今回は同じフナが一つの湖で生息できる理由について解説していきます。
一般的に似たような種類は、利用する資源(食べ物や生息場所など)が似ているため、共存ができません。
しかし、琵琶湖には3種類ものフナが住んでいます。一体どうやって共存しているのでしょうか。
琵琶湖に生息している3つのフナ
琵琶湖のフナにはゲンゴロウブナ、ニゴロブナ、ギンブナの三種類が生息しています。
ゲンゴロウブナは他の二種類とは別種であり、今から500万年前に種として分かれていったとされています。
一方でニゴロブナとギンブナは、同じ種類の「亜種」にあたり、遺伝的にはあまり違いがないとされています。
ゲンゴロウブナは「琵琶湖固有種」
ニゴロブナは「琵琶湖固有亜種」という位置付けになりますね。
棲み分けによる共存
同じ湖で複数の種類のフナが共存できている理由は、
琵琶湖を巧みに利用し、うまく食い分けたり積み分けているからです。
- ニゴロブナ
沖合の低層に主に生息し、動物プランクトンや底棲動物を食べています。 - ゲンゴロウブナ
沖合の中層に多く、細かい植物プランクトンを主に食べています。 - ギンブナ
沿岸域や内湖に生息し、底棲動物を主な餌としています。
このように琵琶湖には広大で多様な環境があるため、
3種の種が共存していけると言うわけです。
産卵場所が被る2匹
そんな生息地の棲み分けができていますが、産卵時はそううまくはいきません。
産卵時には産卵場所が被ってしまい、少々競争が起きてしまうのです。
ニゴロブナとギンブナは同じように田んぼへ上がって産卵を行います。
それにより琵琶湖周辺ではニゴロブナの若いオスがギンブナと繁殖行動をとった例がいくつか観察されています。
なぜ、この違うフナ同士で繁殖行動をしてしまうのかというと
ギンブナはメスしかいなく、ギンブナの卵発生のきっかけとしてニゴロブナのオスを利用していることが考えられます。
ギンブナは他の魚のオスでいいですから、生存戦略としてはギンブナの方が少々有利でしょう。
せっかくニゴロブナのオスがメスのフナを見つけても、
メスがギンブナだったならば、ギンブナの子供が生まれてしまいます。
ニゴロブナのオスは繁殖のためには
同じ種類のメスを探すしかないんですね。
まぁ、それが本来は当たり前なんだけどね
しかし、ギンブナのこの生態のおかげで、万が一他のフナと交雑をしてしまっても雑種ができませんから、遺伝子の配列や系統が狂ってしまうことが少なくなります。
これにより、亜種間ではありますが、種の確立ができますからね。長い年月において共存できている理由の一つかもしれませんね。
ゲンゴロウブナの産卵
ちなみに、ゲンゴロウブナは湖のヨシ帯の沖側で、水中に伸びたヨシの根やアオミドロなどの糸状の藻類に卵を産みつけることが多いですから、
ギンブナたちのように産卵場所が被りません。
まとめ
ということで、今回は琵琶湖に3種のフナが共存できている理由についてかいせつしてきました。
- 広大な生息地である琵琶湖による生息地の棲み分け
- ゲンゴロウブナの遊泳場所と産卵場所の異なること
- ギンブナの他の魚と交雑しても雑種ができない体質
この3つにより成り立っていると考えられます。
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