今回は魚の視力について解説していきます。
水中にいる魚は陸上にいる我々人間や捕食すべきエサを見分けています。
そんな魚たちの視力は実際どのくらい良いのでしょうか。
魚の視力
魚の視力は種類によって違いはありますが、0.1〜0.4しかありません。
しかし、水中は光の屈折の関係で若干ものが大きく見えますので、実際に魚が水中で見渡せる距離は陸上の倍以上であるという研究結果も出ています。
人間では近視とされる視力ではありますが、魚類の目の役割は主に餌と外敵の認識なので、
十分役割は果たせています。
フナの場合は良くて0.2程度になります。
魚の視野
人間と魚では体に対する目の付き方が異なっています。
魚は首が固定しされていますので、首を動かして振り向くことができません。
自然界では外敵や障害物の察知をするために常に上下左右全ての方向が見えていなければなりません。
そのため魚の目は視界が広く、一つの目に対して180°近い角度で見渡すことが可能なのです。
よく、カメラのレンズで「魚眼レンズ」というものがありますが、
これが魚類の眼に近い構造となっています。
これを使用することで対角180°の広い視野を見渡すことができます。
しかし、よく見える範囲は魚によって異なっています。基本的に魚は体の側面に目がついており、その両目の視野が重なる範囲(これを両眼視野)といいます。
また、両眼視野から外れた範囲については視力が格段に落ちるとされています。
この両眼視野は魚によって異なっており、例えば、アジやカツオは斜め上、マグロやクロダイは斜め下が両眼視野の方向となります。
このことは眼のつき方についてだいたい想像がつくのではないでしょうか。
フナの眼球が飛び出す理由
フナの場合は視界のピントの合わせを人間のように水晶体の厚みを調整する仕組みでなく、
水晶体の位置を変えることで行っています。
そのため、水槽で飼育すると目が飛び出しやすいと言われています。
これは水槽の外の遠くまで見ようとして少しでも目を前に出し、
焦点を合わせようとするためではないかと考えられていますね。
水中から人は見えているか
魚は、水面を通して陸上まで見えていると考えられており、この概念を「フィッシュ・ウィンドウ」と呼ばれています。
魚の上方に対する視野は約97°で、さらに水中と空気中での光の屈折率の違いから頭上だけでなく、水平線近くまで見えているということになります。
魚の目は、両眼視野から外れたものにたいしては視力が落ちると言いましたが、
それでも動いているものには敏感に反応します。
魚は動くものを捉える動体視力がすぐれているんですね。
「見える魚は釣れない」という釣り言葉がありますが、
我々が水に魚をみている時には、水中にいる魚も我々をのぞいて認知しているからなんですね。
そのため、水が濁った状態の方が陸上の様子が見えづらいのは当然でしょう。
多少水が濁った環境の方がよく魚を釣ることができるのは魚が人間を認知できていないことも繋がっているのでしょうね。
夜間の視力
人間と同じく、魚の目には錐体細胞の他に「桿体(かんたい)細胞」があります。
この桿体細胞は暗い環境でものが見るために使う細胞であり、少ない光の環境でもものが見えているということになります。
ただ、暗い環境では色が出てこないのは陸上も水中も変わりありません。
そのため、夜間に色の識別を行うのは難しいですね。
視力を補う感覚
視界がほとんどないような濁った水の中でも、魚は餌を探し出して捕食します。
また、自分を捕食しようとする外敵が近づいてきた時には、機敏に逃げなければいけません。
もしも、魚が目だけを頼りに生活をしているとするならば、偶然鉢合わせした生き物が餌か天敵かで生死が決まってしまいます。
そのため、目以外の感覚も頼りに生きていかなくてはいけません。
そのため、聴覚、嗅覚を持ち、さらには側線という優れた感覚器官をもつ魚にとっては視力だけでなく他の要素も考慮して生き残りをかけていますね。
色の識別
多くの生物は眼の中の網膜にある「錐体細胞」で色の識別を行っています。
人間の場合には三種類の錐体細胞があり、それぞれが認識する色の波長が異なっています。
つまり、人間は3つの原色(三原色)をとらえてその掛け合わせから色を判断しているということになります。
一方で、魚の場合はこの錐体細胞が4種類存在しており、色の識別については人間以上ということになりますね。
また、学習実験でも多くの魚は色の識別ができていると証明されています。
しかし、それが魚にとって逃げるのか、攻撃するのか、はたまた食いつくかという判断に影響しているのかはよくわかっていません。
というのも、魚の餌でも自然界のものとは異なる色味でも普通に食いつくこともあるからあくまで視覚は判断を行うため一つの要員にすぎないんですね。
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