今回は魚の寿命を調べる方法について解説していきます。
魚の年齢を調べることは、その魚の種類の生活史の特性や、成長を理解して資源の管理や効率的な漁獲を行うために重要な意味を持っています。
年齢査定の背景
水産学の分野では古くから魚の年齢を明らかにする研究が行われています。
一方で、魚のみならず、野生生物の年齢を調べるのは難しく、多くの手掛かりが必要となります。
多くの手掛かりが必要となり、卵から飼育して年齢や寿命を調べるという方法もありますが、自然環境と異なる飼育環境下では様々な条件が異なるため、天然魚とは異なることが多いです。
飼育すること自体も困難な魚も少なくないですしね。
年齢の調べ方
魚の年齢査定として一般的に行われているのは、年齢形質を用いたものです。
年齢形質とは植物の年輪のようなもので、魚の場合は鱗や耳石、脊椎骨やヒレの断面などに
成長とともに形成される「鱗紋」と呼ばれる線を計測して年輪を割り出す方法があります。
いずれも夏期には成長速度が速いため年輪が早く成長し、成長速度が遅い冬季には年輪があまり成長しません。
この成長速度のゆがみによって生じるため、
通年とも水温が一定で成長速度が変化しない環境で飼育を行った場合には年輪が発生しにくいですね。
耳石
耳石は脊椎動物の内耳にある炭酸カルシウムの結晶でできた組織で、平衝石とも呼ばれています。
ここでは平衝感覚や聴覚に関与している器官です。
これらの組織に形成される輪紋は、魚類の骨格の成長速度が季節に異なるために発生します。
成長が急な時は広く、成長が緩やかな時には狭くなります。
前者が成長帯、後者が休止帯と言いますが、この休止帯が輪紋となります。
樹木の年輪と同じ理屈になりますね。
他の年齢査定
ほかにも漁獲された魚のサイズの組成から計算式を導いて年齢を割り出す手法や、
標識をつけた魚を放流して再度捕獲された際の成長度合いから、その魚種の年齢を推定する方法も知られています。
魚の年齢と大まかな大きさ
年齢 | フナの | コイの体長 | イトウの体長 |
1歳 | 10cm | 15cm | 10cm |
2歳 | 15cm | 22cm | 25cm |
3歳 | 20cm | 30cm | 40cm |
5歳 | 25cm | 50cm | 50cm |
10歳 | 30cm | 70cm | 100cm |
魚の年齢を知ることは簡単ではありませんが、釣り人が魚の年齢を推測する簡単な方法としては各年齢ごとの大まかな大きさを覚えておくといいですね。
フナであれば10〜15cmは1〜2歳魚、20cm程度は3歳魚といった具合になります。
しかしながら生息地や栄養環境によって変化しますし、
大型になればなるほど一年ごとの成長はわずかになりますし、個体ごとの違いも大きくなりますので老成した大型魚の年齢を正確に測ることは難しいですね。
年齢と資源の関係
最後に、魚の年齢と資源の関係を考えていきましょう。
フナの中でもニゴロブナは琵琶湖にて漁獲量の制限があります。
一般的にフナは成熟までに2〜3年くらいと時間がかかります。
漁獲や外来種問題により資源が激減したと言われていますし、こういった魚を捕獲し続けてしまえばあっという間に枯渇してしまうことが考えられます。
魚の年齢と成長速度を考えて釣りや魚取りを自制することも必要ですね。
まとめ
ということで、今回は魚の年齢査定について解説していきました。
- 年齢査定の方法には耳石や鱗などの年輪をみて計測することができます。
- 魚によっては年齢ごとに平均体長がありますので、簡易的に年齢を推測することもできる。
魚の年齢を調べることは、魚の成長や生活史を知るための指標なので、少しでも興味を持ってくれると嬉しいですね。
コメント