
今回は魚の鰾(うきぶくろ)についての機能について解説していきます。
鰾という器官は「浮き袋」とも表記されるように、浮力を調整することは知っていると思いますが、浮袋としてのは機能はこれだけじゃありません。
この器官がもつ様々な機能と、その絶妙な仕組みについて解説していきます。
鰾(浮き袋)とは

鰾は腹の中の内臓などが入っている部分の背側、
位置としては腎臓と腸などの消化器の間に存在しています。
魚を捌いた際に白くて柔らかいチューブ状のものが見えますがそれが鰾になりますね。
鰾は主に粘膜組織とコラーゲン繊維の集まりでできている器官ですね。
魚類が卵から発生して成長していく過程で、
鰾は消化管から独立して形成されます。

鰾の形は魚類によって様々であり、
フナの場合は鰾は真ん中が窪んだ形状をしています。
浮袋は硬骨魚類のみにもつ器官であり、サメをはじめとする軟骨魚類は浮袋を持っていません。
代わりに体の中のアンモニア成分で浮力を調整しているんですね。
有気管鰾と無気管鰾

魚の浮袋には2種類存在しています。
それぞれ説明すると。
有気管鰾
成魚になっても鰾が気道と通じて消化管とつながっている。
これを持つ魚を「開鰾魚』といいます。
例:コイ、ウナギ、ナマズ、マイワシ等
無気管鰾
消化管と浮袋がつながっていないもの。
これを持つ魚を「閉鰾魚」といいます。
例:スズキ、マダイ、イサキ、カワハギ等

ちなみに、フナは開鰾魚に当たりますね。
浮力調節に必要な器官
魚体の密度は、周囲の水よりも高く、鰾を取り除くと沈んでしまいます。
そのためにも魚は泳いで揚力を得るほかに鰾にガスを入れることで浮力を調整しています。
鰾にガスが無ければ水より比重が高くなり、ガスを入れれば比重が軽くなりますからね。
この浮力調節が鰾の役割の一つになります。
水圧は水深が10m深くなるごとに1気圧が上昇していきます。
気圧が上がれば上がるほど、鰾に受ける水圧も上昇しますので、深く潜れば潜るほど鰾の容積は減ってしまいます。
すると比重が減ってしまうのでどんどんと沈んでしまいます。

そうならないために、魚は深く潜るときは鰾にガスを送り込み、
浅いところに移動する時には鰾からガスを放出して浮力の調整をします。
浮力調整の仕方

それぞれの魚では鰾へのガスの送り方が異なっており、
開鰾魚(フナはこっち)
水面に浮上して空気を吸い込み、消化管と気管を通して鰾内へと空気を補充していきます。
無標魚
水面で空気を取り込まず、血液中の酸素ガス線という気管を通してを鰾へと移して浮力調整をおこなっています。
有気管鰾の場合はいちいち水面まで浮上しなくてはいけないというのが手間にはなります。
排出する際は気管から食道に通して吐き出すだけなので、
ガスの放出を早く行うことができます。

水圧の変化に対する適応が高く、
幅広い水深環境でも泳ぐことができますね。
鰾が魚の聴覚を助ける

鰾の中にはガスが詰まっているので、水中の音は鰾に響きます。
それにより、鰾は魚の聴覚を助ける器官としての役割を発揮しますね。

特に鰾が「内耳」と呼ばれる器官に連絡している魚類は、
水中の聴覚が非常に優れていますね。
例えばコイやナマズの仲間には鰾と内耳をつなぐ「ウェーバー器官」という器官が存在しています。
これは脊椎骨のうち、頭寄りにある第1~4脊椎骨の骨片が変化した「ウェーバー骨片」と呼ばれるものと、これを内耳に導く「導管(無対洞、横行管)」からなります。
鰾内に響いた音がこれらの骨片に伝達していき、振動が増幅された状態で内耳に伝わっていくので、非常に聴覚が優れています。
まとめ
ということで、今回は鰾について解説していきました。
- 鰾は浮力調整を行う気管であること。
- 有気管鰾と無気管鰾が存在しており、フナは有気管鰾であること。
- フナは水面で空気を取り込むことで、浮力を確保し、息を吐くだけで排気ができること
- 鰾はウェーバー器官を通して聴覚を補助する機能もあること
他にも魚によっては空気呼吸をするために鰾を使ったり、鰾を使って鳴き声をあげる魚も存在します。
興味のある人は調べてみると面白いですね。
コメント