まるで出世魚?呼び名の変わるフナの仲間たち|金魚

魚名学

今回は出世魚とフナの仲間の一例について解説していきます。

魚の中には成長するにつれて名前を変えるものもいますが、フナどうなのでしょうか。

出世魚と一例

出世魚とは

成長につれて呼名の変わる魚をいう。呼名が変わるのは、成長により風味が変わるためでもある。そのような魚は、昔の人が元服のときとか出世するに伴って名まえを変えたのに似ているので縁起がよいとされ祝事に用いられる。

 出世魚の代表格はブリ、ボラ、スズキであるが、魚体の大きさは厳密なものではなく、呼び名も地方によって多少異なる。

ブリの場合

3~7cm  モジャコ、
10cm前後 ツバス、ツバエソ、
15cm前後 ワカシ、ワカナゴ、
20cm前後 ワカナ、
20~30cm フクラギ、
40cm前後 イナダ、
30~60cm ワラサ、ハマチ、メジロ、小ブリ、ニネンゴ、
60cm    ブリ、サンカ
75cm以上  オオブリ、オオイナ、オオイオ、サンネンゴともいう。

ボラ

3cm前後  ハク
10cm前後  オボコ、スバシリ
25cm    イナまたはイナッコ
30~50cm  ボラ
50cm以上  トド

この呼び名から「いなせ(鯔背)」とか「とどのつまり」などのことばが
一般化して日常用語となった。


スズキ

幼魚    コッパ
15cm以下  ハクラ
30cm以下  セイゴ
30~60cm  フッコ(ハネ、マタカ)
60cm以上  スズキ

実は身近な魚の1つに金魚にも大きさによって呼び名が変わる種類がいます。その種類が和金になります
ここでは代表的な呼び方をご紹介します。

大きさによって名前の変わる金魚

サイズ&グラム表(参照:金魚のマルウ)

これでは細かすぎるので、一般的に呼ばれるのは下のものでしょうかね。

小垢(約3センチ)
 金魚すくいやエサ用金魚として出回っている金魚

別下(約6センチ)
 ペットショップで販売される小型の和金

小和金(約8センチ)
 一般的な和金などはこの大きさが多いかな?

姉金(約12センチ)
 それなりに大型な和金。大型の熱帯魚のエサとして稀に販売しているところもある。

大きさで分けられているこの呼び名は、金魚すくいようや肉食魚の餌用など、卸業者やペットショップでそれぞれの用途に合わせた流通名として使われています。

エサから看板魚へ出世した金魚「カープ君」

高知県『わんぱーくこうちアニマルランド』ではとある金魚が“出世魚”が話題を呼んでいます。
それが「金魚のカープ君」になります。

体長30cmの大柄な金魚ですが、その経歴は非常に過酷な環境の中で現在のポジションにいるそうです。どうしてそんなに環境にて大きく成長ができたのでしょうか?

カープ君の過酷な経歴

金魚のカープくんは、もともとは名前などは存在していませんでした。
アニマルランドで飼育されている動物の餌用の金魚(小赤)として動物園にやってきました。

最初は鳥の餌として鳥の水場へと放たれました。
次々に仲間の金魚が水鳥に食べられていく中で、数匹の金魚と共に生き残ったそうです。

やがて少し成長し別下くらいまでになると鳥の餌には大き過ぎてしまうということで、
今度は大型ネコ科動物のジャガーの餌としてジャガーの住む水場へと放たれました、

しかしそこでもジャガーに襲われることなく生き残り、やがてオオサンショウウオの展示水槽へと放たれました。

姉金サイズくらいの目立つ大きさまで育っていたため、
展示していたオオサンショウウオの故郷である広島県をもとに、この金魚は『カープくん』と名付けられました。

オオサンショウウオの展示水槽でもカープくんは強運でした。食べかけられたことはあるものの、見事に逃れ続けて、

オオサンショウウオが先になくなるまで生き残っていました。

そんな強運に驚いたアニマルランドは、オオサンショウウオがいなくなった展示水槽をカープくんが住みやすい金魚水槽へと変更して、現在では水槽の主役として注目を浴びています。

女の子
女の子

金魚なのにただ者でない経歴ですね!

カープ君について

そんな金魚のカープくんですが、餌用金魚(通称・エサ金)としてこの動物園にきたので、金魚の品種としては和金になります。お祭りの金魚すくいで良く見るタイプの朱色の金魚ですね。

最初は本当に小さかったと想像されますが、現在の大きさはなんと約30cmにまで成長したそうで、
体高もあり、立派な風格ある金魚に成長しています

わんぱーくこうち 公式HP

わんぱーくこうち - 高知市公式ホームページ

大きさで名前の変わるフナの名前

ちなみに、フナも大きさで呼び名が変わることがあります。
それが「マブナ釣り」のシーンです。

基本的には「マブナ」と呼ぶのですが、関東地方では体長3cmのフナのことを「柿の種」と呼ぶことがあります。理由はシンプルにこのサイズのフナが果物の柿の種に形が似ているからと言われています。

基本的には春に生まれたフナが秋になることにはこのサイズまで成長することが多いので、秋のマブナ釣りでは「柿の種」を見る機会もあるのではないでしょうか。

逆に体長30cmを超えたフナを「尺鮒」、体長40cmを超えるほど大きなフナは「巨鮒」と呼ぶこともあります。

こちらはあくまで釣りあげた魚に対していう言葉になりますね。

名前の変わらない出世魚

また、「出世魚」の中には魚自身出世して名前が変わるのではなく、
魚の存在自体が成功や昇進の象徴とされているものがあります。

様々な文化や伝承において、特定の魚が縁起が良く、成功や繁栄のシンボルとされています。

コイ

コイは登竜門の伝説から出世魚と呼ばれることもありますが、成長しても呼び名は変わりません。

登竜門の伝説(とうりゅうもん)とは
「登竜門」は、中国語由来の言葉で、「龍門」(龍=竜)とも表記されます。
これは、竜門と呼ばれる滝や急流のある場所で、伝説や神話においてコイが登ることができれば、そのコイは天に昇り龍となるとされる場所を指します。

また、一般的には、困難を乗り越えて成功するための試練や場所としても使われます。

このことからも、コイ自身が出世して名前の変わる魚ではありませんが、「登竜門」をくぐることで「コイ」から「龍」に出世するとされていますから。コイは出世魚と言われるようになっているのですね。

アロワナ

またアロワナも龍神魚と呼ばれており、東南アジアの一部の文化で「出世魚」とされています。特に、レッドアロワナは幸運や富をもたらすと信じられ、飼育されています。

これらの魚は、それぞれの文化で異なる意味を持ちながらも、成功や繁栄のシンボルとして重要視されています。

参考文献

金魚のマルウ https://www.maruu-kingyo.com/treatment_fish/和金/

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