今回は魚類における形態の測定方法について解説していきます。
これを読めば自分の釣った魚の大きさを知りたい時や、飼育している金魚のサイズを知りたい時、
どのように測ったらいいのかがわかります。
魚の大きさの指標としては「長さ」と「重さ」が単位となります。
人間に置き換えるなら「身長」と「体重」ですね。
重さの場合は測りをで示した数字を読めばいいだけです。
しかし、長さとなるとどこからどこまでの大きさなのかの基準を理解していない人
測る人によって誤差が生じてきます。
ここからは正しい測り方について確認していきましょう。
測り方は大きく分けて3種類
一般的に使用される体長の測定方法については「全長」、「尾叉長」、「標準体長」の3種類になります。
これ以外にも魚によっては「下顎叉長」という方法もありますが、
これはカジキなどの吻が長い魚特有の測り方なので、今回は割愛させていただきます。
全長
まずは全長です。
これは魚の頭部の前端から尾鰭の後端までの長さのことで、これは主に魚を平らな場所に自然と横たえて測るかと思います。
しかし、それだと尾鰭の開き加減で全長が変化していってしまいますね。
そこで、尾鰭を閉じてその後端までを測る方法もあります。これは一番魚を大きく見せる方法かつ、正確なので、魚類の図鑑等でも採用している測定方法ですね。
前者の方法でも間違いがないのですが、よりバラつきの少ない数値を求めることを考えるのでしたら後者の方法でも測定しておきたいですね。
魚の頭部の前端から尾鰭の後端までの長さ
尾叉長
次に紹介する測定方法は「尾叉長」になります。
これは頭部の前端から尾鰭の最も窪んだ場所までの長さになります。
せんせー、これはどういう時に使うんですか?
尾鰭が欠けてしまった魚の長さの正しく測るためと言われています。
野生で生息している魚の中には他の魚に尾鰭を齧られてしまったりする個体も少なくはありません。
また、研究や実験においては魚のマーキングとして尾鰭をカットして識別することもあります。
そういう個体を全長で測定すると尾鰭がない分ので、かなり少ない数値となってしまいます。
それでは研究や実験等で正しい数値を出したり体長の比較したりすることができなくなります。
そんな時にこの測定方法ならば尾鰭の状態に左右されてることなく正確に魚の長さを比較することが可能なんですね。
頭部の前端から尾鰭の最も窪んだ場所までの長さ
標準体長
最後に存在する測定方法は「標準体長」で、吻端から下尾骨の後端までの長さを測ります。
標準体長は主に水産学や魚類学などでの魚の生態研究で、
厳密な体長測定が求められる場合にもちいることが多い測定方法になります。
少々表現が難しいので補足しますが、「吻端」とは上顎の前の部分を指します。
また、「下尾骨の後端」というのは尾鰭を持ち上げた時に折れ曲がる部分を指します。
この方法ならば尾鰭が完全に破損してしまった魚の場合でも正確に比較することができますね。
吻端から下尾骨の後端までの長さ
魚の体長の測り方
測定の方法がわかったところで、次に測り方について解説していきます。
実際に魚のサイズを正しく測るのは意外と難しいものです。
私が研究室で体長を測定した時には正確性を求めていたため、ノギスを用いて0.1mm単位での計測も行ってきました。
しかし、釣りの現場ではそこまでの厳密さなどは必要ないでしょうし、手軽なメジャーで測定することが主だと思います。
メジャーでの測定方法
メジャーで体長を測定する場合は魚の頭が左、腹部が下(手前)になるようにおいて、メジャーの0cm(スタート地点)を魚の前端に合わせていきます。
大きな魚の場合は頭の前端が地面から離れているので、見る位置によっては誤差が生じやすくなりますので注意が必要ですね。
その場合は0cm地点に垂直な壁を作ってそこに前端を足当てるのが確実になります。
このまま全長ならば尾鰭を閉じて、尾叉長ならば尾鰭を開いた状態でメジャーの数値を読めばOKです。
間違っても魚の体にメジャーを当てて、カーブに這わせて測定したり、魚を引っ張りながら測定するのは正しい測定方法ではありませんので、やめましょう。
測定箱での測り方
メジャーだと魚が暴れてうまく測れません。
もっと簡単に測定する方法はないですか?
メジャーで測定する場合は基本的には魚を釣り上げた場合やすでに死んだ個体の測定行うことが多く、
生きている魚の場合は水から揚げられたことにより暴れてしまうことも少なくありません。
生体の場合や測定後に飼育する場合はこのような方法を取ろうとするのはお勧めしませんので、
そのような場合は観察ケースを使用しましょう。
これは下部にメモリが書いてあるアクリル製の箱であり、この中に水と魚を一緒に入れることで、魚の体長を測定することができます。
これでも暴れてしまったり前端をうまく0cmの位置に合わせてくれないことますので、
そこまで体長をシビアに考えない場合に使用しましょう。
私は魚を採集した際の記録として、魚を測定箱にいれて体長を確認することが多いです。
このまま写真を撮って、後で確認するのもありかと思います。
一般的な測り方は「全長」
測定方法がわかったところで、一般的にはどの方法が使われるのかという話をしていきましょう。
研究機関でなければ大抵の場合は全長を使用されていますし、
釣りの大会でも上記の理由で尾叉長が使われることもありますが、全長で競われる場合がほとんどになります。
大会であれば測定方法を含めたルールがありますので、
事前に確認しておきましょう。
自治体によっては漁業規制などでの捕獲して良い魚のサイズが定められていますが、
この場合も「全長」と考えておいて間違いはないでしょう。
スズキやボラなどの出世魚の場合も体長によって呼び名が変わるがこれも全長で考えておいていいと思います。
ちなみに釣り界隈では全長3cm未満のフナは
「柿の種」と呼ばれることもあります。
まとめ
ということで、今回は魚の長さの測り方について解説していきました。
- 魚の測り方には「全長」、「尾叉長」、「標準体長」があり、それぞれ使われる分野や状況が異なってきます。
- 一般的には全長での測定になりますが、ヒレがかけていたり、欠損していた場合には他の方法もあります。
ということは覚えておきましょうね。
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