今回はフナが生息している場所として「山上湖」を解説していきます。
標高の高い場所にある湖のことを「山上湖」と呼び、
このフィールドでは主に放流によって釣り魚の確保を行なっていることが多いです。
山の谷間を巨大なダムで塞ぎ止めた人造湖(ダム湖)も高所にある湖は山上湖と呼ばれることもありますが、
ここでは天然湖のみについて解説していきます。
山上湖の背景

山上湖は、主に火山活動でできた山の窪みに湧水や雨水が溜まってできたものです。
高所にあるため、河川の流れ込みは多くなく、
平野部の湖と違って湖の生成時点から生息している魚は意外に少ないです。
そのため、釣りの対象魚は放流事業などによってストックされているのが一般的ですね。

具体的には、標高が高く、水温が低いという傾向から、
ニジマス、イワナ、ヤマメといった「冷水性」の魚がメインとなり、ルアーやフライ、テイクとローリングなどのターゲットとなっています。
それに加え、こうしたマス類のエサとして、或いは水産資源としてワカサギなども放流されます。
湖一面に貼った氷に穴をあけてワカサギを狙う穴釣りは冬季の風物詩でもありますが、
近年は完全に湖が凍結するのが少なくなってきていますので、ボート釣りが主流になっています。
また、水温が比較的高い湖では、コイやヘラブナ、オイカワ、ブラックバス、スモールマウスバスなども生息しており、
こちらも釣りのターゲットとしても好まれています。
山上湖の溶存酸素量

水中の植物性プランクトンや水棲植物の光合成によって発生する「酸素」は魚たちにとって絶対に欠かせないものです。
当然、酸素のダイレクトな供給源である水草が繁殖したエリアは、
山上湖でも一番高ポイントになってきます。
ところが、光合成に必要な太陽光が届かない水深10以深ではプランクトンや水草がほとんど見られず、さらに深くなるにしたがってどんどん酸素が欠乏していきます。
海とは異なり、大規模な底流も存在しない山上湖では、一定の水深より深い層では無酸素状態になってしまい、
生物が存在できないというのが一般の学説です。
したがって、酸素のない湖底に釣り糸を垂らしたとしても、
魚は1匹も釣れないということになります。
それでも、実際には水深20〜30mを超えるような深場にも魚が生息しているのは、
光合成以外でも酸素が供給されるからと言われています。
すなわち、湧水が流れ込んであるいは雨や雪、風波などで湖水が攪拌されることによって、
深場の溶存酸素量が増加していき、雨や風が強い日には魚の活性が上がり、深度が低い場所で魚が釣れるケースもあります。
同様な考え方をすれば、岬やワンドの出入り口、岩礁帯などの地形や流れに「変化」のある場所も、
山上湖では見逃せない魚のいるポイントになります。
山上湖でのフナの動き

山上湖に生息しているフナは基本的には放流個体になりますので、大半が釣りの対象魚として放流されたヘラブナになります。
冷水を好む魚ではないので、比較的温かい水を好みますので、浅場のワンドや日当たりのいい南向きの岸辺や岬の風裏などに群れていることが多いですね。
また、捕食者としての大型魚はそういった魚を襲うためにさらに深場に落ち込む駆け上がりに見られることが多いです。
富栄養湖ならば植物プランクトンを主な餌としていますが、標高が高い場所ではそこまでの餌はないので、
それ以外の水生昆虫や苔などや餌として探しながら遊泳しています。
フナのいる山上湖【本栖湖】


今回はフナのいる山上湖の中でも私が愛して「山」ない本栖湖について解説していきます。
本栖湖(もとすこ)は、山梨県南都留郡富士河口湖町及び南巨摩郡身延町に跨いで存在する湖。 富士山の北西山麓にあり、富士五湖の一つで、最西端に位置する。 最大水深121.6mは、富士五湖の中で最も深い。最大水深は富士五湖で最も深く、面積は3番目の大きさである -Wikipediaより引用
本栖湖はヒメマス、ニジマス、ブラウントラウトのほか鯉、オイカワ、ウナギ、ワカサギなどが棲息しています。
生息しているフナはギンブナとゲンゴロウブナが生息していますが、いずれも放流によるものであると考えられます。
移住魚として、特定外来生物であるコクチバス、オオクチバスが1990年代に密放流され、在来生態系への影響が懸念されています。
1997年から地元漁協や山梨県による駆除活動の結果 2004年以降 2012年まで確認情報が無いことからコクチバスに関しては根絶されましたが、オオクチバスに関しては23年現在も生息しています。
2023年3月には日本では産業管理外来種に指定されており栃木県の中禅寺湖のみで生息しているはずのレイクトラウトが本栖湖でも発見され、
栃木県と山梨県では密放流が行われたとされています。
本栖湖も魅力としては透明度の高さが挙げられます。

湖水の透明度は11.2m とされており、良い時は20mを超えることもあるほど日本でも屈指の透明度を誇る湖です。
季節変動があり、プランクトンの増加する7月が一番悪く、9月が一番良いとされています。
近年は栄養塩類の増加に伴い透明度が低下しているとされています。そんな高い透明度を誇る本栖湖は、
日本で数少ないアルティチュードダイビング(高所・淡水ダイビング)を楽しむことの出来る湖です。
富士山溶岩が流れ込んだ溶岩地帯や、湖底の湧水、巨大な沈木のエリアなど、海とはひと味違った淡水の世界が味わえます。


※尚、海抜900メートル以上の高所ダイビングは、浮上速度やウェイトなどを高所用に調節する必要があります。
ダイビングをする際には事前に準備を進めていきましょう。
まとめ
山上湖は人為的に作られたものではありませんので、
大きさも深さも形状もそれぞれに個性があります。
ぜひ山中で湖を見つけた際にはのぞいて魚を探してみましょう。
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