水族館の展示方法の種類|水族館コラム

水族館コラム

今回は水族館における展示についての手法についてを解説していきます。
それぞれの展示方法に良し悪しがありますので、それぞれ見ていきましょう。

展示方法

生物の展示方法は大きく4つに分かれます。

分類学的展示

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「分類学展示」は、コイはコイだけを集めた水槽、ナマズはナマズのみの水槽といった同類の生物を並べて展示する方法になります。

この展示方法は種の多様性を比較するのに適しており、最も伝統的な手法のひとつです。
形態的特徴に注目させて解説するため「形態比較展示」とも言われています。

現在でも珍しい種類や特殊環境での飼育管理が必要な個体、また他の魚との混泳が難しい個体などはこの展示方法を用いることが多いですね。

一つの水槽に複種類いると探すのが大変ですから、その点はありがたいですね。

地理学的展示

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「地理学的展示」とは、川の上流や湖というように,生物の生息する水域ごとに魚を展示する方法です。

よく見られるのは,フナとコイ、ドジョウ、ニゴイなどを同じの水槽で混泳させて展示をしている例です。

淡水の水族館の場合は魚の生息域ごとに「上流」「中流」「下流」「湖沼」とそれぞれの大型水槽を用意して飼育展示を行なっていることが多い印象を受けますね

生態的展示

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地理学的展示をさらにピンポイントで示して、ゲンゴロウブナは琵琶湖の表層付近、オオキンブナは淀川の下流域というように、魚たちををその生息地ごと展示する方法が「生態的展示」です。

現在、水族館でも多く採用されるようになり、比較的新しい展示方法です。

これらの展示方法には、来園者の側から見たときに、共通の難点があります。
生物たちを見つけるのが難しいこともあるからです。

展示目的という観点から見ると、分類学展示は博物館的であり、地理学的展示はジオラマ的と言ってしまった方がいいでしょうか。生物は動くよりも静止しているほうが、その展示目的にかないます。

では、生態的展示はどうかというと、自然環境を再現して展示するため、魚たちは自然に近い動きをするはずです。

ただ、その魚たちにとって四六時中動いているかというとそうではなく、むしろ動かないことや物陰に隠れている事が多く、実態としては、動物の動きよりも”佇まい”をみせる展示方法になっているのです。

行動展示

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それでは、最後に行動展示について解説します。「行動展示」は、「動物の行動や美しさ、尊さを伝える」ことを何より目的にした展示方法です。

これは、動かすために曲芸をさせるといった、人間が見たい行動を動物に押し付けるものではなく、その生物が本来持っている「泳ぐ・跳ねる・捕食する」といった”動く瞬間”のすごさ、美しさ、そして尊さを来園者に見てもらうために、生物本来の動きを”引き出す”展示方法です。

行動展示は、広い場所でなくても、それぞれの生物たちの”動く瞬間”に出会うことができる展示方法でもあり、ある意味日本の水族館にとっては、工夫次第で取り組みやすい展示方法と言えるかもしれません。

行動展示の一例

旭川市旭山動物園(以下、旭山動物園)が起こした動物園のイノベーションとして、近年、特に熱い注目を集めているのが、「行動展示」と呼ばれる見せ方です。

スター動物のいない北国の小さな動物園に、年間300万人もの人を集める要因となり、現在、全国へとその手法が広がっていっている行動展示とは何かを紹介しましょう。

また、アザラシは本来、「マリンウェイ」と呼ばれる上下に行ったり来たりする動きを見せる生き物であり、それを動物園でできるようにし、その動きを見てもらうために考案されたのが、アクリルでつくられた円柱型の水槽です。

まとめ

今、全国にその動きは広まっていますので、近くの動物園で行なわれている例があれば、ぜひ、一度、体験してみて下さい。

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