今回は水族館における展示方法の一つである「地理学的展示」について解説していきます。
これを機に水族館ではただ水槽を覗くのではなく展示方法の側面を理解していきましょう。
地理学的展示とは

「地理学的展示」とは、「上流〜下流に生息する魚」や「磯に生息する魚コーナー」というように、同じ生息する水域ごとに生き物をまとめて展示する方法です。
フナの場合はコイやドジョウなどと一緒に「河川の下流域」や「池に生息している魚」として展示をしていることが多いです。
琵琶湖博物館や相模川ふれあい科学館など地域の環境を再現する水族館など実際に近隣の自然環境を再現するために地理学的展示を根底に置いたコーナーがあります。
特に淡水魚を扱う水族館はこの展示が多いですね。
フナにおける地理学的展示
大抵の水域に生息しているフナですが、性格が温厚で体も丈夫なため、さまざまな水域で別の魚と混泳しても差し支えのないですね。
フナが地理学的展示を行われる際、いくつかの傾向があります。
簡単に3種類に分けるとこのようになりますね。
- 河川の中下流域
- 湖沼
- 用水路や田んぼ
河川の中・下流域

これは主に河川に生息している魚との混泳になります。
基本的には流れのゆるやかな下流域に生息していることが多く、下流の水槽に展示しているとされていますが、まれに中流域の水槽展示にも見られることがあります。
下流域
- コイ
- ナマズ
- ウナギ
- ニゴイ
中流域
- カワムツ
- タモロコ
- オイカワ
- ウグイ


特に京都水族館や相模川ふれあい科学館の場合は、中〜下流域の二つの水槽ともにフナが飼育展示されています。
展示個体としては中流よりも下流の方が大きいという違いはありますが、
それ以上に混泳個体が全く違います。

見ていて飽きませんね。
湖沼

次のパターンとしては湖沼に生息している魚との混泳になります。
どちらかといえば湖沼に釣魚として放流された「ヘラブナ(ゲンゴロウブナ)」になります。
山上湖の場合ならばヒメマスなどの冷水魚と、平野部の湖沼やダム湖ならばブルーギルやブラックバスなどとの混泳が多いですね。同じく放流されたワタカなどとの展示も多いですね。
湖沼
- コイ
- ワタカ
- ニゴイ
山上湖・ダム湖
- ヒメマス
- トラウト系
- ブルーギル
用水路

次に用水路や田んぼの魚との混泳です。
この場合は自然と小型個体との混泳になります。ドジョウやタモロコとの混泳が多いですね。
フナはその中でも大きい部類の魚になりますので、メインを張れる存在になりますね。
- ドジョウ
- タモロコ
- タナゴ
地理学的な展示の難点
通常の展示方法である分類学展示と比べ、地理学展示の場合は複数種類の魚を同じ水槽にいる必要があります。そのため、水槽内での混泳をせざるを得ません。

何気なく見ている水族館の水槽では様々な要因でバランスが保たれています。

魚も近所付き合いが大変なんですね
縄張りや捕食関係
同じ水域に生息してる魚といっても、その大きさはまちまちです。
当然、捕食関係や縄張り関係も持ちますので、小さな魚は大きな魚に食べられてしまう事も少なくありません。
対策方法

富士湧水の里水族館などは上流域に生息する魚類を地理学展示している水槽があります。
展示個体は大小異なっており、喧嘩が起きやすそうにもみえますが、
水槽を2重にして大きさの異なる個体が混泳しているように見せていましたね。
エサの取り合い

仲良く泳いでいるようで、実は餌に対しての競争をしています。同じお魚は同じ餌を食べます、つまり自分の取り分が減るのです。
同じ仲間> 近い仲間>同じ地域の魚
ほど同じ食べ物を食べることを知っています。

自分と同じ食べ物を食べる魚にはいて欲しくありませんからね。
性格

種類による傾向、個体にある傾向によって性格が違います。
攻撃的でかじる魚、追い払うけどかじらない。魚攻撃されなきゃ気にしない。魚攻撃的なのにやられると弱い魚魚によって多種多様になります。
性質
水質の変化に強い魚、弱い魚、古い水の好きな魚、嫌いな魚ペーハーの高い、低いが好きな魚。水に溶け、いろいろ溶け込んでいるのが好きな魚、嫌いな魚、同じ水槽には同じ管理方法になります

同じ地域の魚に限定すると、バランスが取れずにたくさんの魚が死んでしまいます。
まとめ
という事で、今回は地理学展示について解説していきました。
分類学展示よりも自然環境が再現できていますから「水族館らしさ」が出てきますね。
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