今回はフナの分類学としてオオキンブナがギンブナと混同される話について
原因とそれぞれのフナの分類点について解説していきます。
フナの仲間にはさまざまな種類が存在しますが、その中でも「オオキンブナ」と「ギンブナ」は見分けが難しいことで知られています。
特に西日本では、これらの魚が混同されるケースが多く、ギンブナと思われていた魚が実はオオキンブナだった、という事例も少なくありません。
なぜこのような混同が起こるのか?そして、オオキンブナとギンブナを区別する方法はあるのでしょうか?
ここでは、分類学的な観点からこの問題をひも解き、それぞれの特徴や見分け方について詳しく解説していきます。

フナに興味がある方はもちろん、水族館などで魚を見る際に役立つ知識もお伝えしますので、
ぜひ最後までご覧ください。
実例:なぜ混同が起こるのか?

特に西日本では、オオキンブナの生息地が多いため、ギンブナと間違えられることがよくあります。
この混同は、水族館の展示や一般的な観察でも見られる現象です。
- ギンブナにオス個体がいると思ったらオオキンブナだった.
- 水族館でギンブナを展示していると思ったらオオキンブナだった。

それでは2つの事象について詳しく見ていきましょう。
ギンブナのオス個体として勘違いされる。
ギンブナの性比は通常偏っており、メスが多いことで知られています。
しかし、西日本の一部地域では性比が1:1になるという記述もあり、
この場合、ギンブナではなくオオキンブナのオス個体と混同されている可能性があります。
ギンブナ展示かと思ったらオオキンブナだった話
西日本の水族館では、オオキンブナが展示されているにもかかわらず、
ギンブナとして誤表記される例が見られます。
一般の来館者には見分けが難しいため、このような混同が発生するのです。
間違えてしまう原因


なぜ、フナの種類を間違えてしまうのでしょうか?

原因はいくつかあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
- ・オオキンブナの知名度の低さ
- ・ギンブナとオオキンブナの見分けにくい
オオキンブナの知名度の低さ


まず考えられる原因としてはオオキンブナの知名度が低いと言うことです。
これはシンプルにオオキンブナの記載をした文献があまり多くないと言うことです。
オオキンブナは、ギンブナやキンブナに比べて知名度が低い魚です。
このため、図鑑や文献でも詳しい記載が少なく、水族館の学芸員や一般の観察者でも認識が十分でない場合があります。
さらに、ギンブナは日本全土に広く分布しており、生息域が被っているため、
「日本のフナ=ギンブナ」として扱われることが多くオオキンブナが見過ごされがちです。
見分けの難しさ

次に考えられるのはオオキンブナとギンブナの見分け方が難しい点ですね。
オオキンブナとギンブナは、見た目が非常に似ているため、外見だけで区別するのは困難です。
専門的な分類点を頼りにする必要がありますが、一般的な観察者にはその情報が十分に伝わっていないのも原因の一つです。
そのため、無理に展示解説にオオキンブナと記載するよりもギンブナとしてしまった方がいいのかもしれませんね。
分類学的な見分け方

正直なところ、学問的な分類点である体高比や背鰭の鰭条数ではギンブナとオオキンブナの違いを明確に判断できないところがあります。

唯一差が出る箇所といえば鰓耙数でしょうか。
学問的な分類点
オオキンブナとギンブナを学問的に分類する際、以下の点が参考になります。
- 体高比や背鰭の鰭条数
これらは一部重複するため、明確な判断材料とはなりません。 - 鰓耙数(さいはすう)
鰓耙数は以下のように異なります。
- オオキンブナ:34–56本
- ギンブナ:51–73本
混同が起きやすいのは、51–56本の範囲ですが、それ以外では比較的明確に区別できます。
ただし、鰓耙数を確認するには解剖が必要で、生体や展示個体では測定できないため、実用的ではありません。
展示個体での見分け方



じゃあ、生きているフナの見分け方ってあるんですか

展示個体を観察する際、
以下の特徴に注目することで、ある程度の区別が可能です
1、臀鰭(しりびれ)から尾鰭に向けた体高の変化
ギンブナは臀鰭から尾鰭にかけて体高が急激に低くなる特徴があります。
2、体色の違い
オオキンブナは黄色素胞が多く、体全体や目の部分に黄色みを帯びる傾向があります。
3、顎の張り出し
痩せたオオキンブナでは、顎が目立つことがあります。ただし、この特徴は栄養状態に左右されるため、補助的な見分け方です。
臀鰭よりも後の部分の体高が窄まる

まず確認する部分は「臀鰭よりも後の部分の体高が窄まっているかの確認」です。
これは、ギンブナの見分けやすい特徴ともいえます。
ギンブナは体高が比較的高い魚ですが、臀鰭から尾鰭に向かってかなり体高が低くなります。
ここの部分を着目するのがシンプルにわかりやすいかなと思います。
体が黄色がかっている
これはオオキンブナの特徴です。キンブナににて黄色素胞が多い傾向があります。
特にオオキンブナの場合は目の部分にも黄色素胞が回っていることが多いですので、
展示個体を確認する時には目を見てみましょう。
顎が張っている
これは魚の栄養状態による見分け方ですが、痩せているオオキンブナは顎が出っ張ることが多いです。
これは口の向きなどが由来していますね。
あくまで栄養状態の良い個体では判別できない方法なので、ご参考程度に見ておくといいでしょう。
まとめ
ということで、今回はオオキンブナの見分け方について解説してきました。
オオキンブナとギンブナが混同される理由は、オオキンブナの知名度の低さや、見分けるための特徴が分かりにくいことにあります。また、西日本を中心に見られる生息域の違いも混同の要因となっています。
フナの分類を理解することは、日本の生物多様性や生態系を深く知るための一歩です。

今回の解説を参考に、西日本でフナを観察する際は、ギンブナとオオキンブナの違いをぜひ意識してみてください。
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