三方湖の富栄養化の現状を探る

環境学

今回は三方湖の富栄養化についての現状について紹介していきます。
フナ漁を行っている湖では現在様々な問題を抱えていますが、その一つが富栄養化です。

一体原因はなんなのでしょうか。

始めに

少し前まで三方湖と言えば、アオコの湖でした。

アオコとは
「青粉」と書きます。植物プランクトンの仲間である数種類の藍藻(らんそう)が大量に発生し「湖や池の表面で青い粉をまいたような状態」となったもの、または、その原因となった大量に発生した「藍藻の群衆」を呼んでいます。

先生
先生

アオコは悪臭を放ち、見た目も悪いですから、
発生をしなくなった事は良いことかもしれません。

しかし、アオコが発生しなくなった三方湖では今、湖面を覆い尽くすほどに繁殖する水草、ヒシが大きな問題となっています。

ヒシとは
水草の1種であり、土壌に根付き水面にひし形の葉っぱを広げる浮葉植物です。日本の在来種であり、水辺でよく見られる代表的な水草です。
 近年、三方五湖の1つ、三方湖では自然環境の変化に伴いこのヒシが広範囲に分布するようになりました

なぜ三方湖ではアオコにしても、ヒシにしても異常にとも言えるほど大増殖するのでしょうか。
異常増殖の背景には、湖の富栄養化が大きく関係しています。

三方湖はメタボ化?|不栄養化

富栄養化とは、
水中に窒素やリンなどの栄養の物質が過剰に流れ込んでいることでその生態系が本来必要とする以上に栄養物質が存在している状態のことをいいます。

先生
先生

人間に例えますと、メタボリックシンドロームといったところでしょう。

一旦メタボに陥った湖では、窒素やリン酸を取り込んで成長します。
これにより、「アオコ」の原因である植物プランクトンやヒシをはじめとした水草などの「一次生産者」が大量に増殖することになります。

その結果として、湖の中にヘドロが蓄積したり、水面をアオコが覆うことで水中の酸素が少なくなる(貧酸素化)など様々な環境問題が副次的に引き起こされます。

先生
先生

現在の三方湖においては、このような状態にあるといえますね。

簡単には痩せられない湖

女の子
女の子

じゃあ、川に流れる栄養を直せばいいのですね。

先生
先生

残念ながら、事態はそんなに簡単に解決しません。

水域に流入する窒素やリン酸の量をやめれば富栄養化は改善すると思うかもしれませんが、
三方湖のように閉鎖性の高い湖では、陸から流れた栄養物質は、ヘドロ(有機物)に形を変えることで、湖の中にとどまる傾向があります。

男の子
男の子

溜まったヘドロは簡単に流れないってことですね。

湖の中にとどまった栄養物質は、湖の富栄養化を引き起こす新たな原因物質となりえますので、その影響も長期化します。
また栄養の供給源が増えるだけでなく、その影響度合いが季節的に大きく変化します。

そのため陸からの栄養物質の流入量を管理する際には、
他の栄養供給源の役割も考慮しながら、適切な削減管理策が必要となります。

味方湖の富栄養化の現状を診断する。

アオコやヒシのように、水中の栄養を取り込んで成長する一次生産者の体には、
彼らが利用した栄養の履歴が残っています。

その栄養の履歴を調べることで、どこかから共有される栄養が現在の一時生産者の異常増殖を支えているのかを調べることができます。

そこで「安定同位体比」と言うツールを使って、
三方湖の植物プランクトンが利用している栄養の起源を調べてみました。

先生
先生

その結果、現在の三方湖の生態系には、
大きく3つの起源が重要であることがわかりました。

  1. 陸から排出される栄養(生活排水や農業排水)
  2. 湖底の泥から分解される栄養(水温の上昇する夏場に影響を与える)
  3. 夏から秋にかけては隣接する湖(水月湖)からの供給
男の子
男の子

いろんな要因があったんですね。

バランスを考慮した栄養塩管理へ

現在の三方湖においては、まだまだ栄養価が非常にひどい状態で、季節的には過剰な一次生産が起こっている状態になります。

これまで陸から人為的に排出される栄養の削減は、下水処理を復旧させるなどで積極的に行われてきましたが、湖の中で再生産されている栄養はそれほど重要視されていませんでした。

そんなヘドロの多くは、過去に陸から排出された人が起源の栄養や有機物になります。
今後は陸から排出される栄養だけでなく、ヘドロから再生産される栄養の対策も、湖の中の富栄養化を抑えていく上では欠かすことのできない課題といえます。

その一方で栄養の過剰削減は、生態系の劣化をさせてしまう可能性があることも考慮していく必要があります。

植物プランクトンなどによって合成されたタンパク質などは、植物連鎖の庭を通して湖の生物を支える源となっています。

先生
先生

過剰な栄養は、湖の環境を悪化させる原因ともなりますが、
栄養が少ないと湖の生産も痩せこけていくこともまた忘れてはいけませんね。

男の子
男の子

人間と同じで太り過ぎも痩せすぎも
良くないんですね。

まとめ

ということで、今回は三方五湖の富栄養化について解説していきました。

植物プランクトンが増えることで、ゲンゴロウブナの餌や動物プランクトンが増えるということにはなりますが、それ以上に問題が増えていきますからね。

いかんせん多すぎもよろしくないですよね。

コメント