ここでは骨格標本について解説して行きます。
骨格標本は魚の骨格を確認するために一番手っ取り早い標本です。
実際の作り方の解説と私の作成録も残しておきますのでぜひ、ご覧ください。
骨格標本の作り方

まずは作り方の流れです。
- 測定
- 骨にする
- 脱脂
- 漂白
- 成形・組み立て
- 台の制作・取り付け
炭酸ナトリウムで煮る


まずは煮る方法です。
長時間煮ることで、タンパク質が柔らかくなり、骨から肉が取れやすくなります。
また、炭酸ナトリウムや重炭酸ナトリウム(重曹)を混ぜてあげると良いです。
水酸化ナトリウムや水酸化カリウムは肉を溶かす効果がありますが、
その分骨をいためやすいですからやめた方がいいですね。
炭酸ナトリウムの濃度が高く煮る温度が高いほどに早く肉はとけますが、
これもやりすぎると骨をいためてしまいます。
そのため、時々ピンセットでつまみ出してハブラシでこすり、
肉がはずれるようならそこでやめましょう。
ずっと横で見ていられない場合には、40℃くらいで煮るようにした方がうまくいきます。
絶対に沸騰させてはいけません。
カツオブシムシに食べさせる


次に虫に食べさせる方法です。
カツオブシムシ類は乾燥した動物質のごみを食べる甲虫で、動物のひからびた死体に付いていることがあります。
名前の通り「かつお節や煮干しを食べる害虫」でもあります。
博物館では動物の剥製や昆虫の標本が食べられてしまうことがありやっかい者の立場です。
を逆に利用する方法です。
標本にしようとする死体はふたができる容器に入れ虫が飛んでくるのを待ちます。
虫が付いたのがわかったら容器にふたをして今度は逃げ出さないようにします。

残っている筋肉が湿るとウジが発生するので、湿らないように注意します。
一度火を通しておくと良いようです。
カツオブシムシは筋肉は食べますがじん帯は食べません。

だから、骨だけがつながった標本ができるんですね。
食べさせる前にうまく姿勢をととのえておけば、いろいろな姿勢の標本が作れます。

この方法のデメリットは時間がかかることでしょうか。
また、骨の中の脂が抜けませんから大型の動物には向きませんね。
フナの骨格標本作成録 2012年4月
ここから先は私が人生で初めて骨格標本を作成した記録となっています。
今思えば10年以上前になるんですね。懐かしいな・・・。
所言
さて、今回は、フナの骨格標本を作りますね。

実験に使う個体はこちらです。
ギンブナC.auratus langsdolfii
体長 : 35cm
性別 : メス
業者の人に頼んで、30cm超えのフナを入手しました。
これくらいの大きさがあると骨がある程度大きくてわかりやすくていいですね。

まず、ふなを絞めた後、内臓を取り出して煮ます。
それなりの大きさがあり、絞めるのにフナと30分以上かかっています。
20分間煮たものがこちら。

おいしそう。普通に煮魚にして食べたいレベルですね。
これから1本ずつ骨を抜いていく作業になります。
結果、それぞれの骨が組み立てられないという間抜けな事態になってしまいましたね。

ジグソーパズルの要領ですが、難しくてなかなかできません。
すこしずつくみたてているのですが・・・そのうち、フナの透明標本ができたらそれを参考に組み立てて行きたいと思います。

反省会
結局、一生懸命骨を取り出した結果、上記程度しか組み立てることができませんでした。
- 原因としては高温で茹でてしまったことで骨を痛めてしまったこと、
- 部位を理解していなかったので、組み立てることができなかった。
フナは特に茹でると骨が柔らかくなるので、あまり高温で茹でるのは良くないみたいですね。
今後は茹でる温度に気をつけるか、虫での骨格標本を試してみたいと思いますね。
また30cm超える個体を入手できたら検討しましょう。
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