今回は「鱗の役割」について解説していきます。
鱗とは魚の体を傷や病原菌から守るいわば鎧です。そんな鱗の様々な機能について一緒に見ていきましょう。
鱗とは
そもそも鱗というものには特に定義はなく、魚をはじめとする動物の体を覆っている小片のことを言います。
皮膚の一部が変化して体の外側を形成している外骨格の一つになります。
鱗の構造は必ずしも同じものではなく、分類群ごとに多様になっています。
鱗は同じ魚ではほぼ一定の形状を持っていますので、魚の種類を見分ける際の決め手となったり、
鱗から魚の年齢や系統を知る手掛かりともなります。
鱗の種類とフナの鱗
鱗には形状や成分によって楯鱗、コズミン鱗、硬鱗(ガノイン鱗)、円鱗、櫛鱗の5つに分類できます。
フナは円鱗を持ちます。
円鱗はエナメル質が完全に退化してしまった柔らかい鱗で、コラーゲンと骨質層から形成されており、鱗の表面を触るとツルツルと滑らかな特徴があります。
この鱗はイワシやコイ科魚類などの鰭が軟条だけで形成された魚が持つ傾向があります。
鱗の構造
ここでは、鱗の構造(主に円鱗)について解説していきます。
鱗は大きくまとめて表面に出ている骨質層と体内にあるコラーゲン繊維の繊維板層によって構成しています。
鱗紋
円鱗の表面には「鱗紋」と呼ばれる模様があります。
これは骨質層の隆起線と溝条によって構成されます。鱗紋の中心から鱗の周辺までに多数の隆起線が並びます。
この休止帯は多くの場合、年周期で形成されるのでこれを年輪といい、
年輪の数を読むことで年齢を推測することができます。
また、これとは別に鱗の中心から放射線状に走る溝もあります。
この溝は骨質層の表面が溝のように凹んで形成されることで鱗に柔軟性を持たせる役割があります。
鱗の役割
鱗には様々な役割を持っており、魚の生きる上で必要不可欠です。
身を守る役目
鱗の役割として最も大きいのは外的から身を守ることです。
鱗の大きさとして、海水魚よりも淡水魚の方が大きく、さらに回遊魚よりも岩礁帯に生息する魚の方がより大きくて丈夫のな鱗をもつ傾向があります。
より大きくて丈夫な鱗をもつ魚の傾向は水鳥や大型の魚などの天敵や岩や植物との接触のようなダメージの軽減するためであると考えられます。
確かにフナは鱗が大きいですし、
水草や岩が多い環境に生息していますね
カルシウムを補給する役目
鱗は骨と同じく、ミネラルの貯蔵庫としての機能を持っており、成分としてはカルシウムが多いのが特徴的です。
カルシウムは多くの生理機能に必要な元素の一つであり、魚は水中のカルシウムを取り込むと、血液を介して骨や鱗に貯蓄していきます。
魚は体内のカルシウムの80%が骨、10%が鱗に存在しており、
産卵期や冬眠期などに体内のカルシウム濃度が不足すると鱗に貯蓄したカルシウムを再吸収して利用しています。
センサーとしての役目(側線鱗)
魚の体の側面の中心部分に一本の線が通っているのが見ることができるかと思います。
これは側線と呼ばれ、魚の耳とともに水圧や音を感知する機能となっています
側線の数や本数は魚によって様々ですが、
フナの場合は体の鱗の上に側線があり、側線のあるい鱗を側線鱗と呼びます。
側線鱗は他の鱗と形態が異なっていて、鱗の中央に小さな穴が空いています。
この穴が体の中に繋がっており、水中で伝わった外部からの刺激を感じることができるようになります。
側線では主に水流の圧力を感じて、水の流れの向きや方向を感じたり、水温や塩分濃度、他の魚や障害物との距離を感じることはできます。
フナの群れが一定の間隔で動きが取れているのも
側線鱗のおかげなんですね。
まとめ
ということで、今回は鱗の種類と機能について解説してきました。
- 鱗には楯鱗、コズミン鱗、ガノイン鱗、円鱗、櫛鱗の5種類が存在しており、フナは円鱗を持っている。
- 鱗には身を守る、カルシウムを補給する、センサーという機能を持っています。
そのほかにも魚」によって様々な模様や色、特徴がありますので、ぜひみなさんも魚を見た時には鱗に注目してみましょう。
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