今回は高知県にある水族館の飼育展示から「群集心理」について解説していきます。
実際に魚を飼育する上で混泳時によるトラブルは欠かせないと思います。
そんなトラブルを回避できる方法として「過密飼育」がありますが、どのようなメリットがあるのでしょうか。一緒に見ていきましょう。
あきついおの過密飼育
この水族館では他の水族館と比べて、「水槽は小さすぎる」とか、「魚が入りすぎていて、魚がかわいそう」などとご批判をいただくことがよくあるそうです。
確かに、館内奥の水槽をみると小さな水槽に所狭しと泳いでいる魚が見られることも少なくないですからね。
満員電車みたいで可哀想。
水族館としては、
集団心理を生かした飼育をされています。
混泳の大変さ
熱帯魚を飼育している人はわかるかもしれませんが、
魚の組み合わせはとても大変です。
昨日の夕方まで仲良く泳いでいた魚たちが、翌日にはボロボロになるまで喧嘩をしていたり、
手塩にかけて育てた魚を展示水槽に移した途端、先住の魚たちにいじめ殺されてしまったりとどの魚と混泳するのが最良なのかというのは非常に難しいものです。
魚との心理戦なんですね。
そもそも群集心理とは
群集の中に生まれる特殊な心理状態。 衝動的で興奮性が高まり、判断力や理性的思考が低下して付和雷同しやすい。
集団心理といった方が聴き心地がいいですかね。
魚の場合は群れを作ってあげると水槽内で落ち着きやすくなったりしますからね。
単独飼育がなれない場合は過密飼育してあげるのも重要です。
飼育密度をあげて魚を安心させる
例えば、フナの水槽についてですが、基本的にフナは臆病で、群れで行動する習性を持つものが大半を占めています。
そのため、一定の個体数を入れておかなければなりません。しかし同種同士の混泳だとそれだけではまだ落ち着かないと言う種類もいます。
フナに種類に対しては、さらにおとなしくて物怖じしないドジョウやタモロコの仲間を同居させているのです。
ドジョウやタモロコは、
フナにとっての精神安定剤と言えるかもしれません。
縄張りをなくす、いじめのターゲットをなくす
一方、成魚になると攻撃的な縄張り意識を持つコイ科魚類などは、特定の個体への集中攻撃を軽減させるために、
そういう場合は先程の習性とは逆に多くの魚を混泳させておき、いじめのターゲットを分散させてしまったり、そもそもの縄張り自体を無くしてしまうこともポイントです。
学校の教室ではいじめは起こりやすいですが、
通勤の満員電車ではいじめは起こり得ないですからね
いじめをする余裕がないですものね。
過密飼育をする上で気をつけること
ということで、過密飼育に対するメリットについていくつか紹介していきましたが、
ここからは魚を飼育する際に逆に気をつける点を紹介していきます。
餌が飼育魚全員に回っているか気をつける
まずは、エサが飼育している魚全体にちゃんと行き渡っているかを気をつけましょう。
飼育密度が高くなると、その分、エサの取り合いが発生します。
エサやりの際には水槽全体を見渡してちゃんと魚たち全員に餌が行き渡っているのかを確認してあげてください。
特に、底棲魚などは水底に落ちているエサを食べますから、餌が水底に落ちる前に他の魚が食べ尽くしていたら餌にありつけませんからね。
その際にはタブレット型の餌を水底におとしてちゃんと餌を食べている姿を確認してあげてくださいね。
水質悪化を考慮する
次に気をつける点は水質悪化です。飼育個体数が増えればその分餌や糞が増えていきます。
その為、十分な濾過装置や水質ろかができていないと水質の急激な悪化を起こして魚が体調を崩してしまう恐れもあります。
過密飼育をする水槽の場合は通常の規格よりも数段大きいものを使うようにしましょう。
特にオーバーフロー式の濾過装置を使用しているならば水質管理面では安心できますね。
あきついおの水族館は過密飼育している水槽は全て
十分な濾過をしていますから問題なさそうですね。
避難用の水槽を用意しておく
最後に、万が一体調を崩してしまった魚がいた時のために、避難用の水槽を用意しておきましょう。
過密飼育していたけど、いじめのターゲットにされてボロボロになった魚。
何かしらの病気の兆候が見られる魚
餌を十分に食べておらず痩せ細ってしまった魚
放っておいたら、体調が悪化して命を落としてしまうかもしれません。
このような魚をいざというときに隔離できるように小さめの水槽を別に用意しておくと良いでしょう。
なければ最悪洗面器やバケツでも構いませんが、
水槽の方が魚の様子を確認しやすいですね。
まとめ
ということで、今回は魚の群集心理について解説していきました。
過密に飼育することで、自然らしさは減ってしまうかもしれませんが、
「群れ」という環境を作り精神が安定すると共にいじめのターゲットを紛らわせるメリットもあります。
飼育個体数が増えるということはその分管理にも気をつける必要もありますので、
1匹1匹の観察は欠かさずに行いましょう。
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