今回は家畜種の解説をしていきます。
日本に生息しているフナの大半の学名であるCarassius auratusの問題になりますので、一緒に見ていきましょう。
家畜化とは
家畜化、それは、野生動物を飼い馴らし、家畜にすることです。
ヒトが何らかの目的のために飼い馴らし、その繁殖をコントロールしている動物のことを家畜と呼着ます。
家畜と聞くと、ウシ・ブタ・ニワトリを中心とする、肉・乳・卵などの食料を得る目的で飼い馴らされた動物をイメージされることが多いと思いますが、魚も家畜化しているものが複数存在します。
魚の場合はコイ、ニジマス、メダカ(グッピー)そしてフナ(金魚)が挙げられます。
金魚は西暦300年頃~400年頃の五胡十六国時代に中国でギベリオブナを家畜化したことによって生まれた魚ですね。
魚の場合は食肉というよりは愛玩動物としての家畜化が多いですね。
家畜種の命名上の問題
C.auratusとはキンギョのことであり、リンネが1758年に命名した種になります。
しかし、近年の研究によりキンギョの祖先種は「ギベリオブナ:C.gibelio」であることが判明した為、キンギョは人間が野生のフナを品種改良を行って生まれた種類となり、家畜種と扱われます。
- ギベリオブナ Carassius gibelio (Bloch,1782)
- キンギョ Carassius auratus (Linnaeus,1758)
種としてはその祖先種と同じであると見なされるようになってきており、大部分の家畜種ではその名称は祖先種と同一のものであるので問題は起こらないです。
しかし、キンギョのように家畜種と野生種が別の学名を与えられている例も少なくはないです。
その場合、今日の動物学では家畜種であるキンギョが野生種であるギベリオブナの学名で呼ばれる傾向がありますが、
学名の厳密な用法と照らし合わせた場合、命名上の問題を引き起こします。
家畜種と野生種が別の学名を与えられている場合、より身近な家畜種の方が先に名付けられていることが多いです。
フナの場合もギベリオブナよりもキンギョのほうが命名年号が早いですね。
つまり家畜種の方が学名としての優先権を持ち、野生種の学名は新参異名として無効と見なされています。
別々の学名を使用する場合には大きな問題ではありませんが、
両者に同じ学名を適用する場合、野生種に家畜種の学名を持ち込むことは非常に大きな混乱を引き起こします。
保全名
2003年の審議会の意見書においてはキンギョをはじめとする17種の野生種の学名について保全名とする裁定を下しました。
これによりこれらの学名は新参異名であることを理由に無効とされなくなっただけでなく、家畜種と野生種を同種として扱う場合にはこれらの学名が有効であることが示されました。
まとめ
ということで、今回は家畜化の学名について解説していきました。
フナはただでさえ分類が困難な生物なので、少しでも魚名に関しての知識を得ていただけたら幸いです。
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