今回は琵琶湖博物館の特別展示から滋賀の魚の減少の原因と対策について解説していきます。
琵琶湖で起きている減少について学んでいきましょう。
滋賀の豊かな自然と生き物たちの減少
滋賀県には琵琶湖や複数の内湖など、多彩な水環境があり、60種類以上の淡水魚が生息しています。
この中にはニゴロブナやゲンゴロウブナのような世界でも琵琶湖にしかいない固有種もいますし、これらの魚は地域の人々に親しまれてきました。
しかしながら、琵琶湖は生物が日に日に減ってきているのです。その原因として水質悪化による生息の場所の喪失や水草の減少による産卵環境のが悪くなってしまうことによる繁殖ができなくなってしまうことが挙げられます。
さらにはブルーギルやオオクチバスなどの国外外来種による捕食、競争の増加などの要因も在来種が原数を減らしていことにつながっています。
かつては琵琶湖で普通に見られていたイチモンジタナゴやハリヨは、個体数がかなり減ってしまいました。その対策として、県は条例にとして採捕を禁止して個体数の減少を図っています。
また、国指定の天然記念物でもあるアユモドキもかつては生息していましたが、滋賀県ではすでに30年近く見つかっていないほど、状況はかなり厳しいのが現状ですね。
琵琶湖にいるフナももちろん例外ではありません。滋賀県の食文化でもあるニゴロブナやホンモロコなどもかつてに比べると漁獲量は大きく落ちています。
ふなずしも以前は大衆食でしたが、今では高級食と言われているのはそれが原因ですね。
他地域の魚も同じように危機的な状況にあるのはいうまでもないですね。
そこで滋賀県では淡水魚の保護・保全するために、生息場所・産卵環境の保全と再生、外来種の生息抑制など様々な取り組みを日夜続けています。
安易な放流が引き起こす問題〜国内外来魚〜
外来種という言葉は外国から来た「国外外来魚」と、国内の他の地域から来た「国内外来魚」が含まれています。
滋賀県に生息する国内外来種の魚には、コイ科のツチフキ、ケツギョ科のオヤニラミ、ハゼ科のヌマチチブ、キュウリウオ科のワカサギがあります。
ワカサギは水産業を目的に以前移植されたものですが、ツチフキ、ヌマチチブは移入経路がわかりません。
オヤニラミは本来の生息地で生息数が減少していますので、珍しい魚を守りたいと思う愛好家の「善意」とも言える安易な放流が原因かもしれません。
しかし、それは生き物たちの生態系に対しては決して良いことではなく、悪影響を引き起こす危険性もあります。
近縁の魚が侵入すると、それぞれの交雑が起こり、遺伝子交雑が起きてしまいます。
米原市に生息していたのハリヨの場合、近縁種のイトヨとの交雑によって遺伝子交雑が起きてしまった結果、現在は純粋なハリヨが存在していないそうです。
交雑による遺伝的撹乱は一旦起こると回復できないことなので、少なくなった生き物を守るためには「善意による安易な放流」に対しても、最新の注意が必要なのです。
琵琶湖の外来魚とその対策
琵琶湖にもともといなかった外来魚は、国内起源のワカサギを含め10種類以上がいます。その中で、オオクチバスとブルーギルは湖内で増えて在来魚などに大きな影響を与えています。
現在ではもはや放置できないほどの被害が出ており、滋賀県では「侵略的外来魚」として長年対策がとられています。
琵琶湖での外来魚対策は1999年からさらに強化され、漁業者の捕獲を支援して駆除される外来魚が増えてきました。
2003年には琵琶湖レジャー条例で釣った外来魚の最放流(リリース)は禁止され、釣り人にも協力が求められるようになり、更に2013年からは外来魚を捕獲するための電気ショッカーボートも導入されています。
その結果、琵琶湖のオオクチバスとブルーギルの生息量は、推定値が出された2000年代前半から徐々に減少してきました。2018年にはブルーギルが突然少なくなる一方で、オオクチバスがほとんど減少しなくなりました。
更にコクチバスが2000年代に鈴鹿山脈の3つのダム湖で相次いで確認され、チャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ)が最近では南湖でも捕獲されるなど、琵琶湖に新たな危機が訪れています。
まとめ
ということで、今回は「滋賀の自然と魚たちの減少」について原因とその対策について解説していきました。
大きな原因として外来魚放流が挙げられていますが、繁殖してしまうと対策もかなり難しくなりますし、今後の大きな課題になるでしょう。
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