ラムサール条約湿地の登録とフナの関係|三方五湖

環境学

今回は「ラムサール条約」に指定された三方五湖の価値について解説していきます。

ラムサール条約登録において重要視された魚種が存在します。
その中にフナが関与していたって知っていましたか?

よろしければご覧ください。

そもそもラムサール条約って何?

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男の子
男の子

こち亀の「両津勘吉」の声をしていた人のことですね

先生
先生

それは「ラムサール」じゃなくて
「ラサール」です。

 条約が発効した当時は水鳥の保全を目的としていましたが、今は広く生態系の保全のために重要な湿地を保全し、湿地の「賢明な利用(ワイズユース)」を進めようとするものであり、画一的な無条件の規制を課すものではなく、湿地における漁業、観光、レクリエーション、水資源開発などの適正な利用を求めています。
先生
先生

要は貴重な生物や水鳥たちのいる場所だから
大切にしようねってことすね。

三方五湖とは

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三方五湖は「三方湖」「水月湖」「菅湖」「久々子湖」「日向湖」の三つからなる湖沼の総称です。それぞれの湖で塩分濃度が異なることが特徴です

この湖の一帯は若狭湾国立公園に指定されており、国の名称地にもなっています。

この湖では国内に限られた種をはじめとする貴重な魚の生息地となっているだけでなく、水鳥も多く飛来する県内有数の場所でもあります。

こうした湿地としての重要性が評価されて、2005年11月にラムサール条約に登録されました。

5つの湖の魅力

先生
先生

三方五湖といえば、湖ごとに恵みが異なるとも大きな魅力ではないでしょうか。

三方湖には、長谷川を始めとしたいくつかの川がこの湖へと流れ込んでいます。また、そのいくつかの川には周辺の田んぼから用水が流れ込んでいます。

三方湖に流れ込んだ水は、水月湖、菅湖、久々、ここを経て、海へと流れていきます。
日向湖は、通常、他の湖とはつながっていませんが、海とつながっていますね。

5つの湖はそれぞれ、海水の影響をどの程度受けるかによって、塩分濃度が異なるため、湖によって見られる魚の種類が異なることが特徴になります。

三方五湖の漁業例

三方湖
コイやフナ、タモロコ

水月湖と菅湖
ウナギやワカサギやシラウオ

久々子湖
シジミ

日向湖
マダイやブリなどの海水魚の畜養

三方五湖には、淡水や海水に生息している魚、海と湖を行き来する魚や湖と川を行き来する魚、
そして湖とその周辺に広がる田んぼを行き来する魚など、本当にいろいろな魚たちが住んでいます。

男の子
男の子

三方五湖を中心とした「水」でつながる環境が、
たくさんな魚たちを育んでくれるんですね

三方五湖に生息する固有生物

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ここからは三方五湖に生息している固有種について解説していきます。

ハス

湖が育んだ魚たち三方五湖では、ハスが自然分布しております。
というのも日本でハスが自然分布をしていたのは、琵琶湖とここだけだと言われています。

さらに近年の研究において、両方の湖のハスは形態的に、遺伝的に差があることがわかってきました。

先生
先生

そのため、三方五湖のハスは、日本中を探しても、ここにしかいない魚と言うことになります。

タモロコ

たモロコは、田んぼの水路など比較的流れの緩緩やかな場所でよく見られる魚です。ですが、三方五湖のタモロコは、ちょっと一味違います。他の他と比べて、体がスマートで口が上を向いています。これは湖の環境に合わせて体が進化していったためだと言われています。

ナガブナ

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次に紹介するのはナガブナです。

フナの仲間であるナガブナについては全国的に見ても生息地が大変少なく、
どのような生活を送っているのかほとんどわかっていないようです。

三方五湖に生息するこれらの魚たちは、生息域が大変限られていると言うことから、分布上重要魚種とも言われています。

女の子
女の子

 三方五湖のラムサール条約登録も、
そのことが評価されたんでしょうね

固有種が存在する理由

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男の子
男の子

どうしてこんなに魚たちが住んでいるのでしょうか。

先生
先生

それは湖の歴史と深い関係があるようです。
湖の原型が誕生したのは、今から50万年前だと言われています。

女の子
女の子

大変古い歴史がある湖なのですね。


例えば、ハスは、鳥浜貝塚から見つかっています。
鳥浜の縄文人は、1万2000前から5000年前まで生息していたということですから、その頃にはもう既に端が湖に住んでいたと言うことになります。

そして、ゆっくりと長い年月をかけて、味方5湖の環境に適応していったのだろうと思われます。

また果てしなく長い年月をかけて、地域の自然環境とともに歩んできた魚たちは、
地域の自然があるべき姿ではあるか健全な状態であるかを見る目安や指標であるともいえます。

守りたい、伝えたい、地域の自然

このように豊かな恵みと地域に特徴的な魚たちを育んでくれた三方五湖ですが、残念ながらその様子は時代とともに変化していきました。

湖の治水事業が進み、農業技術や生活水準が向上するにつれて、湖の騎士のコンクリート家や、湖と周辺の水辺とのつながりの分断化、水質の悪化と言うような環境の急激な変化が起こっています。

それとともに湖に住む魚たちの姿も、そして人と自然が共に生きる姿や人と自然の賑わいも見られなくなっていきました。

さらに近年では、外来魚の侵入が追い打ちをかけてきます。

先生
先生

地域の自然を前にして、もう一度何が大切なのか、どのような未来を描きたいのか、
そのためには何をしたら良いのかを考える時期に来ているのだと思います。

まとめ

今回のラムサール条約の登録により、三方5湖は世界的に重要な湖だと認められました。

この登録により、三方五湖に住む魚たちを好きになってくださる方がいっぱいいるといいなと思っております。

好きなものは大切にしたいし、そこから生まれる優しい心が人との自然の賑わいを取り戻す、大きな力になると信じているからです。

参考文献

ラムサール条約と条約湿地ー環境省
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環境学陸水学

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