淡水魚の住むところ|生息環境まとめ

陸水学
先生
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今回はフナをはじめとした淡水魚の生息している環境に関しての分類について解説していきます。
流れのある「河川」と、あまり流れのない「池や沼、湖」に分けることができます。

女の子
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こうして聞くと水辺にもいろんな種類があるんですね

先生
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どちらの環境にも生息できる魚も多いのですが、水の温度や水質によって、種類が異なっていきます。

川の生き物と生息地

淡水は、地球上の水の量にして、わずか3%にも満たしません。しかもそのほとんどが南極などで氷の形で存在しており、河川域や湖沼域に存在する水はさらに少なく、0.0093%と見積もられています。

しかし、海に比べて極めて少ない容積しか存在しないにもかかわらず、川や湖には極めて多様性に富んだ淡水魚類が適応して生息しています。

河川

源流・上流

源流から上流にかけての川は、両岸の樹木に覆われ、晴天でも薄暗く、うっそうとした雰囲気があります。
水は冷たく、川床には大きな礫(れき)が多く見られ、瀬と淵が短い間隔で交互に現れる地形が特徴です。川幅が狭く、細い流れも珍しくありません。

このような環境には、イワナやヤマメ、アマゴといった冷水を好む魚が生息しています。
イワナは源流域で多く見られ、ヤマメやアマゴは下流側に分布する傾向があります。
礫に依存するカジカやギギの仲間も見られ、川の流れによって生息域が異なります。

川幅が広がり深くなると流れは緩やかになり、水草が生えることもあり、植物食や雑食性の魚が多くなります。季節によっては普段見られない魚も現れます。

例えば秋には、産卵を迎えたサクラマスやサツキマスが中流域から遡上し、源流で産卵場所を探す姿が見られることがあります。

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こうした魚たちは、流れや環境の変化に合わせて生息域を移動しながら生きています。

生息している魚の一例
  • イワナ
  • ヤマメ
  • カジカ
  • ボウズハゼ

中流

川幅が広がるにつれて、深い水域も増え、立ち入るのが困難な場所も珍しくありません。
実際に河川に入る際は注意が必要で、一見陸地に見えても、下が泥沼状になっていることがあります。腰まで泥に沈んで身動きが取れなくなる危険もあるため、安全を確保しながら観察することが大切です。

観察しやすいのは、流れが緩やかで浅瀬が形成されている河川の岸辺です。こうした場所では、川を横断して観察することも可能です。

また、中流域から下流域に向かうほど川幅はさらに広がり、水温も上昇し、川底の砂や泥の粒は小さくなっていきます。

川の地形や環境の変化に伴って、生息する生物や観察できる景色も変わっていきます。

生息している魚の一例
  • アユ
  • ウグイ
  • オイカワ
  • オヤニラミ
  • ウナギ

下流

川の幅が中流よりもさらに広がって推進が深くなり、川の流れが遅くなります。

水の底には砂や泥が多くなり、川の岸には植物が茂っています。魚の種類が増えて、加工の近くでは海から上がってくる魚も見られるようになります。

生息している魚の一例
  • ニゴイ
  • マルタ
  • ウキゴリ
  • ソウギョ

河口(汽水)

河口域は河川の最終地点であり、海への入り口となります。
ここでは川幅が最も広く、干潟が発達することも多いです。海の潮の満ち引きの影響を受けるため、水位は満潮と干潮によって絶えず変化し、塩分の影響範囲も河川の流量によって変動します。常に塩分の影響を受けるこの特殊な環境には、独自の生物が生息しています。

河口付近は水温が高く、栄養塩が豊富に蓄積されるため、生物が多様に生息できる環境です。特に健全な泥干潟が発達している場所では、酸素の供給が適切に行われ、多様な生物が確認できます。

また、河口域の汽水域は、海から入ってくる生物と川から海へ出ていく生物の両方が、塩分濃度の違いに慣れるために一定期間滞在する場所です。

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さらに、シラウオのように一生をほとんど汽水域で過ごす種も存在します。このように、河口域は海と川をつなぐ重要な環境といえます。

生息している魚の一例
  • ボラ
  • ヒイラギ
  • マハゼ
  • スズキ

湖沼や池沼は、その成立過程によって特徴が異なります。河川と高い連結性を持つ湖沼では、止水域を好む魚が定着していることが一般的です。
一方で、火山の噴火によって形成された山上のカルデラ湖や、都市公園の池のように河川とつながりがない場所では、魚が生息しないこともあります。

また、山の上にあるダム湖は、治水や利水を目的として人工的に作られたもので、もともとの河川をせき止めて広大な止水域を形成したものです。
池沼には、湧水や融雪によって自然にできたものと、人為的に掘られたものの2種類があります。河川との連結がない場合、魚が自然に池沼へ到達することは難しいです。

しかし、農業用や灌漑用のため池では、魚が放流されることもあり、大雨によって川の流路が変わり取り残された三日月湖のような池沼には、かつて河川に生息していた魚がそのまま閉じ込められていることがあります。

湖沼や池沼の環境は場所によって異なり、浅い湖から水深が数百メートルに達する湖までさまざまです。魚が多く生息するのは、通常水深30メートル程度までの範囲です。
どのような魚が生息し、どの種が優勢となるかは、環境条件や人為的な影響によって異なります。

生息している魚の一例
  • ニジマス
  • ヒメマス
  • ワカサギ
  • ホンモロコ

田や池

昔の平野では、網目のように川が流れていました。川では洪水が起こるたびに流れを変えて、川の周りに広い湿地を作っています。

そこは生物の宝庫で、たくさんの魚やカエル、鳥類が暮らしていました。
また、水も豊かで土地も肥えており、米を作るのにも適していました。

しかし、人が暮らすためには水害を防ぎ、家を建てるために乾いた場所も必要なので、人々は堤防を作り何本も流れている川をまとめて田んぼや町を作って行きました。

男の子
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今の田んぼは生物を育む湿地の代わりとなっているんですね。

田んぼ・用水路

大雨によって河川の水が増えると、普段は陸地だった場所も川の一部となり、水が引いた後には平原のくぼ地に水たまりが残ることがあります。このように、川と陸地の間にできる水域を「氾濫原湿地(はんらんげんしっち)」と呼び、多くの水生生物や陸上動物が行き交う重要な場所となっています。

氾濫原湿地は、水温が上がりやすく栄養が豊富で、生産性が高いため、稚魚の成長に適した環境です。また、川は本来流路を自在に変化させるものであり、過去に形成された川道が取り残されることで「三日月湖」として現存することもあります。

日本では、この氾濫原湿地の代わりに「田んぼ」が重要な役割を果たしてきました。弥生時代以降、日本人はその生産性の高さを活かし、氾濫原地を水田地帯として開発しました。従来の水田地帯では農薬の使用がほとんどなく、水田・水路・ため池が互いに連結された「水田生態系ネットワーク」が存在していました。

田んぼは水棲生物にとって豊かな環境です。特に田植えが始まる時期には、農業用水路を通じて魚が田んぼに入り込み、ドジョウやフナ、ナマズなどが卵を産む場となります。田んぼはエサが豊富で稚魚にとっても安全な場所となり、成長するのに適しています。このように、田んぼは自然と人間の営みが融合した水棲生物の宝庫といえるでしょう。

池・沼

里山の田は谷津の出口にあるため池を中心に広がります。

池や沼は、湖よりも面積が狭くて浅く、水の流れがほとんどありません。
水量もほぼ決まっていますので、気温の上昇とともに水温も高くなります。

平地であることが多く、そこは主に泥があり、水草が茂っており、生物たちの格好の住処となっています。ここでは雑食性の魚が多く見られます。

生息している魚の一例
  • モツゴ
  • コイ
  • ドジョウ

まとめ

先生
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ということで今回は「生息環境について」解説していきました。

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