【フナの生息地】野池

生物学

今回はフナが生息している湖沼として野池について解説していきます。

湖沼は日本各地の身近に存在している湖沼ですが、
自然にできた池というのは意外と少ないものです。

その多くは稲作の発達とともに人工的につくられた溜池になります。

ここでは溜池を比較して野池というフィールドを解説していきます。

野池とは

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野池は灌漑の用途で人工的に作られた溜池や砂利を掘ってできた穴に水が溜まってできた場所です。

また、蛇行する河川を直線にする際にできた河川跡の池や、
河川が氾濫した際にできた水たまりといった池の総称になります。

野池というと誰からも管理されていないというイメージを受けるかもしれませんが、
池そのものは国や県、自治体や池の地権者によって管理されています。

野池の種類と特徴

野池には自然にできた池もありますが、
最も多くみられるものは溜池になります。

溜池は、その地域の降水量が少なくなったり近くに取水できる河川がなかったりする
地域の灌漑用に造られた排水設備のある池ですので、
各地の稲作が行われている地域で見られます。

主に山間部から平野まで各所に広く造くられています。

山間部の谷間には下流に向けて堤を設けて造られた小型のダムのような「谷池」、平地では四方を堤で囲んだ「皿池」と種類があります。

谷池から排出された水が皿池へと分配されますので、
谷池の排水路を辿っていれば、他の溜池を探すこともできます。

水深

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野池の水深は主に数十cmから深くても数mほどと比較的浅いのが特徴です。

谷池では上流から下流にかけてなだらかに深くなっています。

一方、皿池の場合は名前の通り平らであり、遠浅のものも多いですね。

植物

植物としては、岸ぎわにはアシやガマなどの抽水植物が生えており、
水面にはヒシやスイレンといった浮水性の水草、水中にはクロモやアナカリスなどの沈水性の植物が見られています。

灌漑用として水を利用することから、季節によって水位が大きく変動する特徴があります。

稲刈りが終わる秋からは水位が下がっていき、
冬場になるとほとんどの溜池では泥や水草の除去を行うために水を抜いてしまうことが多いです。

その間、魚は他の溜池へと移されることが多いですが、外来種はそのタイミングで駆除されます。

野池に生息している魚の特徴

溜池に生息している魚はフナをはじめとして、
コイやモロコ、ドジョウといった日本の在来種である魚が多いですが、
近年になってブラックバスやブルーギル、ライギョなどの外来種も多くみられるようになっています。

これらの魚は水路によって繋がっている河川や他の溜池から移入してくるので、
同じ地区の溜池では同じ魚がみられることが多いです。

中には湧水のみを水源とする隔離された野池もありますが、
そういった場所に生息する魚は、観賞や釣り目的のために人為的に放流されたり、
台風や大雨で川が氾濫した際に流された魚が移入したりするのが一般的ですね。

野池の利用

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野池は地域によっては食用のジュンサイの栽培やフナやコイの養殖に利用されていることが多く、
フナの養殖では観賞用の金魚や釣り魚用のヘラブナを広い環境でストレスなく育て上げられるのに一役買っています。

しかし、農地への農業用水の確保を目的として造られた溜め池は、
土木技術の進歩によって灌漑整備された現在は用途がなくなり、
埋め立てられてしまい減少傾向になっています。

一方で古くから存在している溜池の中には絶滅危惧種が数多く生息していることが確認された場所もあり、
近年は生物の多様性は高く評価されています。

こういった環境をいかに残していくかが今後の課題となっていますね。

地元の野池 【城池親水公園】

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ここからは、私が子供の頃の遊び場として使用していた野池の一つである城池について解説していきます。

城池は戦国時代に北条早雲が拠点としていた韮山城でのふところにある周囲1キロほどの野池です。

ここは駐車場、自動販売機、トイレ、野鳥観察小屋、遊歩道、広場が整備されていて釣りにも散策にもおすすめです。

近くは韮山反射路や歴史資料館や江川邸などの遺稿もあり、歴史散策が楽しめるほか、以前はヘラブナの放流も行われているため、野釣り場となっています。

現在選定を進めている「日本の里池100選」「日本の城池100選」の候補です。

ここに生息している魚はヘラブナ、ギンブナ、ブラックバスなど、釣り魚の移入種が多いですね。

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城池は散策のみならず釣り場としての魅力も高い場所です。

地元釣り会をはじめとする常連が長年にわたって大切に守っており、きわめて良好な釣り環境が維持されている印象を受けます。

少量ながらヘラブナの放流も行われており、地元釣り師が釣りをしている姿を見ることもできます。

ここで地ベラ化した大型の個体が多いそうで、40cm以上の個体も見られるそうです。

地元釣り会は「純べら」と呼ぶそうですね。

韮太郎

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また、ここの野池ではヘラブナとは独自に別に韮太郎(にらたろう)と呼ばれる魚もターゲットとなっています。

韮太郎は「40センチを越える巨大なマブナ」であり、老成化ギンブナかオオキンブナである可能性が高いですね。

地元の釣り会では大型のマブナが釣れた場合はその名前を用いられるほどに定着しているそうです。

地元の人の推測では、「韮太郎」は狩野川から移流したものではないかと考えられています。

一方、ヘラブナは芦ノ湖から移流されています。

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