ですね。最低でも全種飼育となると6匹以上と飼育数が多いです。

餌慣れの心配はないが、知らぬ間に成長していき飼育密度が高くなるので水質悪化や水草の食害が深刻になっていきます。なるべく大きい水槽を用いて飼育環境に余裕をもつことが大事ですね。  

各種の特徴と写真

キンブナ

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見分けるコツ

  • 体が黄色い、鱗に縁取りがある。
  • 体高が低い。背びれが短い。
  • 目が小さい。

同じ環境で飼育していると、ナガブナに体色と体型が類似するが飼育を続けていると小成長速度がナガブナと比べて遅く体長に差が見られるようになります。

同じ体長で比較すると老成しているのか、どことなく目が小さかったり、早い段階で追星が見られたりと大人びた顔つきをしているのが特徴です。。

餌に対して非常に積極的であり、赤虫などを好む傾向があります。群れを作らないので、ほかのフナとは離れて泳いでいる姿がよく見られます。

ギンブナ

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見分けるコツ

  • 体色が薄い銀褐色。幼魚個体は尾鰭付近に蒙古斑がある。
  • 体高が高め。
  • 臀びれより後ろで体高が急激に窄まる。

埼玉の水域で捕獲した野生個体。そのため系統が確立されていないがギンブナの場合はクローンに似た繁殖法なので、交雑種ができないのが救いではありますね。

それでもオオキンブナとの見分けが難しく、採集個体がオオキンブナではないのかと長期間疑っていたこともありました。

ゲンゴロウブナほどではないが体高比が低いこともあり、体高の高さで比較する同定がしやすい。比較的どの餌でも好んで食べていることが多い。

オオキンブナ

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見分けるコツ

  • 体色はやや黄色い。
  • 目が黄色い
  • 体高はやや低い。顎が張る

キンブナ、ナガブナと比べるとギンブナとの同定が難しい。ギンブナとの比較は体高比でも確認を行ったが個体によっては確立しないこともあります、

結局オオキンブナは目が黄色なのでそこを目印に同定を行っていることが多い。あくまで個体的な特徴であり、そこを頼るのは適していないので注意が必要です。

成魚個体の場合は下顎が張る為、そこも分類点の参考にするとよいです。

ナガブナ

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見分けるコツ

  • 体色が濃い黄褐色、目が大きい。
  • 体高が低い
  • 尾鰭の根本が長い。

ナガブナの未成魚を飼育していたが体色が黄褐色であり、体型も低めでキンブナと非常に類似している。それでも体色が濃いのが特徴的であり、鱗内に黒色素胞が多いのかもしれない。

色味が暗い大磯砂で飼育すると茶褐色になるほどである。餌に対してもっとも積極的で、体系的に索餌行動を行うのが多いのだろう。

二ゴロブナ

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見分けるコツ

  • 体色は銀褐色。
  • 体高が低め。
  • 頭と目が大きい。顎が張っている。

他種と比較して明らかに頭と目が大きい。琵琶湖産は体高が高いといわれているが、それでもゲンゴロウブナと比べると体高は低い。

餌に対してあまり積極的ではなく、水底に沈んだ餌を吸い込むように食べている。プランクトン食性のせいではないでしょうか。

ゲンゴロウブナ

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見分けるコツ

  • 体色は銀褐色
  • 体高がもっとも高い。
  • 目が大きい、口が上向きで目の中心よりも上。

明らかに高い体高が特徴的で体格はひし形に近い。成長速度が早く、同じ体長のフナと比べて目が大きいのが特徴です。

ニゴロブナと同じく餌に対して関心が低く。そのため、他種と混ぜて飼育すると痩せやすいので飼育する際には頻繁に餌やりをするなどの注意が必要ですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか、次回からは飼育環境について細かく説明していきます。

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