今回はゲンゴロウブナの名前の由来について様々な説について解説していきます。
フナの中でも一番異彩な名前である魚にはどんな物語があるのか、一緒に見ていきましょう。
ゲンゴロウブナの由来
ゲンゴロウブナは琵琶湖に生息しているフナの一つです。
近江では古くからゲンゴロウブナの味を高く評価されているが、「ゲンゴロウ」という名が付けられた理由はご存じだろうか。
これは水中昆虫の「ゲンゴロウ」ではなく、「源五郎」という人物に由来するといわれています。
これにも複数の話が存在するので記載していく。
ゲンゴロウブナについてはこちらでも解説しています→【魚類解説】ゲンゴロウブナ
名前の由来 その1
「近江国与地誌略」の九十七に出ている「鮒」という項目にゲンゴロウブナの由来にまつわる話があります。
一緒に見ていきましょう。
佐々木という名の殿様の家臣に錦織源五郎というものがいた。 その人が毎年琵琶湖で捕る大きなフナを殿様や友人に贈った。 そのフナは味がとてもよいので、人々はいつしかこのフナをゲンゴロウブナと呼ぶことになった。
また、同じ本に別の説が載っています。
昔、大津に源五郎と呼ばれる魚商人が居た。 彼はニゴロブナやギンブナを売らずに常に体高の高い本種を売り歩いた。 人々はこれを「ゲンゴロウブナ」と呼ぶようになったと記されている。
考察
いずれも源五郎という特定の名前の人がフナを販売したり、贈ったりしたことにより知名度が高くなったという内容になりますね。
いずれも「体高の高いフナ」や「大きいフナ」というものだけを強調されているということもあり、
フナとしての違いを当時から理解をしているのではないでしょうか。
名前の由来 その2
応仁の乱の頃、都にフナを売り評判を呼んでいた堅田の漁師源五郎が、大納言家の姫君に恋をしました。 しかし、身分が違いすぎて思い打ち上げられませんでした。 彼は悩んだあげく、この大納言家に立派な焼きフナをもって参上した。 ところが、姫に差し出されたフナの腹から源五郎が書いた恋文がでてきました。 これをきっかけにして二人は結ばれたのである。 そして、この物語ででてきた大きなフナは彼の名前からとり、「源五郎鮒」と呼ばれるようになった。
考察
これはロマンチック?なのかは分かりませんが、なんとも趣向された面白いはなしですね。
実際にゲンゴロウブナはほかの種類よりも大型になります。
さらにはプランクトン食で、腸の長さが他のフナと比べて長く、長い内蔵を体に納めるために体高も高くなっています。
フナの体内に恋文を入れるのには最も適した種類になりますね。
実際にやる人はいないとは思いますが。
名前の由来 その3
最後はとある童話の話になります。
昔、源五郎という怠け者がいて、女房も迎えず、食っちゃ寝を繰り返していた。
溜かけた父親が
「どこでも行って働け」
と蹴飛ばしたら百姓の庭に転がり込んだ。
百姓が
「それでは大根ひきでも手伝え」
と言ってくれたから源五郎は大根ぬきをする事になった。
畑で力一杯大根を引き抜いたら、力余って天高く舞い上がり、大阪の桶屋の庭に落ちた。
桶屋の主人が
「それではタガでもはめるのを手伝ってください」
と言ってくれたから、今度は桶屋で働くことにした。
桶のタガを填めようとしたら、タガに弾きとばされ、今度は京都の笠屋に落ちた。
そこで笠屋に働くことになった源五郎は貼り終えた傘を干そうと庭で広げた途端、強い風が吹いて天に飛んでいった。
天では雷様が太鼓を叩きながら
「わしの手伝いをせい。わしのあとから太鼓に合わせて瓶の水を柄杓でまけば良いのだ」
と教えた。
雷様が太鼓を叩いた後、水瓶に水をまきながら空を飛んでいった
源五郎はだんだん水まきが面倒になり、瓶の水をぶちまけた。
ぶちまけた場所は近江国、瓶の水は琵琶湖になったといいます。
向こうの雲で雷様が怒って
「ばかもん、ひねりつぶしてくれる」
と叫んだ。
源五郎はあわてて
「これからは真面目にやります」
と許しを請い雷の雲を移ろうとして雲に足を踏み外してしまった。
落ちたところは琵琶湖。
そして琵琶湖に落ちた彼はフナになってしまった。
めでたしめでたし?
考察
最後の物語は非常にファンタジーな話ですね。
この話により琵琶湖ができたルーツも一緒に教えることができますので、
子供に「どうして琵琶湖ができたのか」と言われた時にこのお話ができたら素敵ですね。
まとめ
ということで、今回はゲンゴロウブナの名前の由来について解説してきました。
いずれも源五郎という人物が関係していること、琵琶湖や近江の国も文化が表現されていることを知るいい機会となりましたね。
そして、ゲンゴロウブナという魚の形態が当時から理解されていたこと、そしてその体の特徴を活かしたお話があったことも面白かったですね。
今後もフナの名前に関した物語があれば、記載していきますので、よかったらまた見にきてくださいね。
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