
今回は魚類の化学感覚として嗅覚と味覚について解説していきます。
魚の餌として使用しているミミズや配合しているエサには強烈な匂いを発しています。
魚たちはどんな匂いに引き付けられているのでしょうか?
魚の嗅覚が非常に優れていることは、釣り人が多く感じている事実ですね。
それでは、水中に潜んでいる魚たちはどのようにして匂いを感じているのでしょうか。
鼻の形と位置

通常、魚の鼻は眼の前方にあります。
魚の顔を近くから眺めたことがある人でしたら、左右対称に小さな穴が空いているのを知っているでしょう。
よく鼻を観察すると穴が前鼻孔と後鼻孔の二つに分かれているのに気がつくはずですね。
人間の場合、吸う空気も出す空気も両方の鼻の穴を同じように通りますが、
魚の場合は匂いの溶け込んだ水を取り込む穴と放出する穴が別になっています。
前鼻孔から水を取り込んで、後鼻孔から水を出していきます。
そして、魚の鼻は口と繋がっていません。

というのも、人間のように口と鼻が繋がっていると口腔圧と鰓圧によって鼻に水流が流れ出てしまい、呼吸や食事ができなくなってしまいます。
よって、魚の二つの穴の間にある鼻腔の中の嗅細胞で匂いの原因である物質を感知するのです。
ふなの場合

フナなどのほとんどの魚では、前鼻孔と後鼻孔が接近しており、
その間に抵抗板のような仕切りがあります。
この仕切りは魚の前後運動によって効率よく水が流入するための仕組みです。
嗅覚の鋭さ

陸上に生息している動物は、大気中の物質を嗅細胞で感知しています。
魚の嗅細胞の数そのものは多くありませんが、細胞の感度は非常に優れており、
低濃度の匂いでも感知することができます。
フナやウナギ、ナマズは嗅覚が特に優れています。

その嗅覚は人間の100万倍ともいわれ、
嗅覚が良いといわれている犬にも匹敵することが分かっています。
嗅覚の鋭さは鼻の中にある「嗅板」という器官のヒダの数や配列によって決まっており、
フナの場合は嗅板に約100枚のヒダを持っていることで感度に優れています。
特に濁った水域で生息している魚は視覚よりも嗅覚を頼りにエサを探しているということですね。
匂いに対する反応


魚はどのような匂いに反応しているんですか?
研究によって魚類は特にアミノさんに対して強い反応を示すと言われています。
それ以外にも性ホルモンやプロスタグランジン、胆汁酸にも強い反応を示します。
魚がアミノ酸に強く反応する理由としては栄養源であるタンパク質の中にアミノ酸が含まれているからとされており、
エサの匂いとして反応しています。

人間はアミノ酸を味わうことができても匂いを感じません。
しかし、魚は味覚と嗅覚の両方でアミノ酸を識別できます。
前述したように魚の嗅覚は非常に鋭いので、かなり離れた場所からも匂いを感じて、
エサの存在を知ることができます。
魚の種類によって好むアミノ酸の種類はことなっており、
これは主に食べるエサに含有する成分によって異なっているとされています。
フナの好きな匂い
アラニン、バリン、グリシン、グルタミン
アラニンはミミズやイソメに多く含まれているので、
フナ以外のも海水魚のマダイやカサゴも好む傾向があります。
また、グリシンを多く含む藻エビやオキアミなどもフナをはじめとした多くの魚が好みます。
フナは単独でグルタミン酸を好む傾向がありますので、
配合飼料にグルタミン酸を多く含むみりんを添加すると食いが良くなる傾向があります。

コイ科の魚を釣る時にはエサにみりんを混ぜるといいでしょう。
魚の嫌いな匂い

逆に嫌いな匂いはありますか?
逆に嫌いな匂いとしては腐敗したタンパク質やでんぷん質から発生した「硫化水素」や「プトマイン」があり、これは多くの魚が嫌います。
そのため、腐りかけたエサを使うと魚が釣れないことが多いのはこのためです。
また、魚同士が敵の存在を知らせるために発生させる警告物質というものがありますが、
これも嗅覚によって察知されていると考えられています。
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