魚は冬眠をするのか?魚の冬の過ごし方|寒鮒

生物学
先生
先生

今回は魚の冬眠や休眠について解説していきます。

リスやクマなどの多くの動物は「冬眠」といって、冬に姿を消して春になるまで眠っていきます。
では、水中で生活している魚たちも冬眠をするのでしょうか?

我々が寒い日には家ですごいしている中でも彼らは冷たい水の中にいます。
池では冷たい氷が張ることもあります、魚は生きることができるのでしょうか。

それでは、ご覧ください。

魚の冬眠のメカニズム

真冬の本栖湖で越冬中のフナ。
女の子
女の子

そもそも冬眠ってなんなの?

冬眠とは

冬眠とは、狭義には恒温動物である哺乳類と鳥類の一部が活動を停止し、体温を低下させて食料の少ない冬季間を過ごす生態のことである。
 広義では変温性の魚類、両生類、爬虫類、昆虫などの節足動物や陸生貝などの無脊椎動物が冬季に極めて不活発な状態で過ごす「冬越し」のことも指す。

先生
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ということで、正確には魚は冬眠はしません。

「冬越し」という言い方が正しいです。

実際に寒冷地に生息する一部の魚は、冬季になると活動が低下し、低体温状態になることがあります。

このような魚が低体温状態になる理由としては、水温が低下することで代謝が低下し、
エネルギー消費が抑えられるためです。

また、コイ科魚類の中では、水温が低くなると体内にアルコールを生成できることが知られており、低水温の環境でも生き延びることができます。

イギリスに生息しているヨーロッパブナは氷点下でも生存することが知られていますね。

魚は「冬眠」ではなく、「冬越し」といいます。

冬眠(冬越し)する魚はどんな種類なのか

一般的に冬越し行動をとる魚は温帯に生息している淡水魚になります。

代表例を言うならば、フナやコイなど・・・まさに日本の魚でしょう。

というもの熱帯では一年中水温が高いですし、寒帯では年中水温が低いため、
水温変化が少ないとそもそも「冬越し」という概念がありません。

男の子
男の子

そもそも、「冬」という概念がないと意味がないですよね。

また、日本にいる淡水魚では「アユ」などの一年魚の場合は産卵をして冬を迎える前に死んでしまう魚以外ならば、基本的に「冬越し」を行います。

海水魚の場合、海は水温は気温によって変動はするものの、
川や池のような水温変動がそこまで激しくないです。

そのため、活動が鈍くなる魚はいるものの、冬眠のような行動を行う魚は少ないですね。

フナの冬眠(冬越し)行動

先生
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それでは、具体的に魚がどのように冬を過ごしているのかを紹介して行きましょう。

フナは水温が5~6℃を下回ると動きが鈍くなり餌を食べなくなります
4℃以下になると水域の深部に沈み、いわゆる「冬眠(冬越し)」を始めます。

冬越しと基本的に睡眠と同じ動きで水底でじっとしています。

フナが耐えられる限界水温

氷が厚く張った水域でも体液が凍らなければ、
0℃を下回っていても生存していられることがわかっています。

実験下では、水温が-1~-2℃と長く続くと幣死し、ー3℃では即死するとされています。

女の子
女の子

じゃあ、池に氷が張ったら魚は死んでしまうんですか?

しかし、水温が0℃を下回ることというのはそもそも稀です。

そもそも表層に氷が張っている環境でも、
深度があれる水域の場合ならば水底の水温は4℃前後を保つことが知られています。

そのため、フナは底水温環境で幣死する事はなく、冬眠状態がつづくことできます。

氷が張っている池でもフナは生きている!!

飼育における冬眠(冬越し)のメリット

水底でじっとしているフナ

ちなみに、金魚など屋外で飼育している場合は冬眠(冬越し)している姿を観察することができます。

魚は冬越しを経験すると、寒さで生命の危機を察知します。

そのため、春になり温かくなってくると、
子供を産んで自分の子孫を残そうと「繁殖行動を起こしやすくなる」とされています。

このように子孫繁栄のために冬眠(冬越し)をさせるのです。

先生
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また、一度冬を経験した個体は、丈夫に育つともされていますので、
冬眠をすることは悪くありませんね。

冬眠(冬越し)の方法

男の子
男の子

外で冬越しさせる方法を教えてください。

実際に屋外で飼育している場合、冬を越えさせるにはどのようにすればいいのでしょうか。
ポイントは大きく3つです。

冬越しのポイント

・水温に気を付けて管理する。

・エサの量を与える

・夕方以降のエサやりを避ける

まずは、水質の管理です。

水温が10℃を切るようになったら、餌を切り、餌切りから2日後に水を全部替えます。
魚のエサとなりますので池のコケなどは残しておきましょう。

冬の間は水温が下がっているので魚の活性自体が低くなります。
そのため、餌を与えても食べないことが多いです。

次に「エサの量の管理」です。
食べ残しが出ると、水の汚染にも繋がりますので、与える量はよく考えましょう。

最後に「エサやりの時間帯」です。

特に水温が下がる夕方以降は、仮に餌を食べたとしてもうまく消化できずに、
消化不良をおこしやすくなるリスクが高まります。

先生
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もし冬場にエサを与えるなら昼間にしましょう。

冬明けの飼育方法

春暖かくなってくると水温が上がり、魚は冬眠(冬越し)から起きてきます。

動き出したとしてもまだ消化器官などは万全でない場合がありますので、
餌は控えめに与えて様子をみましょう。

また、水温が上昇し出して魚だけでなく細菌の活動も活発になります。

先生
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春先は特に病気が発生しやすい時期でもありますので、充分に注意してください。

まとめ

ということで、今回は魚における冬眠について解説していきました。

  • 魚は低水温の環境になると活性が下がり水底でじっとするようになります。
  • 水温が0℃以下で死亡してしまう可能性がありますが、水底は水温が安定していることが多い
  • 冬を経験すると繁殖力が上がり、丈夫に育ちやすくなる

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