フナの中でも日本全国に生息しているギンブナ、「フナ」といえば「ギンブナ」というくらい馴染みがある種類ですがそんな名前は複数存在しています。
フナ属魚類は、分類が難しいことでも知られます。
それはどの種も姿が似ているからでしょうかね。 フナ属の分類は、研究者の間でも、意見が分かれています。
複数の学名

地方名はいくつあってもいいかもしれませんが、学名が複数あるのは「種」としてはいただけませんね。
「ギンブナ」は正式な日本語名(標準和名)です。しかし本やウェブサイトで「ギンブナ」を調べると、ラテン語の学名が同一ではなく、複数あります。私が調べた範囲では三つの学名がありました。
- Carassius langsdorfi
- Carassius auratus langsdorfi
- Carassius gibelio langsdorfi
それぞれの学名の意味合い

違いがよくわからないよ・・・
どうしたらいいの?

そしたら一つずつ細かく見ていきましょう。
一番最初に来ている言葉の「Carassius」は、「フナ属」を指すラテン語の属名になります。
次に来る言葉は「種名」、その後にあるのは「亜種名」となります。
この法則で読んでみると
1、「Carassius langsdorfi」
「フナ属の中の、「langsdorfi」という独立した種」
であることを表しています。
2、「Carassius auratus langsdorfi」
「フナ属の中でも『auratus』という種の中でさらに、『langsdorfi』という亜種」
という意味合いになります。
3、「Carassius gibelio langsdorfi」
「フナ属の『gibelio』という種の中でも『langsdorfi』という亜種」
を示しています。
基本的に「亜種」とは、「種を分けるほどではないけれども、違いがある」種類を指します。
つまり、「ギンブナ」の場合は、独立した種類なのか、他の種の中の亜種なのかさえもはっきりしていないがためにこのように複数の学名が存在しているのです。
結局、どれが正しいのか


現段階では正しいのはどちらになるのでしょうか。

正しいのは
②「Carassius auratus langsdorfi」です。
というのもフナの種類としては「ヨーロッパブナ(Carassius carassius)」と「ゲンゴロウブナ(Carassius cuvieri)」しか種として独立していません。
その為、日本に生息しているそれ以外のフナは分類学上は「Carassius auratus」という種になります。
その中でもギンブナは「langsdorfi」という亜種という扱いが一般でしょう。
学名が複数ある原因

どうしてこうも複数存在してしまうのか、
それは研究者によって、「ギンブナの分類基準」が異なってしまう違うからでしょう。
また、学名や分類の基準などは後に変更することも少なくありませんから、過去の文献などをそのまま引用してしまうと間違えてしまうこともあります。
3番の「Carassius gibelio langsdorfi」の場合は海外の文献でのギベリオブナを参考にしてしまうとこのような誤用を行なってしまう可能性があります。

以前はコイ属と混同していたこともありますから、
そのような文献を参考にしていたらさらに煩雑になりえますね。
まとめ
そんな『フナ」の中のギンブナだけでもこれだけ混乱しています。他のフナならもってのほかでしょう。
特にフナの中でも「ナガブナ(Carassius auratus subsp1.)」や「キンブナ(Carassius auratus subsp2.)」にいたっては、いまだに学名すら付いていません。
これは種としての調査が進んでいないが為に情報が少なく、まだ分類が確定できていないのが原因でしょうね。
さらにはフナ属の種としては、朝鮮半島や、中国にも分布します。
しかし、朝鮮半島や中国の「フナ」が、日本のものと同種なのかどうかも不明なのです。こんな状況ではフナの分類は無理もありませんね。
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